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パソコンに夢中? posted by (C)sheltie大好き
年金問題にからんで、特に自民党サイドからは“社保庁組合によるあきれた労働実態”をその原因のひとつにあげる意見を聞きます。
「組合は仕事をできるだけ自分達がさぼれるような覚書を結んで、まともに仕事しなくてすむような労働環境をつくっていた。そのため業務が遅れ、照合作業が進まず“宙に浮いた年金”が大量発生する結果となった。」云々。
その例としてワイドショーなどでは“どれだけ作業したら何分の休憩を与えること”といった、コンピュータ入力作業時の休憩時間に関する覚書もとりあげられたりしています。
社保庁の実際の労働実態がどのようなものだったかは知りません。
もし、それが非常識なものであったなら、いわゆる“お役所的”な非効率なものであったなら、当然に批判は受けるべきでしょう。
ただ、社保庁の実態は別にして、職場の労働条件を守るルールはあってしかるべきものであり、労働条件改善の覚書、その取り組みが“仕事をさぼるためのもの”というような見られ方をするのは釈然としません。
コンピュータ入力作業における休憩時間などのルール自体は別に社保庁だけのものではなく、作業従事者の心身の負担を軽減するために厚生労働省が定めた「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」が存在します。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/04/h0405-4.html
一般論として、何かことが起こったときの感情的な「そんな仕事ぶりだからこんな結果になるんだ。もっとしっかり働け!」という議論は、労働条件・環境を世間の一番劣悪な水準へ引き下げるような議論にもなりかねない点に注意する必要があるかと思います。
今回の年金問題の原因は、基礎年金番号による一元化を行うについて、社保庁にきちんとした実行計画がなく、発生した事態に関する対応が鈍く、一番は国民の生活を守るという責任感を決定的に欠いていたことでしょう。
社保庁内部の仕事のやりように問題があったとすれば、それは「そのような仕事のやり方でなんとかなる」と考えた“計画ミス”のひとつでしょう。
このような責任は、社保庁職員ひとりひとりも当然負うべきものですが、立場上一番重いのは社保庁のトップを含めた管理責任者であり、このような“行政の失敗”を放置してきた行政府だと思います。
高齢化社会をむかえ、年金は国民生活を支える最も重要な柱です。
この年金システムを守ることは外交や国防などと並んで行政府の重大な責務です。
その国家の果たすべき役割に国民が疑念を抱くようになった事態に対し、先ず内閣は明確な責任を示すべきだと考えます。
日本ではスキャンダルでよく大臣の首が飛びますが、本来政治責任は今回のような“行政の失敗”“失政”に対してこそ示すべきものであり、「この制度を導入したのは○○大臣のときだ・・・」とか「職員の仕事ぶりが怠慢で・・・」といったことを云々する前に、行政府の長である内閣総理大臣がその進退を明らかにすべきものかと思います。
そのうえで、新たな内閣のもとで先ず最初に行うべきことは、年金加入者・受給者全員に「今現在、あなたの年金加入期間はこのように把握管理されています。ご確認ください。」という通知を出すことかと思います。
膨大な費用がかかるのであれば、他の公共事業等の予算を流用しても対処すべき緊急・不可欠の処置ではないでしょうか。
写真は“フォト蔵”より。