孤帆の遠影碧空に尽き

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ロシア  ウクライナ侵攻1年の「節目」を前に大規模攻勢か 「人海戦術」で甚大な犠牲者も

2023-02-12 22:21:43 | ロシア

(ウクライナでは10日、各地でロシア軍による激しい攻撃が行われました。【2月12日 NHK】)

【攻勢を強めるロシア】
ウクライナに侵攻したロシア軍は劣勢に追い込まれた形勢を挽回すべく、東部でも、またウクライナ全土に対しても激しい攻撃を仕掛けています。

長らく激戦が続く東部ドネツク州の要衝バフムトに対しても、ロシア軍が攻勢を強めており、ゼレンスキー大統領も厳しい状況にあることを認めています。

****激戦地バフムトは徹底抗戦の象徴、ゼレンスキー氏「可能な限り戦う」…米欧は撤退論****
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は3日、ロシア軍との最大の激戦地になっているウクライナ東部ドネツク州の要衝バフムトについて、「我々は可能な限り戦う」と述べ、撤退しない姿勢を強調した。

バフムトは、ウクライナ侵略を続けるロシアへの徹底抗戦の象徴となっており、国民の士気低下を避けるためとみられる。(中略)

侵略前の人口が約7万人だったバフムトは幹線道路が交差し、ドネツク州全域の制圧を目指す露軍にとっては、他の主要都市を攻略する足がかりとなる。

米紙ニューヨーク・タイムズは2日、米国や西側当局者の話として、露軍側の死傷者がバフムトの攻防で増加し、20万人に迫っていると報じた。ウクライナ軍兵士の1日あたりの死傷者数も「数百人」に上ると推計されるという。

一方、ウクライナ軍にとってバフムトの戦略的な重要性は高くないとされ、米欧からはバフムトから一時的に撤退し、南部などでの大規模な反転攻勢を始めるべきだとの指摘も出ている。

米中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ長官は2日の講演で、「今後6か月(の戦闘)が決定的になる」との見方を示した。

ウクライナ国防省情報総局幹部は1日の英字紙キーウ・ポストとのインタビューで、プーチン露大統領が3月までにドネツク、ルハンスク両州を制圧するよう命じ、大規模攻撃を準備する兆候が見られると指摘した。(後略)【2月5日 読売】
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“英国防省は5日、ロシア軍が激戦地となっているドネツク州の戦略的要衝バフムトの包囲を徐々に強めているとする戦況分析を発表。ウクライナ軍はなお複数の補給路を確保しているものの、「バフムトは孤立を深めている」と指摘した。”【2月6日 毎日】

****ロシア軍、東部ドンバス地方で攻勢強める…エネルギー施設狙いミサイル攻撃も****
ロシア軍が、ウクライナ東部ドンバス地方(ドネツク、ルハンスク両州)で、攻勢を強めている。ウクライナのミハイロ・ポドリャク大統領府顧問は9日、議会の公式テレビで、露軍が「大規模攻撃を既に始めている」との見方を示した。

ルハンスク州知事は10日、同州クレミンナ方面の情勢に関し、「絶え間ない攻撃を受けている」とSNSで明らかにした。

露軍の攻勢について、米政策研究機関「戦争研究所」は8日、ルハンスク州で大規模攻撃を開始した可能性があると指摘した。

東部ドンバス地方の全域制圧を目指す露軍は、ルハンスク州の大部分を占領下に置く一方、ドネツク州は約4割をウクライナ軍が守っている。ウクライナ軍は昨年11月以降、本格的な領土奪還作戦に着手しておらず、露軍は戦闘の主導権の奪還を狙っているとみられる。(中略)

一方、露軍は9日夜から10日にかけて、エネルギー施設などを狙ったミサイルやイラン製自爆型無人機による攻撃も全土で展開した。

ウクライナ空軍は10日、巡航ミサイル5発とイラン製自爆型無人機5機を迎撃した一方で、東部ハルキウ州と南部ザポリージャ州に発射された地対空ミサイル「S300」35発は撃墜できなかったと発表した。両州ではエネルギー施設などに被害が出ており、ハルキウ州では7人が負傷した。【2月10日 読売】
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【侵略1年となる「節目」にロシア軍大規模攻勢の予想も】
侵略1年となる2月24日に向け、戦果を求めるロシア軍は年明け以降、兵士の犠牲をいとわない人海戦術で制圧地域を広げているとも言われています。

****ウクライナ 軍事侵攻1年前に さらなる大規模攻撃への警戒続く****
ロシア軍が10日にウクライナ各地で行ったミサイルなどによる激しい攻撃について、ロシア国防省は11日、軍事関連施設などを標的にしたものだと主張しました。

ウクライナ側は、民間のインフラ施設が標的になったと非難し、軍事侵攻の開始から1年になるのを前に、さらにロシア軍が大規模な攻撃を仕掛けてくると警戒を続けています。(中略)

軍事侵攻の開始から2月24日で1年になるのを前にウクライナ側はさらに、ロシア軍が大規模な攻撃を仕掛けてくると警戒を続けています。【2月12日 NHK】
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ロシア側には、単に1年という「節目」にあたり成果を求めるというだけでなく、ロシア軍も動員した兵士の準備が一定に整ってきたこと、3月以降に予定されている欧米からのウクライナへの戦車供与に先だって攻勢をかけたい思惑もあるようです。

****【解説】ロシア“大規模攻撃”の可能性 専門家「間違いない」――3つの理由は? 「弾薬不足」「ウクライナも攻撃」の見方も****
ウクライナ侵攻から、24日で1年。節目が近づくなか、ロシアによる大規模攻撃の可能性が取り沙汰され、緊張が高まっています。「間違いなくある」と見立てる専門家は理由を3つ挙げます。実際の規模についてはさまざまな見解があります。

■近づく節目…ロシアはどう出る?
(中略)小栗泉・日本テレビ解説委員
「ロシア政治に詳しい慶応義塾大学の廣瀬陽子教授は『どのくらいの規模かはともかく、間違いなく大規模攻撃はある』と話しています。主に理由は3つあるそうです」

「まず一般的に、侵攻から1年という節目の時というのは、政治家にとって1つのタイミングと感じるだろうこと。また、ロシアが去年9月半ばに動員をかけた30万人のうち、約半数が訓練を終えて戦場に投入されると言われていることです」

「さらに、ウクライナが欧米から供与された戦車が、早ければ3月末には戦場に届くので、ロシアとしてはそれよりも前に大規模攻撃をかけようとするだろう、とみられているからです」

■英紙「10日以内に着手の可能性」
日テレNEWS「実際、イギリスのフィナンシャルタイムズは6日、ウクライナの軍事顧問の話として『ロシア軍が10日以内に攻撃に着手する可能性を示す非常に確度の高い情報を得た』と報じています」
「(ウクライナの)ルハンシク州知事も『ロシアの大規模攻撃は15日以降、いつでも始められる状態だ』と発信するなど、緊張が高まっています」(

■「大規模」どれほど?…見方さまざま
(中略)小栗委員
「廣瀬教授は『こればかりは起きてみないと分からない』とした上で、『動員兵の訓練の度合いが高いなどして、ロシア軍が本気になったらやはり怖い』と懸念しています」

「ただイギリスの国防省は『現在のロシア軍に攻撃のための弾薬と機動部隊が不足している』と分析しています」

「一方、ウクライナ側の狙いの1つとして、国際安全保障に詳しい慶応義塾大学の鶴岡路人准教授は『ロシアによる大規模攻撃があるということで国際社会の目をロシアに向けておいて、その隙にウクライナ側も攻撃を用意しているのでは』と分析しています」(後略)(2月9日『news zero』より)【2月10日 日テレNEWS】
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【「人海戦術」で甚大な犠牲者も】
しかし、“大規模攻勢”とは言っても、すでにロシア側は“兵士の犠牲をいとわない人海戦術で制圧地域を広げている”と言う状況で、新兵や元受刑者など、その犠牲者も甚大です。更に攻勢を強めれば・・・

ウクライナ軍参謀本部は4日朝の戦況報告で、ウクライナ侵攻以来、ロシア軍は13万590人を失ったと推定されると発表しています。

ロシア軍は訓練が不十分な新兵や元受刑者を最前線に送っており、米当局者によると、1日に何百人も死傷者が出ているとも報じられています。

まさに「人海戦術」の様相を呈していますが、捨て駒のように投入される兵士はたまらない・・・という感じも。

【民間軍事会社「ワグネル」にも逆風か】
ひと頃、ロシアの正規軍に対抗するほどに注目を集めた民間軍事会社「ワグネル」の、受刑者を捨て駒のように使う「人海戦術」もその限界が見えてきたようにも。

****ロシア兵が仲間を「シャベルで処刑」の動画拡散...見せしめ、使い捨てのため処刑蔓延か****
<ウクライナ側のドローンが捉えた映像には、傷ついた司令官とみられる人物に激しい暴力を加えるロシア兵たちの姿が>

ロシア軍の兵士たちが、重傷を負った仲間に大きなシャベルを使って暴行を加えているとみられる様子を捉えた動画が公開された。これは2月上旬、ウクライナのセネカ特殊部隊がドローンを使って撮影したもので、ソーシャルメディア上で共有された。

この「集団暴行」が起きたのは、ウクライナ東部ドンバス地方にあるバフムトの郊外で、英ガーディアン紙は、暴行を受けていた負傷兵は「ワグネル」の司令官とみられると報じている。ロシアの傭兵組織であるワグネルは、2021年2月にロシアがウクライナに軍事侵攻を開始して以降、ロシア軍を支援している。

動画には、ワグネルの傭兵4人が負傷した司令官の手足を持って前線から離れたところに移動させ、その後、倉庫の近くで足を止めて司令官を乱暴に地面に投げ出す様子が映っている。別の動画には、3人の男がシャベルを使って負傷兵にひどい暴行を加えている様子が映っている。いずれの動画にも、暴行の前後の状況は映っておらず、司令官とみられる男性がその後どうなったかは不明だ。

これと同じようなことが昨年にも起きていた。ワグネルの傭兵がハンマーで処刑される様子を捉えた動画が、インターネット上に出回ったのだ。ワグネルの創設者で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の盟友でもあるエフゲニー・プリゴジンは当時、この動画について言及し、処刑された人物はウクライナ側に寝返った「裏切り者」だと認めた。

予定の進軍ルートを外れれば「即刻処刑」
このときに処刑されたエフゲニー・ヌジンは10月11月、(ロシア軍に)拉致されていた。動画には、彼がレンガの壁に体を固定され、ハンマーで殺害される様子が映っていた。ロイターが検証したこの動画についてプリゴジンは、「犬には犬死にがふさわしい」と述べた。

ある報告によれば、ワグネルの傭兵は割り当てられた攻撃ルートを外れれば「即刻処刑」されるおそれがある。英国防省が昨年12月19日にウクライナ情勢について投稿したツイートによれば、(ロシア側の)戦闘員にはスマートフォンやタブレットが支給され、これらのデバイスには各自の「進撃ルートや攻撃目標が衛星画像に重ねて表示される」ようになっている。(中略)

英国防省はツイートの中で、さらに次のように述べた。「小隊以上のレベルでは、指揮官は身を隠して無線で指示を出し、小型無人航空機(UAV)からのビデオ映像で情報を得ている可能性が高い。各兵士や各部隊は事前に計画されたルートを進むよう命じられる。進軍にあたって火力支援を得られることは多いが、装甲車が伴うことはそれほど多くない」

ツイートはさらにこう続いた。「ワグネルの戦闘員は、許可なく攻撃ルートを外れた場合には即刻処刑されると脅されている可能性が高い。ワグネルが『使い捨て』と見なしている、より手軽に確保できる囚人の新兵を犠牲にして、貴重な資産である経験豊富な司令官や装甲車両を守るための残虐な戦術だ」

アメリカは1月にワグネルを対象とした追加制裁を発動し、ワグネルを国際犯罪組織に指定した。この発表の直前、ワグネルがロシア国外で新兵の勧誘を行っていることが報じられていた。【2月10日 Newsweek】
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こうした戦術の限界、さらにはロシア軍との抗争もあって、ワグネルの受刑者採用は停止に追い込まれているとの情報も。

****ワグネル、ロシア国防省と対立か 受刑者採用停止で英分析****
英国防省は11日、ウクライナ侵攻に部隊を派遣しているロシアの民間軍事会社「ワグネル」が受刑者の採用を停止した理由について「ロシア国防省との対立激化が大きな要因」との見方を示した。ワグネル創設者のプリゴジン氏は9日、受刑者の採用停止を発表したが、理由は示していなかった。

英国防省は、昨年12月以降、受刑者採用の割合低下はデータが示唆していたと指摘。ウクライナでのワグネルの厳しい現実を報じるニュースが受刑者に伝わり、志願者が減ったのだろうと分析した。【2月11日 共同】
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「ポスト・プーチン」の声も上がっていたワグネル創設者のプリゴジン氏ですが、敵も多い状況のようです。
そんな状況を反映した焦りでしょうか。奇異な言動も。とにかく注目を維持したい思いでしょうか。
“ワグネル創設者、自らバフムート空爆と主張 ウクライナ大統領に「決闘」挑む”【2月7日 AFP】

【プーチン大統領 戦争長期化で政治・経済のダメージが大きくなる前に「出口」を探したいところだが・・・・】
いずれにしても、ロシアが大規模攻勢をかけたとしても、成果を上回る犠牲を出す可能性もあります。

****ロシア軍の死傷者数が急増「侵攻直後以来の多さ」の分析も****
ロシア軍はウクライナへの軍事侵攻から1年となるのを前に戦闘を激化させています。
こうした中イギリス国防省は最近、ロシア軍の死傷者数が急増し、去年2月の侵攻直後以来の多さになっていると分析しています。

ウクライナ軍は、ロシアが軍事侵攻の開始から1年となるのを前に、大規模な攻撃を仕掛けてくると警戒を続け、ロシア軍は東部などで戦闘を激化させています。

一方、イギリス国防省は12日にウクライナ軍参謀本部のデータを引用する形でロシア軍の死傷者数を分析しました。
それによりますと直近の一日当たりの死傷者数は平均824人と、去年6月から7月のころと比べて4倍以上になっているとしています。

そして、ロシアは去年2月の侵攻後、最初の1週間以来、最も多くの死傷者がでている可能性があると分析しています。

その理由について、イギリス国防省は訓練を受けた兵士が不足していることや、現地での兵器など軍備品の補給不足など複合的な要因があると指摘しています。

さらにアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は11日に、「ウクライナ軍の当局者などはロシア軍が大規模攻撃を行うのに必要な十分な戦力を保持していないと発言している」としたほか、ロシアの軍事評論家からも前線のロシア兵の士気が下がっているという見方を報告書の中で示しています。【2月12日 NHK】
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さらに言えば、これまで予想されたほどのマイナスは起きていないとされるロシア経済全体も、これ以上の戦争の長期化でジリ貧は避けがたいでしょう。戦争遂行能力も厳しくなります。

対ロシア制裁の効果に加え、ロシアが国家歳入の柱とする原油や天然ガス輸出の収益も米欧側が導入した露産原油の上限価格設定などにより今後減少が予想されます。

“露、1月の財政赤字3兆円超 昨年の14倍 通年想定の6割に到達”【2月7日 産経】
“ロシア経常収支、1月は黒字が58%縮小 輸出が急減”【2月10日 ロイター】

政治的には、プーチン大統領はまだ高い支持を維持しています。
“露 プーチン大統領への支持…8割超 12月から1ポイント上昇 世論調査”【2月2日 日テレNEWS】

求心力を維持しているうちに「出口」をみつけるのが正解。低下し始めてからでは有効な決定も難しく、手遅れになります。

****露外務次官「ウクライナと条件つけずに交渉する用意ある」****
ロシアの外務次官は現地時間11日、ロシアメディアのインタビューで、「ロシアには条件をつけずにウクライナと交渉する用意がある」と述べました。

そのうえで、「すべての軍事行動は、みな交渉によって終わる。ロシアにはその準備がある。ただし、交渉は現実的な状況を踏まえて行われる必要がある」と示しました。(提供/CRI)【2月12日 レコードチャイナ】
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上記発言自体は“いつものこと”で、特段の意味はないのかも知れませんが、プーチン大統領としては大規模攻勢で一定の成果を出して、交渉・停戦に持ち込むのがベストの選択でしょう。

ただ、3月以降の戦力補強を期待しているウクライナ・ゼレンスキー大統領がおいそれと引き下がることも想像し難く、ロシア・プーチン大統領は長期戦引きずり込まれることが強く予想されます。

そうした事態でロシアが国力を衰退させることは、アメリカが望むところかも。
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