(【1月18日 ANN】 17日のフーシ派によるUAE首都アブダビへの攻撃)
【国連、鎮静化要請 しかし、戦闘は拡大】
中東イエメン情勢については、1月22日ブログ“イエメン フーシ派のUAE攻撃にサウジなど連合軍報復 国際支援が更に困難になる懸念も”で取り上げたように、イランの支援を受ける反政府勢力フーシ派が17日 アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビの工業地帯や国際空港に対しドローンを使った攻撃を行い、これにサウジアラビア主導の連合軍が21日に空爆で報復、多くの死者が出ています。
多数の民間人を巻き込む戦闘激化に対し、国連は声明で事態の鎮静化を求めています。
****イエメン 空爆犠牲者91人に 国連が事態沈静化訴える****
内戦が続く中東のイエメンで、政権側を支援するサウジアラビアなどが先週、反政府勢力の支配地域で行った空爆の犠牲者は、さらに増えて91人となりました。
国連は双方の攻撃のエスカレートで民間人が巻き込まれ、人道危機がさらに深まっているとして事態の鎮静化を訴えました。
イエメンでは、サウジアラビアやUAE=アラブ首長国連邦が支援する政権側と、イランが支援する反政府勢力との間で6年以上にわたって内戦が続いています。
サウジアラビアなどが21日に北部サアダ県で行った空爆では拘束した人を収容する施設が破壊され、反政府勢力側は25日、犠牲者の数がさらに増えて91人となったと明らかにし、「民間人が標的になった」として反発を強めています。
空爆の翌日に現地で撮影された映像からは、人道支援団体などが救助活動を行う様子などが確認できます。
この空爆について国連は25日、声明を出し、「この3年間でもっとも多くの民間人が犠牲になった最悪の惨事だ」などと非難したうえで、反政府勢力側による攻撃でも民間人の犠牲が出ており、双方の攻撃のエスカレートで人道危機がさらに深まっているとして事態の鎮静化を訴えました。【1月26日 NHK】
サウジアラビアなどが21日に北部サアダ県で行った空爆では拘束した人を収容する施設が破壊され、反政府勢力側は25日、犠牲者の数がさらに増えて91人となったと明らかにし、「民間人が標的になった」として反発を強めています。
空爆の翌日に現地で撮影された映像からは、人道支援団体などが救助活動を行う様子などが確認できます。
この空爆について国連は25日、声明を出し、「この3年間でもっとも多くの民間人が犠牲になった最悪の惨事だ」などと非難したうえで、反政府勢力側による攻撃でも民間人の犠牲が出ており、双方の攻撃のエスカレートで人道危機がさらに深まっているとして事態の鎮静化を訴えました。【1月26日 NHK】
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しかし、戦闘は収まらず、24日には再びフーシ派はUAE首都アブダビを攻撃しています。
****UAE ミサイルの攻撃受け迎撃 イエメン反政府勢力 攻撃を発表****
中東のUAE=アラブ首長国連邦は24日、ミサイルによる攻撃を受け、迎撃したと発表しました。
UAEが軍事介入するイエメンの反政府勢力は、UAEの首都アブダビを標的に攻撃したと発表し、中東の国際都市も巻き込んだ応酬がエスカレートする事態となっています。
UAE政府の発表によりますと、24日午前、弾道ミサイル2発を迎撃し、ミサイルの破片が首都アブダビ周辺に落下したということです。(中略)
UAEが軍事介入するイエメンの反政府勢力「フーシ派」の報道官は、アブダビのアル・ダフラ空軍基地に向けてミサイルを発射したと発表し「作戦を拡大させる用意がある」と警告しました。
一方、攻撃を受けてUAE政府は、フーシ派が支配するイエメン北部ジャウフ県でミサイルの発射基地を空爆したと発表し、当時のものだとする映像も公開して、素早い対応を強調しています。(中略)
フーシ派は再び攻撃を行うことでUAEを標的とする姿勢を鮮明にしていて、中東の国際都市も巻き込んだ応酬がエスカレートする事態となっています。【1月24日 NHK】
UAEが軍事介入するイエメンの反政府勢力「フーシ派」の報道官は、アブダビのアル・ダフラ空軍基地に向けてミサイルを発射したと発表し「作戦を拡大させる用意がある」と警告しました。
一方、攻撃を受けてUAE政府は、フーシ派が支配するイエメン北部ジャウフ県でミサイルの発射基地を空爆したと発表し、当時のものだとする映像も公開して、素早い対応を強調しています。(中略)
フーシ派は再び攻撃を行うことでUAEを標的とする姿勢を鮮明にしていて、中東の国際都市も巻き込んだ応酬がエスカレートする事態となっています。【1月24日 NHK】
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【フーシ派 ドローンとミサイルを組み合わせた攻撃、迎撃困難】
反政府勢力と言うと“ゲリラ戦”のイメージがありますが、フーシ派は無人機ドローンとミサイルを組み合わせた攻撃を行っているようです。
これに対し、UAEやサウジアラビアは高価なパトリオットなどの迎撃兵器で応戦していますが、経済的に割の合わない戦略であることは1月22日ブログでも取り上げたとおり。
また、ドローンとミサイルの複数攻撃となると、これを全て阻止することは技術的にも難しいようです。
****hothy軍のUAE攻撃****
hothy軍(フーシ派)が連続してUAEを攻撃したことは報告しましたが、al jazeera netはドローンによる攻撃は低価格の攻撃で(コストベネフィットが高い)かつ複数のドローンとミサイルで同時に攻撃すると、その防御は難しくなるとの記事を載せています。
米国務省が米国民にUAEへの渡航を見合わせるように警告したは、このような攻撃が今後ともあることを勘案してのものでしょうね。
記事の要点のみ
・hothy 軍は、マアレブでUAE空軍に支援された、親UAE民兵との戦闘で、大きな被害を出してから、1週間に2度もドローンとミサイルの複数同時攻撃で、アブダビ等を攻撃したが、これは低コストで、しかも迎撃の難しい極めて巧みな戦術である。
・hothy軍は複数のタイプのドローンを保有するが、中でも多いのがsumad 3型で、これは
18㎏の爆薬を積み 射程1500㎞で 速度250kmの能力
で、GPSによって自動操縦され、低空で飛行する
・英国等の専門家によれば、UAEもサウディも米国製等の近代的対ミサイル迎撃網を有しているが(サウディはパトリオット、UAEは最近thud を米社と契約した由)これらのドローン等が複数で同時に発射されると、総てを迎撃するのは困難の由【1月28日 「中東の窓」】
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【攻撃対象となる石油施設 更にドバイ万博も】
イエメン情勢の悪化、特に石油施設が攻撃対象となる状況に、原油市場など世界経済も反応しています。
中東石油に依存する日本にとっても重大な影響が考えられます。
****ドローン攻撃でペルシャ湾一気に緊迫 中東への石油依存度9割を超す日本のリスクは****
日本では安全でリッチなイメージが強い中東UAEの首都アブダビで17日、国営石油会社の燃料貯蔵施設や国際空港の近くに攻撃用ドローンなどが着弾して火災が発生し、これまでにインドやパキスタン国籍の3人が犠牲となった。UAE外務省は同日、首都アブダビを攻撃したイエメンの親イラン武装組織フーシ派に対して報復を宣言した。
既に、UAEと連携するサウジアラビア主導の連合軍が21日までにイエメンにあるフーシ派の施設を攻撃し、60人が犠牲となった。
フーシ派は長年イエメン内戦に加担するサウジアラビアやUAEへの報復を示唆し、実際近年はサウジアラビア領内へのミサイルやドローンによる攻撃を繰り返している。
しかも標的となるのはサウジアラビア経済の心臓である石油施設が多い(首都リヤドに向けてミサイルが発射され、サウジアラビア軍がそれをリヤド上空で撃墜することもある)。
たとえば、2020年11月、フーシ派はサウジアラビア西部の第二の都市ジッダにある石油関連施設に向けてミサイルを発射し、国営石油会社サウジアラムコが所有する石油タンク1つが被害を受けた。
また、2021年3月には、首都リヤドにある石油精製施設が無人機6機によって攻撃を受けて火災が発生した、同石油精製施設への攻撃では人的被害が出なかったが、サウジアラビアのファイサル外相はその後、フーシ派からの攻撃が相次ぐことから、石油施設などへの攻撃を防止する対策を徹底すると明らかにした。
しかし、2019年8月、フーシ派がサウジアラビア南東部にあるシェイバ油田(Shaybah)をドローン10機で攻撃したことがあるが、シェイバ油田はイエメン北西部のフーシ派の支配地域から1000キロメートル以上も離れており、フーシ派の高性能な攻撃能力が今でも大きな脅威と言えよう。
米国のシンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」は12月下旬、中東の安全保障についての報告書を公開し、フーシ派によるサウジアラビア領内への攻撃が2020年からほぼ倍増していると発表した。
同報告書によると、2021年1月から9月までのフーシ派による攻撃は月平均78回に上り、前年の月平均38回から大幅に増加し、また弾道ミサイルや巡航ミサイルだけでなく、安価な値段で製造可能な無人ドローンなど頻繁に使用しているという。
このような背景の中、フーシ派の報道官は1月22日までに声明を発表し、今後もUAE領内への攻撃を続けることから、UAEに展開する外国企業に対して撤退するよう警告した。
イラクやシリアで活動するイスラム国などのイスラム過激派に比べ、フーシ派はイエメンで一定の領域を支配し、より見える形で活動していることから、この警告はより具体性があろう。
また、今回の攻撃は国家間関係にも影響を及ぼしている。バイデン政権は1月19日、首都アブダビがフーシ派から攻撃された件で、フーシ派を国際テロ組織に再び指定するかを検討していると明らかにした。
フーシ派は資金的、軍事的支援をイランから受けるなど同国と密接な関係にあり、イラン核合意への復帰を目指すバイデン政権は発足直後にフーシ派のテロ組織指定を解除した。解除の背景にはイランへ歩み寄りを示す狙いもあっただろうが、フーシ派の強硬姿勢がバイデン政権の方向性を変えようとしている。仮に再指定となれば、米国とイランの関係は再び悪化する方向へ向かうだろう。
我が国の中東への石油依存度は今日9割を超えている。しかもサウジアラビアが1位、UAEが2位となっており、今後の情勢が大きく懸念される。
しかもフーシ派を巡る情勢は、サウジアラビアとイランの中東の地域大国間同士の緊張を高めるという潜在的リスクを内在しており。中東情勢の緊張悪化は日本のエネルギー安全保障を脅かす。石油輸入先の多角化など中東依存を下げる対策が今後必要だろう。【1月29日 治安太郎氏 まいどなニュース】
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“石油輸入先の多角化など中東依存を下げる対策”云々は、中東でことあるごとに繰り返し言われていることですが、あまり事態が改善されていないのは周知のとおり。
原油市場の方は“原油価格、7年ぶり高値 UAE攻撃で供給懸念”【1月18日 時事】ということですが、今のところは数ある懸念材料のひとつ。(懸念材料としては、新型コロナの状況やウクライナ情勢がより大きなものでしょう)
ただ、今後現実に石油施設で被害が出ると更に大きな影響をもたらすことになります。
また、UAEのドバイでは2021年10月1日から2022年3月31日まで万博が開催されていますが、フーシ派はドバイ万博攻撃の可能性も示唆しています。
****hothyのドバイ万博攻撃の可能性****
アラビア語メディアはUAEの支援育成したアマリカ軍団がシャブワ開放に引き続きマアレブでも奪還地域を拡大していて、またサウディ軍等アラブ連合空軍もサナアその他の地域で、戦略空爆を強化していると報じています。
これに対して、hothyグループ(フーシ派)幹部は、特にUAEを名指しで、UAEは2回もイエメンからの撤退を表明しながら、実際には介入を強化していると非難し、hothyグループとしてはUAEの深部の戦略的地域を攻撃することなると警告し、さらにドバイ万博もこのような状況では、その性格も変わってしまったとして、ドバイ万博攻撃の可能性を示唆したとのことです。(後略)【1月26日 「中東の窓」】
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