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昨日に続き出生率の話。
昨日取り上げたように日本では2006年の合計特殊出生率は1.32と、6年ぶりに上昇しましたが、基本的な少子化傾向は続いていると思われます。
少子化の流れを変えた例としてよく挙げられるのがフランス。
フランスの2006年の合計特殊出生率は“2”を超えて2.005でした。
人口が自然増に転じるためには2.08が必要と言われていますので、まだそこには届きませんが、ヨーロッパ各国が1.4あるいは1.3を下回るなかでは例外的な高い値となっています。
フランスも1994年には1.65まで低下しましたが、「人口こそ国力」との考えでフランス政府は人口問題を最優先課題として取り組んだそうです。
フランスでは子供ひとりにつき両親どちらかに最長3年間の育児休暇が認められ、この間月額約500ユーロ(約8万円)以上の休業補償が支給され、また、3年後の復職が保証されているそうです。
更に、家族手当をはじめとして約30種類の家族関連給付も行われているそうです。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/35414/(他、フランスの育児支援制度についての記事は多数あります。)
気合のいれかたが現在の日本とは違いますね。
しかし、これだけやれば“流れを変えることもできる”という見本でもあると思います。
少子化の将来社会に与える影響を考えれば、まさに最優先課題として万難を排して取り組むべきでしょう。
フランスの場合、法的な結婚の形態をとらない事実婚が急増しており、1970年には6%に過ぎなかった婚外子は現在約半数、つまり生まれる子供の二人にひとりは婚外子であるようです。
この点をネガティブに指摘する意見もあるようですが、私個人的には「婚外子で何が悪いの?」という感じです。
フランスでも当初あった婚外子に対する区別・差別は法的に取り除かれていったようです。
家族の形態は男女の社会的地位の変化、社会・経済環境の変化を受けて変わっていくものだと考えます。
現在の“家族”は数千年続いてきたモデルではありますが、男女ともひとりで生きていける環境・条件が出来てきた現在、子供が生産力として期待されずにすむ現在、そのありようは変化して当然であると考えます。
事実婚といった形で婚姻形態が緩み、更に離婚の増加、あるいはシングルマザーの増加というような現象も出てきます。
“伝統的家族”に固執するのではなく、このような様々な形態・現象をポジティブに捉えて、そこでの子育てを支援していく方策を採れば、出生率の増加も可能になるかと思います。
子供にとっての視点から言えば「形式的に両親がそろっていること」よりは、「たとえ片親でも、親が生き生きと暮らしていること」が重要だと考えます。
(行き過ぎると大人の都合に子供を合わせてしまうことにもなりまねませんが。)
また、フランスの出生率については「出生率が高い移民が増えているせいではないか」との指摘もよくあります。
移民問題そのものも様々に検討すべき問題ですが、こと出生率に関していえば、数字的に見ると多くの方が先入観をもつような全体数値への影響はないそうです。
http://d.hatena.ne.jp/fenestrae/20060128#p1
写真はパリの凱旋門・・・ではなくて、ラオス・ビエンチャンのパトゥーサイ(旧名称アーヌサワリー)。パリ凱旋門を模してつくられたものとか。
(2003年GWに旅行)
http://4travel.jp/traveler/azianokaze/album/10022139/