![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/82/4130f20ae78e8bef950a69221d8da8dd.jpg)
A青年から頂いた何通かの手紙
Aさんの免許証の制限事項は以下のようなものでした。
*ノークラッチ車であること
*車両総重量が1200Kg以下であること
Drの返信に対して二通目のお手紙を頂きました。
このお手紙でDrが感激した下りがありました。
「堀井様
とてもわかりやすい解説をありがとうございました。
・・・・・・・中略・・・・・・・・
ご存じのようにスパイダーにはオートマチックなどありません。
ですからノーマルでは乗れないことになります。
単純に申しますと改造が必要なわけです。
しかし、スパイダーを普通のオートマチックにしてしまっては余りにスパイダー が可哀想です。
オートマチックにはとても馴染みそうにないアルファのエンジン・・
発進時の上品なスピン・・
コンソールから突き出た長いシフトレバー・・
普通のオートマチックにしてしまうと失う物が余りに大きすぎるのです・・
出来ることならばクラッチを手動にしたい。
アルファのエンジンをフルに生かしたい。
アルファが好きならばオートマチックにするなんて本来ならば考えられないこと です。
しかし私は左足が不自由なのでノーマルでは運転出来ません。
出来る限りノーマルに近い状態でアルファに乗ることが出来れば・・ 」
これを読んでDrはちょっと感激しました
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田舎と言っては失礼ですが若干20歳代の青年がすごくイタ車(アルファ)の心?を理解しておられるということです。
更にDrはこれは何としてもAT仕様を作って乗せてあげたいと思うようになりました。
AT仕様に関しては同じコンポーネントの2000ベルリーナの北米仕様にAT仕様(BW製3速)があるので何とかコンバート出来る可能性があることを閃きました。
早速当時懇意にしていた伊藤忠オート出身のF氏に相談したら自身で改造作業をしても良いと言う嬉しい返事を頂きました
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/shootingstar.gif)
こうしてDrプロデュースのF氏製作担当でプロジェクトが始まったわけです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/60/34ca32f6260a09444b57eb9bf6936062.jpg)
F氏の仕事は完璧で純正仕様と言ってもバチがあたらない出来映えです
賢明な読者であればわざわざAT仕様を作らなくても当時(1990年)はType115のスパイダーAT仕様が有ったのではと思われるでしょう。
しかしもう一つの関門である総重量制限に引っかかるのです。
乾燥重量でさえ1,200Kgをオーバーしてしまいます。
そこでType11538欧州仕様のスパイダーなら乾燥で1,070Kgで総重量でも1,200Kgをクリアー出来ます。
(日本のばあいはの総重量は乾燥重量+55kgX定員)
迷わずベースはこのType11538(キャブ仕様!)にしてDrが輸入しました。
その他の改造はプロペラシャフトの調整やATミッションのスペース確保にコンソールボックスの製作などでした。
このプロジェクトはF氏の協力ナシでは実現しませんでしたしその妥協を許さない作業には敬服するばかりでした。
(ありがとうFさん!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/namida.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/db/b6289e178e193323795941e2bb8d06bd.jpg)
待つこと数年? やっとこの日が来ました! A青年とF氏に若き日のDr
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_en.gif)
目出度く世界に一台のスパイダーAT仕様は完成しました。
Drももちろん試乗しましたがベースがECキャブ仕様ですからエンジンのレスポンスや音は全然オリジナルに引けをとりませんでした。
旧式なZFのトルコンですがそれなりに快活に走りました。
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NAVI誌 94/5に記事を掲載 後半の2ページ (クリックで拡大)
記事掲載に関してはA青年とF氏の許可を取りNAVI誌に提案しました。
NAVIさんも快諾していただき取材の運びとなったわけです。
思い起こせば今から20年近くも前の話なんですね。
Drはこのスパイダーが今でも元気に走っているのか気になります。
もしかしたら今は優秀なシーケンシャルATも多数ありますしAさんも乗り換えておられるかもしれません。
それはDrとしても全くノープロブレムですしせっかく作ったのだから一生乗って欲しいなんて思いません。
世界で一台のこの身障者用スパイダーを提供出来たことが少しでも社会に貢献出来たとしたらとても嬉しく思います。
Drの20数年間のクルマ屋人生で最も印象に残る思いで深い出来事なんですから・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/namida.gif)
ブログもいつも楽しく拝見しています。
このNAVIの記事のこと、よく覚えています。
当時この記事を読んで感動し、そして「こんなスペシャルなクルマも製作できるお店でお世話になっているんだ」と心強く思ったものでした。
新しいHPも楽しみにしています。^^
私が作ったという自慢じゃなくてA青年のことを世間に知って欲しかったのですね。
A青年が載せないでと言われてたらもちろんあり得ませんでした。
fetta1.8はその昔に数多く売りました。
あの時は良き時代でした。