孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

日中間の国民レベルの相互理解の進展に期待を込めて

2016-07-04 21:51:55 | 中国

(6月30日、中国重慶市で、同市と日本の広島市の友好都市提携30周年記念イベントが行われました。
会場では、多くの重慶市民が浴衣を着て日本の伝統文化に触れている姿が注目を集めたそうです。【7月3日 Record China より】)

国民レベルの交流で深まる相互理解
中国からの日本への観光客が急増するなかで、従来の反日プロパガンダ的思考にとらわれず、日本社会の優れた点をありのままに評価するような声が多く出されるようになっていることは、これまでも取り上げてきました。

2016年1月19日ブログ“中国からの来日観光客が年間500万人 民意を左右する大きなファクターに”http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20160119
2015年12月13日ブログ“中国 「日本人は嫌いだ」と言いつつも、日本への高評価も”http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20151213

もちろん、こうした日本への好意的な声が中国全体においてどれだけのものとなっているのかはわかりません。
従来どおりの反日的な考えも根強く存在しているのでしょう。いまだにそうした声の方が多数派なのでしょう。

そうであるにしても、また、好意的になるかどうかは別としても、ありのままの日本を見ようとする者が中国にも一定数存在し、日中間の交流によって増加していることには期待を禁じえません。

日本政府にしても、中国政府にしても、自らの立場を強め、相手を封じ込めようと争うばかりで、政府主導の両国関係の改善が全く期待できない現状にあって、観光客の往来や地道な文化交流などによって、国民レベルでの融和を進めていくしかなく、また、協定とか条約とかに関係なく、そうした国民レベルでの融和こそが本当の意味での両国関係の改善をもたらすものであると考えます。

もちろん、日本からみたとき、しばしばこのブログでも指摘するように、中国の政治体制に多くの深刻な問題があることは事実ですが、そのことと国民レベルでの関係改善・融和を進めることとはまた別の問題です。

両国間には尖閣諸島を巡る対立や南シナ海問題など政治的問題も多々ありますが、国民間の融和がない状態では、そうした問題が危険な方向に進むことも懸念されます。問題があるからこそ、相互理解を進める必要があります。

中国から日本に来てみて驚いた、とても素晴らしい経験をした・・・といった類の記事は、毎日、それも複数紹介されていますが、今日の記事からひとつだけ。

****<中国人観光客が見た日本>九州旅行体験記(下****
2016年6月28日、中国のインターネット上にこのほど、上海在住の中国人旅行者による九州旅行の体験記が掲載された。(中略)

あっという間に5日間が過ぎ、帰国準備となった。朝早く起きて荷物をまとめ、空港に到着。搭乗手続きを済ませ、空港内を2周も散策してから手荷物検査を受けようとしたところで、購入した日本の化粧水などを手荷物の中に入れたままであることを思い出した。この時すでに搭乗30分前だった。

中国では、手荷物検査で持ち込み禁止の品物が見つかると「直接没収になる」ため、筆者はせっかく買った化粧水を捨てることを覚悟した。

ところが「思いがけないことに」検査員は、筆者をボーディングパス発行カウンターに連れていき係員に説明。係員は、筆者の持ち込み禁止の化粧水などを段ボールに入れ始めた。

ふたが閉まらないほどたくさんあったため箱詰めを手伝うと、係員から「ありがとうございます」と言われたそうだ。筆者は「こっちがありがとうと言うべきなのに…」と、係員の対応に感心した様子だ。

その後、受託荷物の札を航空チケットに張ってくれたが、「このサービスには本当に言葉も出なかった」と、日本と中国の空港での対応の違いに大変感動した様子だ。【7月4日 Record China】
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もちろん、日本での体験はいいことばかりではありません。
上記記事の旅行者は、旅行中の飲食店で会計をすませたのに、まだ支払っていないと勘違いされ足止めされるというような不愉快なことも経験しています。

言葉が通じない場合、ちょっとした勘違いで不愉快な思いをしたり、させたりすることが少なくありません。
私自身がアジア各国を一人旅で観光するときも、そんな経験がよくあります。

勘違いに気づいたときは素直に謝罪することで、不愉快さも幾分かは軽減されることになります。
また不愉快な思いをした方も、相手方の単なる勘違い・ミスによるものであることを冷静に受け止め、「○○人はこれだけから困る・・・」的な型にはめ込むような反応を慎むようにすることも必要かと思います。

ある民族が別の民族を蔑視するという態度は何も良いもの生み出さないばかりか、最悪の事態を生じさせる危険がある
日本人が中国の日本への感情を気にするように、中国側は日本人の中国への感情を気にしています。
ずいぶんと直截的なパフォーマンスも紹介されています。

****93%が「中国嫌い」という日本で、中国人がハグを求めたらどうなるか=中国メディア****
中国メディア・今日頭条は3日、「93%の日本人が中国を嫌っている? 中国人が日本の街頭でハグを求めたらどうなるか」とする記事を掲載した。

記事は、以前日本の男性が中国大陸の各都市や台湾、香港の街頭で通りすがりの人にハグを求めるパフォーマンスを行い、日中友好の成果が得られたと説明。そこで今度はある中国人男性が日本の街頭で同じような実験をしたと紹介した。

紹介された動画では、「私は中国人です。中国では多くの人が日本人は中国人のことが嫌いであると思ってます。でも私はそう思っていません」、「私はあなたを信じます。あなたは私を信じてくれますか? もしそうならハグを」と書かれた2枚のボードをバックに、目隠しをした男性が通行人にハグを求めて立っている。

最初は、足を止めて見る人はいるものの、なかなか男性と抱擁を交わす市民は現れない。しかし、しばらくすると小さな男の子が歩み寄って男性の腰に手を回した。

すると、男性女性を問わずハグで応えてくれる人が続々と出現。わざわざ自転車を止める人、キャリーバッグを引く若い女性、スーツ姿の男性などがハグを行った。

動画は最後に「平和、信じることから始めよう」というメッセージを残して終わる。記事は、この「実験」について、日本人が中国でハグを求めた時と同じ結果になったと評した。

日本には、確かに中国や中国人に対してあまりいいイメージを抱いていない人も少なからず存在する。

しかしそれだけではない。中国という国に対してネガティブであっても個人に対しては好意を持つ人もいれば、中国にも中国人にもポジティブな考えを持つ人もいる。

そして、そのいずれでもなく、そもそも「考えたことがない」という人もたくさんいるのである。
ハグを求めるパフォーマンスはそのことを知る手段の1つに過ぎないのだ。【7月4日 Searchina】
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こうしたパフォーマンスの好き嫌いはありますが、互いが「相手は自分たちを嫌っている」と身構えた状態を緩和して、ありのままを見るようにすることができれば多くの双方の誤解も解けるのではないかと思われます。

****日本を敬服し、同時に蔑視 日中は互いに劣等感を抱き、かつ尊大=中国****
中国メディアの龍訊財経はこのほど、日本と中国はどちらも相手に対して劣等感と尊大さの入り混じった複雑な感情を抱いていると主張する記事を掲載した。

記事は中国が日本に対して示す尊大さの事例の1つとして、「小日本」という蔑称を紹介。この蔑称は日本に対する一種の潜在的な軽蔑を示すものだと指摘。

一方で中国が日本に対して抱く劣等感についても紹介。例えば日本の電化製品、現代化が進んだ社会、海外で名高い日本人のマナーの良さなどに対しては「敬服せざるを得ない」という見方を示した。

また記事は日本が中国に対して示す尊大さは、19世紀末の日清戦争の後に生じたと説明。「かつて日本の軍国主義は中国を腐敗、没落、未来のない国として宣伝した」と主張する一方、日本が中国に対して抱く劣等感は、日本文化の源が中国文化にあるという「先天的な依存」に起因するものだと主張。

また、近年中国経済が著しく成長し、日本経済を国内総生産(GDP)で上回ったことも、日本の中国に対する劣等感につながっていると論じた。(中略)

間違いなく言えることとして、ある民族が別の民族を蔑視するという態度は何も良いもの生み出さないばかりかかえって最悪の事態を生じさせる危険がある。

第二次大戦時のナチスの行動、またフツ族とツチ族の間に生じた悲惨な出来事が、そのことを十分すぎるほど証明している。

われわれはこうした歴史から学んで同じ過ちを繰り返さないようにすべきであろう。【7月1日 Searchina】
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懸念される日本の「内向き志向」】
相互理解ためには、互いが相手の国に足を運び、自分の目で見てみることが一番ですが、訪日する中国人が急増してるのに対し、日本から中国へ行く旅行者が急減していることが気になります。

****中国を訪れる日本人旅行客が250万人に届かず!激減の理由は何****
2016年6月27日、中国網によると、2015年に中国を訪れた日本人旅行客が延べ249万7700人だったのに対し、韓国人旅行客は444万4400人に上った。

2004年以前は日本が中国にとって最大の旅行客送り出し国となっていたが、その後、韓国が1位となった。それでも07年の日本人旅行客は400万人近くいたが、15年は250万人を割るまでに縮小。15年の訪中日本人客は前年比8.1%減、外国人客に占める割合は10%未満で、6.3%増となった韓国人客は全体の17.1%を占めた。

一方、日本を訪れる中国人客は07年の100万人未満から500万人を突破するまでに急拡大している。

この問題について、中国旅遊研究院の関係者は「数多くの原因がある」と述べ、経済情勢や為替レートの変化、プロモーション方法などを挙げる。

さらに、「人口の少ない韓国が日本を超える訪中客を送り出しているということは、日本人の中国旅行への意欲が韓国をはるかに下回っていることを意味する」とも指摘。

データによると、15年に観光目的で中国を訪れた日本人は全体の15.7%(約39万人)で、韓国の45.5%(約202万人)と大きな開きが出た。

24歳以下がその国の訪中客に占める割合は日本が6.7%、韓国は10.6%。また、14年に日本人を対象に行われた意識調査で「訪中旅行に興味がない」と答えた人は約60%、「中国に行ったことはなく、数年以内に行くつもりもない」は70%強に上った。

前述の関係者は「この状況の出現には複雑な原因がある」と指摘した上で、「日中双方が旅行客のニーズをいっそう理解する必要がある。これに向けてより多くの取り組みを行うことが最優先」と説明。「こうすることで、地理的、文化的に近いという強みを生かすことができる」とした。【6月28日 Record China】
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たしかに日本は素晴らしい国ですが、その良さも外の世界と比較して正しく認識できるものでしょう。
単なる「内向き志向」は、日本社会のガラパゴス化を加速させることにもなります。

そうした点で、1日にバングラデシュ・ダッカで起きた日本人7人を含む人質20人が殺害されたテロのような事件が、日本の「内向き志向」を更に強めるのではないかとも懸念されます。
コメント
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