春には櫻の名所として有象無象だらけになる、東京都目黒區の川。しかし、少しの時間でも雨が強く降ると、たちまち濁ってひどい臭氣を放つ。區内で生まれ育ったと云ふ或る人が、「あんなの、ただのドブ川だ」と云ったのがよくわかるほどの惡臭。あまりの臭ひにつひ冩真に撮ったはものの、宿命としてそのにほひまでは冩し出すことが出来ない。いや、冩し出せるのだらうが、私には當然そんな技(うで)など無く、またさういふ作品にも . . . 本文を読む
郵便受けに、當年十月から郵便物配達の遅延を常態化させるとの予告状が入ってゐた。ただし葉書と封書のみが対象で、日曜祝日のほか土曜日の配達を放棄、また平日の配達も24時間ほど遅延の予定云々。目に見えて退化劣化していくニッポンの郵便事業。“企業努力”の様子が、芥子粒ほども窺へぬ。さうなると、もはや速達など何の意味も為さなくなるわけだが、それでも料金値下げといふ形でしぶとくカネを頂戴云々。どうせなら、いっ . . . 本文を読む
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/asahi/nation/ASP8J71RKP8GUTIL00D?fm=d電車の中吊り廣告──たしかに、現代文化のひとつの象徴。數々の砲彈で飛ぶ鳥を落とす勢ひの文春誌が中吊り廣告をやめると云ふのも、ひとつの時代の象徴。週刊誌のそれに限らず、電車の中吊り廣告とはもっとも簡便な情報収集源だ。浮世の近況を . . . 本文を読む
神奈川縣で確認された感染者數は2,584人と過去最多を更新、東京都の2,962人に迫る恐ろしい勢ひを示してゐる。その神奈川縣の縣廰所在地であり、来る市長選では公營賭場をめぐって亂戰混戰が樂しみな横濱市では1,272人を確認云々。しかし問題なのは、集團感染の件數につひては「感染者數が多すぎて集計できない」と、今日の數字の發表を放棄したことである。──これこそが、「感染爆發 . . . 本文を読む
しばらく開きかけのままで、今年はそのまましおれてしまふのではないかと気になってゐた地元の琉球朝顔が、先日来の雨で生気を取り戻したのか、やっと開花してくれました。あなたにもやっと、夏が訪れましたね。 . . . 本文を読む
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/mainichi/nation/mainichi-20210816k0000m040211000c?fm=d茶番大運動會第二幕の開演前に、さっそく幕外で前座が始まった……、と云ふか、“漏れた”わね。障害者が傷害事件──面白くもないわ。だいたいお仲間にすでに感染者がゐるって……。事が起きないやう抑止す . . . 本文を読む
今日で第二次世界大戰が終結して、七十六年目となる。その七十六年前の今日を、その時に生きた人々はだう受け止めたのか──?事實の一端を知るため、横浜市立中央図書館内の横浜市史資料室で開催されてゐる、「戦後横浜─それぞれの出発」展に出掛ける。そして、昭和二十年八月十五日に横濱にゐた多くの人々のなかから、若い人たちの率直な思ひを、残された日記より一人づつ聞き取っていく。「何はともあれ、米英蘇 . . . 本文を読む
昨日からしつこく降り續く雨に、午前中に往年の“暴れ川”を見ると、昔を思ひ出したやうな様相を見せてゐた。いまはすっかり水没した河川敷で、ふだん浮世の休日にはこれ見よがしに鐵板焼きゴッコをやってゐる輩には、かういふ時にこそ、あの鐵板根性を發揮していただきたいものである。そんな濁水を、鴨が悠々と渡ってゐる。ここだけを切り取ったら、優雅な光景らしく映るだらう。情報は、つねに切り貼りされて公けとなる。ラジオ . . . 本文を読む
朝のラジオ番組で、またしても窓の外の不穏な盤渉と共に、謠曲を聴く。今回は故人片山幽雪の録音から、「盛久」と「砧」の一部が放送された。片山幽雪──私には前名の片山九郎右衛門のはうがしっくりくるが、京都在住のいはゆる“京觀世”、そして京舞井上流の一族、と云ふ以外に知識はない。舞台は學生の頃に映像で見たことがあるきりで、その後大阪に住んだ時代でも、あれだけ京都を散策して遊んだにも拘ず“京觀世”は全く経路 . . . 本文を読む
雨は朝から強弱をつけて降り續き、昨日は籠城してゐたぶん今日は輕くでも散歩に出るつもりだったがそれもやめて、けっきょくは二日續きの籠城となる。そこで、この時のために何本か用意しておいた映画DVDを観て過ごすつもりだったが、樂しみの調べ物だのなんだのできっかけを逃し、またいづれとする。夜になると、雨は弱よりも強のはうが勝る一瞬があり、東京圏でも明日は要注意かもしれぬ。今日に全國で確認された感染者は2, . . . 本文を読む
深夜に發熱を覺え、そのため明け方まで眠られず。体温を計ると38℃あり。ワクチンを接種すると四人に三人は高熱が出るとのことだが、私もその三人のはうになったわけだ。感染發症による發熱ではないので意識はまったく常のままだが、動くと頭痛が邪魔をするので、今日は一日を城で横になってやり過ごす。これで息苦しさなどがあればいよいよアヤシイわけで、さうならないためにも、なるほど日頃の予防は大切だと學習す。用意の解 . . . 本文を読む
二回目のワクチン接種を受ける。すでに二回目を接種した周囲の人のなかには、39℃まで熱が出たと云ふ者、接種いらい体調がすぐれず仕事を早退したと云ふ者、関節が痛みだしたと云ふ者──かうなるとだうしても心配になり、今の体調でゐらるのも今が最後かもしれない、と悲壮にも似た覺悟で城を出る。ところが會場で問診にあたった年配の男性醫師は、「ビクビクしないで、来るなら来い! と、ドンと構へてゐれば大 . . . 本文を読む
ずっと氣になってゐた、池上の本門寺へ行く。前回に参詣したのが昨年の夏の終はり頃、早くも一年ちかくになる。 あのときは、“今までに経験したことのない”疫病禍に、いつまでかうした生活が續くのか、不安よりもなにかしらの見通しを知りたくて、出かけてみたのだった。しかし、そのときは確固たる“聲”を聞くことは叶はず、「現状維持につとめよ」──さう解釈することにしたのだった。また夏が巡り、私は無事な体で、山門を . . . 本文を読む
世田谷區には、“駒澤”“駒繫”“駒留”、そして“上馬”“下馬”と、“ウマ”に因んだ歴史を思はせる地名や名稱がいくつもある。その世田谷區が目黒區と接する道の真ん中、ちゃうどそこだけ道を割るやうにして、古い石塚ありけり。住所では世田谷區下馬五丁目に遺るそれを、「葦毛塚」となむ云ひける。今は昔、源頼朝公奥州征伐に向ふ途中、乗ってゐた馬がこの地で“何か”に驚き俄かに暴れ、沼澤にはまり死にける。件の塚は、そ . . . 本文を読む
朝に嵐のやうな雨が去ると、強い日射しと強い風に晒される。梢は風に激しく揉まれて潮騒のやうに唸り、いま磯にゐるのかと疑ふ。草は風の流れにあくまで従順なれど、土にしっかりと根を張って、決してどこかへ流されて行くことはない。いつでも簡単にすぐ流されるのは、ニンゲンである。 . . . 本文を読む