孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

シリア  アレッポ包囲で飢餓状態 マンビジュでは誤爆も 反体制派の残虐行為 増大する犠牲者

2016-07-28 21:38:59 | 中東情勢

(がれきが散乱するシリアの路上で涙目のピカチュウ 【7月23日 AFP】)

政府軍・ロシア、のアレッポを包囲で飢餓状態 人道回廊設置も
シリア北部の国内第2の大都市アレッポでは、その支配権を巡って政府軍、反体制派、イスラム過激派、クルド人勢力など、シリア内戦主要メンバーが入り乱れての争奪戦が繰り広げられてきましたが、ロシアの支援を受けた政府軍の攻勢によって反体制派支配地域の包囲が完成したことが報じられています。

****反体制派北部拠点を包囲=シリア軍****
在英のシリア人権監視団は17日の声明で、シリア政府軍が北部アレッポの反体制派支配地域と外部を結ぶ道路を遮断し、同地域を完全に包囲したと明らかにした。政府側は反体制派との激しい交戦の末、道路の支配権を確保したという。
 
AFP通信によれば、軍は道路を行き来する人々を拘束するなどして締め付けを強化している。アレッポ東部には反体制派の拠点があり、攻勢を強める政権側に抵抗してきたが、物資補給が困難になれば弱体化が進む可能性が高い。【7月17日 時事】 
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政府軍による包囲によって、域内住民は食料・水が途絶する状況に追い込まれています。

****シリア政府軍、アレッポ包囲で補給路遮断 住民襲う食料難****
シリアのアサド政権軍が反政府派掃討を進める同国北部アレッポ市の戦況に関連し同市居住の報道写真家は28日までに、政府軍は市東部の反政府拠点に対する圧力を強めており、住民が確保出来る食料や水は払底しつつあるとの窮状を明らかにした。

報道写真家のカラミ・アル・マスリ氏がCNNに証言したもので、住民の空腹感は募る一方となっていると説明。多くの市場が閉鎖し、食料調達のために長い行列が出来ており、家族1世帯が得られるパンは2日ごとの6個のみだという。

シリア軍は27日、部隊と支持勢力が同市を包囲しているとし、反政府派拠点に通じる全ての補給路と回廊の切断を発表していた。

国営シリア・アラブ通信(SANA)は、軍は反政府派に対し保持する全ての武器引き渡しや、市内から立ち去るかもしくはとどまるよう求めたと伝えた。

住民は市内から退去を促す政府の文書を受け取ったとの情報もある。

ただ、マスリ氏は住民が退避を望んでもかなわない状況にあると指摘。市の東側地区は軍が完全封鎖し、全ての道路が切断される包囲下にあると述べた。

また、住民は政権軍が同市に進攻した場合、殺害される不安も抱いている。

アレッポ市内での市街戦は難しいことから軍の市内への進攻はない事態も有り得るが、住民を飢餓状態に直面させて投降を待つ選択肢を取る可能性があるとも述べた。

在英の反体制派「シリア人権監視団」によると、シリア軍のヘリコプターは26日、アレッポの一部地区に殺傷力の高い「たる爆弾」を投下し、少なくとも住民5人を殺害した。

国連はアレッポ市の現状を踏まえ人道危機が発生しかねないことへの深刻な憂慮を表明した。【7月28日 CNN】
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シリア内戦でも最も激しい戦闘が行われている地域に住民がまだ暮らしているということも不思議な感じがします。
安全な避難路がなく“出るに出らない”という状態なのか、「人間の盾」として使われているのか、何らかの意思で残っているのか・・・。

いずれにしても政府軍包囲、補給路遮断によって“飢餓状態”が進みます。
国連等の「人道危機」の懸念に対し、包囲戦を進めるロシアは一定の“人道配慮”をアピールしています。

****シリア情勢】ロシアが激戦地アレッポに人道回廊設置へ****
ロシアのショイグ国防相は28日、激しい戦闘が続くシリア北部アレッポで、シリア政府とともに複数の人道回廊を設置し、市民および降伏の意志がある武装勢力の戦闘員を市街に脱出させると表明した。インタファクス通信が伝えた。
 
ショイグ氏は回廊設置の理由として、武装勢力側の停戦違反が続き、人道上の問題が深刻化したためと述べている。回廊は計4カ所設置し、3カ所を市民用、1カ所を戦闘員用にするという。【7月28日 産経】
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“人道回廊”が政府軍・反体制派双方の攻撃に対し安全に機能するのかどうかは知りません。あるいは、避難したのち、反体制派協力者として拘束されるとか、そういったことがあるのかないのか・・・。

シリア政府軍・ロシアが一応の“人道配慮”をアピールしているということは、今後、住民を巻き込む激しい攻撃が予定されている・・・ということのようにも思えます。

クルド人勢力・アメリカのマンビジュ攻撃では誤爆も ISはテロで報復
一方、トルコの国境に近く、ISにとって武器や戦闘員の主要な供給ルートとなっているシリア北部のマンビジュに対しては、アメリカが支援するクルド人民兵とアラブ系の「シリア民主軍(SDF)」の関連組織が奪還作戦を行っています。

激しい戦闘において、誤爆も起きているようです。

****シリア空爆で市民多数巻き添えか、米軍が調査開始 IS掃討作戦****
過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦を進める米軍主導の有志国連合司令部のガーバー報道官は27日の記者会見で、今月19日にシリア北部マンビジュで実施した空爆で多数の市民を巻き添えにした可能性があるとして、調査を始めたと明らかにした。
 
シリア人権監視団(英国)は、空爆で子どもを含む市民少なくとも56人が死亡したと発表。住民らは空爆を有志国連合が行ったと主張していた。
 
ガーバー氏は、こうした主張を踏まえ「正式な調査をするのに十分な信用性があると判断した」と述べた。【7月28日 iza】
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死者56人のうち、子供は11人と報じられています。

なお、シリア関連報道で頻繁に出てくる「シリア人権監視団」なるものは、国連等の公的機関とは無関係の、イギリスに移住したシリア人が立ち上げたNGOであり、その情報の信憑性・中立性については疑問もあります。ただ、情報が絶対的に少ない中で、数少ない情報として利用されています。

アメリカの支援を受けるクルド人勢力の攻勢で劣勢に立たされている「イスラム国(IS)」は、クルド人居住地域へのテロ攻撃で報復しています。

****シリアで爆発、44人死亡 ISの犯行か****
シリアの少数民族クルド人が多く住む北東部カミシュリで27日、大きな爆発があった。シリア国営通信によると44人が死亡、140人が負傷した。過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を出した。シリア北部マンビジュでISがクルド勢力に包囲され、米主導の有志連合の空爆を受けたことへの報復だとした。
 
AFP通信によると、トラックに仕掛けられた爆弾が爆発し、近くにある燃料のコンテナに引火して爆発した。爆発の影響で、国境を挟んでカミシュリに隣接するトルコ側の街の商店の窓ガラスも割れた。

内戦が続くシリアで、カミシュリのあるハサカ県はクルド系武装勢力が大半を実効支配しており、米主導の有志連合の支援を受けてISと戦闘を続けている。【7月27日 朝日】
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反体制派の残虐行為も
住民への残虐行為としては「イスラム国(IS)」の非道がしばしば報じられており、またシリア政府軍による「たる爆弾」攻撃での住民被害も報じられていますが、アメリカが支援する反体制派による残虐行為も。

****シリア反体制派が少年の首を切断、映像公開後「ミス」認める****
シリア北部アレッポの反体制派武装組織が少年の首をはねて殺害する映像がソーシャルメディアに投稿され、市民や反体制派の間で怒りの声が上がっている。
 
19日にソーシャルメディア上で拡散された映像には、アレッポ市内の反体制派支配地域の公道上で、ピックアップトラックの荷台に乗せられた少年が反体制派の武装組織「ヌルディン・アルザンキ(Nureddin al-Zenki)」の戦闘員に首をはねられる様子が映っている。
 
映像の中でヌルディン・アルザンキは、この少年がシリア政権寄りのパレスチナ人組織「アルクッズ旅団(Al-Quds Brigade)」に所属して戦闘に参加していたと非難。アレッポ北部での戦闘中に捕虜として拘束したと説明していた。
 
しかし、アルクッズ旅団は殺害された少年は組織の構成員ではなく、パレスチナ難民の12歳の一般市民だとする声明を発表した。
 
ヌルディン・アルザンキは19日の声明で、少年の殺害を「違反行為」として非難するとともに、組織の方針とは無関係の「個人的なミス」だと弁明。関与した複数の戦闘員の身柄は既に拘束しており、捜査のために司法委員会を設けて、できるだけ早期に評決を下すと説明している。

「こんな子どもを虐殺するなんて。公正な裁きを受けさせるべきだった。政権との捕虜交換だってできた」。市民からは、少年殺害を「憎むべき行為」と非難し、反体制派の名を汚したと批判する声が上がっている。

アレッポのモスク(イスラム教の礼拝所)では19日の日没の祈りの集会で、イスラム教指導者が「これは犯罪行為であり、イスラム教で禁じられている」と語った。【7月21日 AFP】
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日常的となったシリア人の死に涙目のピカチュウ
各勢力入り乱れての激戦のなかで、住民犠牲者の数だけが増えていきます。

****内戦のシリアに涙目のピカチュウ、ポケモン合成画像で窮状を訴え****
がれきが散乱するシリアの路上で悲しそうな目をして座っているねずみポケモンの「ピカチュウ」。銃を持ったイスラム過激派と並ぶ、かえんポケモン「リザ―ドン」
 
これらの印象深い合成画像を作ったのはシリア人アーティストのハリド・アキルさんだ。アキルさんら数人の活動家やアーティストは、スマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」の世界的な人気を利用して、内戦で傷ついたシリアの窮状に関心を集めようとしている。
 
アキルさんのウェブサイトに投稿された合成画像は、6年目に入り28万人以上の死者を出したシリア内戦の報道写真にポケモンたちをはめ込んだものだ。
 
建物から外装が剥がれ黒こげの車から煙が立ち上る、爆撃直後のように見える写真もある。あちこちにがれきが散らばる通りを歩く子どもの写真には、耳を垂らして座るピカチュウが合成され、荒廃した道を自転車で走る少年の写真にはあわはきポケモン「シャワーズ」が合成されている。
 
アキルさんはAFPに対し、「シリアのニュースとポケモンGOのニュースがごちゃ混ぜに報じられているのを見て、このアイデアを思いついたんです」と話した。「私が暮らすシリア北部アレッポの破壊された様子を捉えた写真を探し、シリアでポケモンGOを遊んだらどんなふうになるだろうか、内戦はポケモンたちにどう影響するだろうかと想像をめぐらせました」
 
アキルさんは「このささやかなプロジェクトの目標は、シリアで起きていることに光を当てることです」「内戦は5年たっても終わらず、残念ながらシリア人の死はありふれた、日常的なニュースになってしまいました」と語った。【7月23日 AFP】
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