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(中国共産党の創設メンバーの李大釗や陳独秀が早稲田に在学していた歴史的つながりや、最近では卓球の福原愛も早稲田ということもあって、早稲田の中国での人気、知名度、ブランド力は抜群だそうです。【10月14日 DIAMOND online】)
【依然として多い“失踪する技能実習生”】
日本に滞在する中国人という話では、従来からあるのは技能実習制度を利用して来日した者が失踪してそのまま日本で・・・というパターンが従来からあります。
経済成長著しい中国ですから、別に日本に違法な形で住まなくても中国国内に働き口はあるだろうに・・・とも思いますが、そうした従来型パターンも依然として多いようです。
****失踪する技能実習生、その大半が中国人「不法滞在者の働き口が増えた」=中国報道****
厚生労働省によれば、日本の技能実習制度は、「技能、技術または知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う人づくりに協力すること」が目的であり、中国からも多くの人が技能実習生として来日し、日本で技術を学んでいる。
だが、中国メディアの中華網は7日、中国やベトナム、インドネシアなどから日本に来ている技能実習生の失踪が年々増加していると伝え、
記事は、日本が受け入れている技能実習生の多くは中国人であることを紹介しつつ、失踪する技能実習生についても「その大半が中国人だ」と指摘した。
また、2011年から15年までの5年間で失踪した中国人技能実習生の数は約1万人に達すると伝えつつ、「中国経済の発展により、中国人の所得も徐々に伸びてきているものの、それでも失踪して不法滞在する中国人にとって日本の給与水準は依然として魅力的なのだ」と主張した。
さらに、不法滞在の中国人にとって、以前は「不法滞在であることを知っている」中華料理店などでしか働き口がなかったとしながらも、日本が2015年4月に外国人が日本で起業する際の制限を撤廃したことで、不法滞在者の働き口が増えたと主張。多くの中国人が経営管理ビザを取得して日本で会社を設立するようになったことで、こうした会社では「人件費を抑えるために不法滞在者を雇用している」と伝えている。【12月8日 Searchina】
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技能実習制度については、これを悪用する外国人側の問題と、外国人を低賃金で働かせるための手段として機能している日本側の実態、及びそこから派生する様々な違法・非人道的扱いの問題などがありますが、その件については今回はパスします。
【急増する中国人留学生 コストパフォーマンスの良さに加え、日本への関心の高さも】
一方、依然として反日感情は根強い中国ですが、中国観光客の急増とも並行して、富裕層の日本への留学生も急増しているそうです。
2015年の日本への留学生の2人に1人が中国人だそうです。
****中国人留学生だらけになった東大 「爆留学」の到来*****
人口減少、経済成長率0.5%、原発問題など難題が山積し、あまり元気がない日本。だが、米国より日本を目指す中国人が最近、増えているという。
「爆買い」ではない。「爆留学」や「爆就職」という新たな潮流が押し寄せ、日本社会を闊歩しているのだ。ジャーナリストの中島恵が現状を取材した。
「日本の早稲田大学は中国共産党の創始者が留学した大学なので、私の老家(田舎)でもすごく有名。もし私が早稲田の学生になれたら、一生友達や親戚に自慢できますよ!」
頬を赤らめながら話す黒髪の女性、陳静(仮名)はまだ19歳。中国河南省にある高校を卒業後、中国の大学入学試験は受験せず、日本での進学を夢見て昨年来日した。
彼女は日本語学校に籍を置きながら、後述する中国人専門の大学進学予備校にも通うダブルスクール族。2校合わせて学費は年間150万円に上り、それ以外に生活費もかかるが、故郷に住む両親はかわいい一人娘のため、喜んで留学資金を出してくれたという。(中略)
今、彼女のようにわざわざ来日して、日本の難関大学進学を目指す中国人がじわじわと増え続けている。
独立行政法人・日本学生支援機構(JASSO)によると、2015年の中国人留学生数は約9万4千人と全外国人留学生中トップ。全体の約45%に上り、第2位のベトナム人(約3万9千人)を大きく引き離している。留学生の2人に1人が中国人という計算だ。(中略)
中国にももちろん、北京大学や清華大学といった難関大は存在する。それなのに、なぜ彼らは日本の大学に進学したいのか。
背景には中国国内の過酷な受験戦争と中国人の経済力の上昇、それに伴う海外留学ブームがある。
中国の大学入試は1年に1度。毎年6月に2日間、全国一斉に行われる統一試験だ。日本のように試験日の異なる私立大学があるわけではなく、浪人も一般的ではない。
統一試験でよい成績を収めなければ、希望の大学に進学することはできない。人口が日本の10倍以上の13億7千万人なのに、一流といわれる大学数が限られている中国では、大勢の人がそこに殺到し激戦となる。一流大学に入学できなければ、よい就職も望めず負け組になりかねない。
中国特有の複雑な戸籍制度も関係している。中国の戸籍は都市戸籍と農村戸籍に分かれており、農村から都市への移動は制限されている。それに伴い、省ごとに各大学の入学者数が決められており、農村出身よりも都市出身者のほうがよい大学に進学しやすい傾向がある。
そうした大学受験に伴う不公平もあって、中国で一流大学への進学は難しいと判断し、かつ両親に経済力がある場合、いっそのこと中国の大学はやめて海外の一流大学を目指そうという動きが高まっているのだ。
その第1候補はやはりアメリカだ。米国国際教育研究所(IIE)の調査によると、14〜15年度にアメリカ留学した中国人は約30万4千人と、アメリカの留学生全体の約3分の1(2位はインド人、3位は韓国人の順)で、日本への留学生の約3倍だ。中国のGDPが2ケタの伸びを示すようになった00年代以降、上昇し始めた。
また、英タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)が発表した世界大学ランキング(16〜17年)を見ると、1位は英オックスフォード大学、2位は米カリフォルニア工科大学、3位は米スタンフォード大学の順で、やはり欧米の大学が圧倒的に人気。
アジア勢では24位にシンガポール国立大、29位に北京大が入っており、東大は39位。ランキングを見る限り、日本の東大は世界的に見て上位ではない。それなのになぜ、日本に留学したい、という声が高まっているのか。
北京大を卒業し、東大大学院博士課程に在籍する朱偉(仮名・26歳)の回答はこうだ。
「北京大が東大よりもランキング上位? そんなの中国人は誰も信じないですよ。そもそもイギリスの会社が発表したランキングで、評価基準は曖昧で欧米有利。教授の英語論文の数では日本が不利なのは当たり前だし、英語で学位が取れるコースも日本はもともと少ない。でも、少なくとも教授の質という点で東大はアジアでナンバーワンだと自分は思います。」(中略)
自分が日本に留学しているからそう答えるのでは?とも考えられるが、アメリカ在住の中国人からも「アメリカより日本の大学に進学している人のほうが幸せで健康そうに見える」という興味深い意見を聞いた。
中国の理系トップ、清華大学を卒業し、米東部の一流大学の大学院に進学した段夢影(27歳)はこう話す。
「アメリカでの中国人同士の足の引っ張り合いはものすごいですよ。中国で秀才といわれた負けず嫌いのプライドの高い人たちが、中国での競争をそのままアメリカに持ち込むのです。私は友人を罠にはめて蹴落とそうとする人を大勢見てきました。そうしないと、中国人が多すぎるアメリカでは生き残れないから」
「でも、日本への留学は違う。東大や京大には一流の教授がいて面倒見もいい。それに日本人はアメリカ人のような人種差別はしません。中国人留学生もアメリカのようにウヨウヨいるわけではないので、日本ではまだ希少価値だし、足の引っ張り合いも少ない。日本は社会が穏やかで生活しやすい。つまり、ランキングだけでなく総合的に判断して、日本に留学したいと思う中国人は多いのです」
西海岸の一流大学大学院で学ぶ男性、王剣翔(25歳)も同意する。
「アメリカには金持ち中国人を当て込んだ専用の修士コースがあります。でも、そんな中国人向けコースを修了したって恥ずかしいだけ。それよりも距離的に近く、学費もアメリカの7分の1〜8分の1と安く、夜道も安心、食品も安全。同じ漢字圏で文化的にも近い日本のほうが断然いいという意見が多いです。私の場合は数学専攻で、アメリカに私の専門分野に合った教授がいたのでアメリカを選んだのですが、私たち90后(90年代生まれ)の中国人は日本のアニメに親しんで育ち、日本に憧れの気持ちを持ってきました。
だから、経済的に豊かになった今、日本に留学したいと願う若者が増えたのは、ある意味で当然だと思います」(週刊朝日 2016年12月16日号)【12月9日 dot】
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苛烈な中国国内の教育・就職事情に加え、中国人留学生が飽和状態のアメリカのように競争が激しくない、日本は人種的差別が少なく暮らしやすい、日本への文化的憧れが強い・・・などの事情が、日本への中国人留学生急増の背景にあるようです。
もちろん、教育の質とか学費の安さ・奨学金制度の充実といったコストパフォーマンスの良さもありますが、やはり日本を留学先に選ぶ心理的背景には、上記記事にもある“90后(90年代生まれ)の中国人は日本のアニメに親しんで育ち、日本に憧れの気持ちを持ってきました”という文化的側面や日本への関心の高さが強く影響しているように思われます。
日本への関心の高さについては、以下のようにも。
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・・・・(日本への中国人留学生急増に関して)1980年代から90年ごろまでの勢いがある日本ならばともかく、財政赤字が深刻なうえ、東日本大震災からの復興も遅々として進まない「元気のない日本」にあえてなぜ?という気もする。
その点について、上海在住のビジネスマン、孫一棟(46歳)は日本を目指す中国人の心理をこう説明してくれた。
「多くの中国人から見て、日本はすぐ隣にある最もよいお手本のような国。日本政府のことをほめているのではなく、日本の一般市民についてです。東日本大震災のときのマナーを見て多くの中国人は感動の涙を流しました。いくらアメリカが一番といっても、同じ東洋の日本は最も注目に値する存在。戦後も内乱などで不安定な時代が長かった中国と比べ、日本は驚異的な経済成長を遂げた。日本はなぜこんなにすばらしい国になったのか、その理由を知りたい、と思う中国人は年代を問わず今も非常に多いんです」【12月9日 dot】
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【「受け入れる」から「来てもらう」への変化も】
日本で暮らすためには住む部屋を探す必要があります。
外国人が部屋を借りるのは日本にあっては難しいのでは・・・とも思われますが、そのあたりの部屋探しの事情も以前とは様変わりしており、中国人にとって住みやすくなっているようです。
****日本で部屋を借りやすくなった中国人留学生、過去の経験者「考えられない!」 =中国メディア****
中国経済の急成長に伴う中国人の生活水準向上に伴い、日本で生活する際に中国人が抱えてきた問題が過去のものになりつつある。中国メディア・環球網は11月30日、日本で中国人が部屋を借りる際の状況が大きく変化したことについて、「想像もできなかった」とする記事を掲載した。
記事は、東京・新宿の街頭では「外国人向け」、「外国人歓迎」と書かれた不動産会社の看板をしばしば見かけると紹介。東京全体の不動産市場が中国人に開放されつつあり、多くの不動産会社が中国語版サイトを立ち上げ、中国語のサービス提供をうたっているとしたうえで「これは、十数年前では想像できなかった」と伝えた。
そのうえで、2004年に東京で部屋を借りる際には非常に面倒な段取りが必要だったと説明。
まず、大家が外国人に貸す意思のある物件を探すのに難儀し、部屋が見つかると今度は非常に細かい担保の資料の提出を求められたと紹介した。
しかし現在では「不動産会社がすぐに内見を手配してくれ、その日のうちに満足のいく部屋が見つかる。翌日には手続きが済み、3日目には部屋のカギが手に入る」とし、「これほど効率の良い中国人向けサービスが実現するとは、これまで考えもしなかった」と評している。
さらに、部屋を借りるのが楽になったばかりではなく、中国人留学生が直接日本の部屋を買うケースすらあると紹介。ある不動産会社の日本人スタッフが「中国人留学生は本当にお金を持っている。ローンを組まずに全部払っちゃうんだから」と感嘆したことを伝えた。
記事はその一方で、外国人に対してなおも偏見を持っている大家も一部にはいるという不動産業関係者の話を紹介。本当に支払い能力があるかどうかを確かめるために「面接」を求める大家もいると伝えた。また、現在はベトナムからの留学生が増えているが、一部の不動産会社ではベトナム人が賃借する際の審査を特に厳しくおり、「まるで10年あまり前の中国人留学生に対するようである」とした。
日中両国間の関係の変化が、さまざまな部分で具体的に表れつつある。中国人留学生が日本に留学しやすくなり、部屋も借りやすくなったというのはその事象の1つに過ぎない。
留学生を「受け入れる」から「来てもらう」への変化も然りだ。変化を加速させたのは紛れもなく中国の急速な成長、台頭である。
もはや「これまではそうだった」という考えは通用しなくなりつつある。日本は、中国や中国人との新しい付き合い方に慣れていかなければならない。【12月1日 Searchina】
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“現在、日本の多くの不動産会社は、外国人スタッフを採用しており、特に中国人が多い。さらに、「中国部門」や「留学生部門」などを設置している不動産会社もある。以前は、外国人が日本で家を借りる際に、保証人が必要で、保証人の資料も徹底的にチェックされた。しかし、現在は、専門の会社が保証人になってくれるため、手続きはとても簡単になった。”【12月2日 Record china】というように、日本の不動産業界も中国人留学生を顧客ターゲットとして重視しているようです。
日本の大学や大学院で学んだあと、そのまま日本企業に就職する中国人も増加しているそうです。
****日本企業に残る学生の「爆就職」 エリートの指定席が奪われる!?*****
・・・・その波はさらに一歩進んで「爆就職」にも広がっている。日本の大学や大学院で学んだあと、すぐに中国に戻るのはもったいない、日本で就職するほうが自分のキャリア形成やステップアップのためになる、と考える中国人が増えているからだ。
法務省の在留外国人統計によると、15年末の時点で在日中国人は約66万6千人。在留資格別に見ると、ホワイトカラーが増えており、「技術・人文知識・国際業務」ビザの取得者は約6万人に上っている。「医療」「教育」「教授」などのビザ取得者も増えている。
中国人留学生といえば居酒屋かコンビニでアルバイト、就職も中国関係の中小企業のみ、という時代はとっくに終わり、ありとあらゆる業界・業種に活躍の場が広がってきている。
大手銀行、大手商社、大手メーカーなどでは外国人を積極的に採用するグローバル採用をしているが、外国人採用の中で最も多いのは、やはり中国人なのだ。
都内の大学院で学び、大手法律事務所に就職した劉海(仮名・29歳)は、中国に投資する日本企業の知的財産権問題などを担当。企業担当者から信頼されて充実の日々を送っている。
「あと数年、日本の事務所で経験を積み、人脈を構築したあとは、中国で弁護士として活躍したい」と目を輝かせる。(中略)
中国人が日本企業に数多く就職している、と聞くと「中国人は日本を乗っ取ろうとしているのでは? スパイではないか?」と疑う日本人がいるかもしれないが、それは杞憂だ。彼らはただ中国とは比べ物にならないくらい居心地のいい日本に住み、快適な生活をし、日本でしか学べない勉強や仕事をしたいと思っているだけなのだから……。(週刊朝日 2016年12月16日号)【12月9日 dot】
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日本での永住権取得も従来より容易になるのでは・・・とも期待されているようです。
****日本の永住権が取得しやすくなるかも!ハードル大幅低下と期待の声=中国報道****
優秀な外国の人材/を呼び込むことを目的に、日本政府は永住権を申請するうえで必要な滞在期間を最短1年に短縮する方針だと報じられたことについて、中国メディアの観察者は26日、「日本版のグリーンカード取得のハードルが大幅に低下することになる」と期待を示した。
記事は、日本で学ぶ留学生の間でも永住権取得に関する日本政府の方針が直ちに広まったと伝えつつ、「本来であれば日本に長期間にわたって滞在していなければ取得できなかった永住権が直ちに取得できる可能性が出てきた」と紹介。
法務省によれば、現行の制度のもとで外国人が日本の永住権を取得するためには「引き続き10年以上、日本に在留していること」かつ、「その期間のうち、就労資格または居住資格をもって引き続き5年以上在留していること」が求められる。
記事は、「高度専門職」と呼ばれる在留資格が今回の緩和の対象となることを紹介し、永住権取得のハードルが大幅に引き下げられれば、留学中の中国人大学生も大学卒業から数年程度で永住権が取得できる可能性があると主張。日本にいる数多くの中国人留学生にとっても永住権取得が従来より容易になる可能性があると期待を示した。
一方で、中国人が日本の永住するうえでは「社会的なハードルは依然として高い」と主張し、日本は米国のような移民国家ではないため、外国人が社会に溶け込むのは容易ではないと論じたほか、日本の企業文化も保守的で、労働時間が長く、残業が一般的であることも永住するうえでの「社会的なハードル」だと伝えている。【12月1日 Searchina】
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もちろん留学生急増に伴う様々な問題はあるのでしょうが、基本的には、日本を深く理解してくれる中国人が増加することは、今後の日中関係改善にとって非常に重要なことです。安全保障の面でもミサイルや航空機よりはるかに重要な存在ともなるでしょう。
また、少子高齢化・労働人口減少に直面する日本経済・社会にとっても、外国人への門戸を解放していくなら、まずは文化的・歴史的・地理的・経済的・・・あらゆる面で一番近い関係にある中国人がその対象となるでしょう。
中国の民主化にとってもプラスですし、そのことは結果的には日本にもプラスになります。