孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

イスラエルの人質救出作戦で多大な住民犠牲 バイデン大統領の言う「レッドライン」は?

2024-06-09 22:38:16 | パレスチナ

(【6月9日 HUFFPOST】 6月8日 ホワイトハウス周辺で行われたイスラエルへの抗議デモ 参加者たちは「バイデン、あなたは隠れることはできない。私たちはあなたを大量虐殺で告発する」などと声を上げた。)

【多大な住民犠牲も、ネタニヤフ首相「非常に感動的な日だ」「全員帰還までどんな手段でも使う」 人質救出に歓喜する国民】
周知のようにイスラエルはガザ地区で大規模な人質救出作戦を行い4人を救出しました。
しかし、一方で多数(ハマス側の数字では210人、あるいはそれ以上)のパレスチナ人住民に死者が出ています。

****イスラエル人質救出作戦 激しい銃撃戦 空爆で住民に多数死者か****
イスラエル軍はガザ地区の中部で人質4人を救出した作戦について数週間にわたって入念に準備を重ねた上で実施されたとしていますが、ハマス側と激しい銃撃戦となり空爆なども行ったことで、住民に多数の死者が出たとみられています。

ハマス側は反発を強めていて、停戦や人質解放に向けた交渉にも影響を与える可能性があります。

イスラエル軍は、8日にガザ地区中部で行われた女性1人と男性3人の合わせて4人の人質を救出した作戦について情報機関が人質の居場所を突き止め、特殊部隊などが数週間にわたって入念に準備を重ねた上で実施されたとしています。

作戦は午前11時に開始され、女性が拘束されている建物と男性たちがいる別の建物を同時に襲撃したということです。

アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズは、夜間ではなく、あえて日中に作戦を開始したのは、ハマス側の隙を突くためだったと伝えています。

イスラエルの有力メディアハーレツによりますと、女性の救出は比較的順調に進んだものの、男性3人を救出する際に、ハマスの戦闘員と激しい銃撃戦となり、空軍の支援も受けて周囲に空爆も加えながら人質を脱出させたということです。

イスラエル軍は、作戦によるパレスチナ人の死者は100人以下だとしていますが、ハマス側は住民210人が死亡したと主張し、反発を強めていて、停戦や人質解放に向けた交渉にも影響を与える可能性があります。

ガザ地区の保健当局は、今回の人質救出作戦が行われる前の時点でこれまでに3万6654人が死亡したとしていて、交渉に進展が見られない中、住民の犠牲が増え続けています。【6月9日 NHK】
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仮にイスラエル側の言うように“100人以下”であったとしても、多大な犠牲であることには変わりありません。
ガザ保健当局は、死亡した住民らは274人、負傷者は698人としています。

イスラエル・ネタニヤフ首相は「(人質の)全員帰還までどんな手段でも使う」とも。

****ガザ人質奪還で274人死亡 ハマス「残虐な犯罪」非難****
パレスチナ自治区ガザ中部ヌセイラトでイスラエル軍が8日に実施した人質4人の奪還作戦で、ガザ保健当局は9日、死亡した住民らが274人に上ったと発表した。負傷者は698人。

イスラム組織ハマスは8日の声明で残虐な犯罪行為だと非難した。イスラエルのネタニヤフ首相は記者会見し、ハマスが人質解放に応じなければ「全員帰還までどんな手段でも使う」と述べ、軍事作戦の継続を主張した。

ガザ保健当局は9日、昨年10月の戦闘開始後のガザ側死者は3万7084人になったと発表した。

ハマスは声明で「イスラエルが犯した罪を問うよう国際社会に求める」とし、多くの人質を依然拘束しているとして対抗する姿勢を示した。

イスラエルとハマスを仲介するエジプトは「最も強い言葉で非難する」との声明を発表。ヨルダンも「戦争犯罪」だとし、アラブ諸国にイスラエルへの反発が広がった。

イスラエルメディアによると、救出された人質4人は200メートルほど離れた二つの民家で拘束。軍は周囲に多数の民間人がいる中で奪還作戦を実行した。【6月9日 共同】
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“ネタニヤフ首相は「非常に感動的な日だ」とし、人質全員の解放に向け今後も尽力していくと強調しています。”とも。【6月9日TBS NEWS DIG】
人質の家族会は救出について「奇跡の勝利」「英雄的な作戦」とたたえています。

*****イスラエル軍、ガザで人質男女4人救出 家族会「英雄的な作戦」とたたえる*****
イスラエル軍は8日、パレスチナ自治区ガザ中部ヌセイラトで、イスラム原理主義組織ハマスに拘束されていた人質4人を救出したと発表した。軍が作戦で人質を救出するのは2月以来で、救出者は計7人になった。

ロイター通信によると、救出されたのは昨年10月7日にガザ境界付近の野外コンサート会場から連れ去られた20代の女性1人と20代〜40代の男性3人。いずれも健康状態に問題はないとみられる。

大統領府が公開した映像では、ヘルツォグ大統領からの電話に救出された人質の女性ノア・アルガマニさんが「ここにいられて、とても幸せです。ありがとうございます」と笑顔で答えた。人質の家族会は救出について「奇跡の勝利」「英雄的な作戦」とたたえた。(後略)【6月8日 産経】
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人質の家族だけでなく、TVニュースによればイスラエル一般国民も歓喜に湧いており、街はお祭りのような雰囲気も。

公平を期すために言えば、ハマスがイスラエルを急襲して多数のイスラエル人を殺害し、人質を連れ去った際にも、ガザ地区では同様の歓喜・お祭り騒ぎがありました。

しかし、部外者の目で見ると、4人の人質救出のために200人以上の住民犠牲者というのは、あまりにもバランスを欠いているように思えます。

現在のガザ地区の状況は、ハマスによる急襲によって始まった訳ではなく、双方の相手側への憎しみ、共感の欠如が長年続く中で生まれてきたものでしょう。

【国連 イスラエル軍が拘束したパレスチナ人に暴行 拷問との報告書 児童への暴力犯罪者リストにも】
イスラエル側の対応については、国連はイスラエル当局が拘束したパレスチナ人に対し暴行や拷問を行っているなどとする報告書を公表しています。

****“イスラエル 拘束したパレスチナ人に暴行 拷問”国連など報告****
イスラエル軍はガザ地区での軍事作戦を続ける一方で、ハマスとの関連を調べるためなどとして、これまでに数多くのパレスチナ人を拘束しています。地元の人権団体によりますと、イスラエルとハマスの戦闘が始まった去年10月7日以降、ガザ地区ではこれまでに推定で4000人、ヨルダン川西岸では、9000人以上のパレスチナ人が拘束されたということです。

これについて国連などは先月釈放された人たちや医療関係者の証言などから、イスラエル当局が拘束したパレスチナ人に対し暴行や拷問を行っているなどとする報告書を公表しました。

報告書では拘束された人たちが、外部から隔離され、非人道的な状況に置かれているとしたうえで性的な暴行や激しい殴打、さらに犬にけしかけられる脅迫や水責めなどを受けていると指摘しています。

国連はパレスチナの人々に対する暴行や拷問などについて、徹底的な調査と再発防止のための措置を求めています。

左足を負傷 切断を余儀なくされた拘束者も
イスラエルの人権団体によりますと、ガザ地区ではこれまでに推計で4000人が一時、拘束され、今も一部の人が施設で拘束されたままだということですが、詳しい状況は明らかになっていません。

ガザ地区南部のハンユニスに住むソフィアン・アブサラさんは、ことし2月から2か月近くにわたりイスラエル軍に拘束されました。

家族6人で暮らしていたアブサラさんは、イスラエル軍の地上侵攻でハンユニスの自宅を追われ、たどりついた先の避難所の学校にもイスラエル軍が侵攻し、ほかの住民とともに拘束されたといいます。

そして両手を縛られ目隠しをされ、トラックの荷台に乗せられてイスラエル国内にあるとみられる施設に送られました。

その際にイスラエル軍の兵士から棒や銃で殴られたり、蹴られたりといった暴行を受けたということで、アブサラさんは左足に傷を負いました。

当時の状況についてアブサラさんは「兵士たちは私たちを銃や棒で殴ったり、蹴ったりし、拘束されている中で最悪の時間でした。私は足にけがを負いましたが、トラックに4時間も乗せられ、足の感覚もなくなっていたので、その時はけがに気付きませんでした」と話していました。

拘束された施設でもアブサラさんは毎日のように暴行を受けたということで、劣悪な衛生環境で左足の傷は化のうし、次第に腫れていったといいます。

アブサラさんは薬を求めましたが、受け入れられず、けがをしている足を棒で殴られたこともあったということです。

症状を訴え続け、ようやく病院に運ばれた時には治療するには手遅れで、左足を切断することを余儀なくされました。

アブサラさんは「命のためには足の切断を選択しなければならないと医師は言いました。私は孤独で家族もいない中で、とても難しい決断を迫られました」と話していました。

アブサラさんは15年以上タクシーの運転手として働き、政治とは無縁でハマスとの関わりがないことを訴えて釈放されましたが、ハンユニスの自宅は破壊され、いまはテントでの生活を強いられています。

アブサラさんは「足を失ってから家族の面倒を見ることも食料や水を探しに行くこともできません。すべてが180度変わり、状況は本当に悪くなりました」と訴えていました。

イスラエル軍は収容施設の状況についてNHKの取材に対し「施設では1日に1回、健康状態を確認し、必要であれば十分な医療を提供している。イスラエルの法律と国際法に従っている」とコメントしています。

拘束問題 ヨルダン川西岸のパレスチナでも急増
イスラエル当局によるパレスチナ人の拘束はヨルダン川西岸のパレスチナでも急増していて、地元の人権団体によりますと去年10月以降だけで9000人以上のパレスチナ人が拘束されたということです。(中略)

パレスチナ人の拘束をめぐってはイスラエル国内でも問題視する声があがっていて、イスラエルの人権団体は問題が指摘されている複数の施設のうち1か所の閉鎖などを求めて最高裁判所に訴えを起こしています。

訴えを起こした人権団体の1つで法務部門を担当するダニエル・シェンハルさんは「10月7日以降の刑務所の状況は深刻で非常に悪いです。人々をこのような非人道的な環境で拘束し、拷問することは許されません。イスラエル当局や軍が法を破っていることが問題で、その違法行為を止めるために私たちは活動しています」と話していました。【6月9日 NHK】
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また、国連事務総長は7日、イスラエル軍を児童に対する暴力を犯した犯罪者の国際リストに加えたことを明らかにし、イスラエル側は激しく反発しています。

****国連、イスラエルを児童への暴力犯罪者リストに イスラエル反発****
イスラエルのエルダン国連大使は、国連のグテレス事務総長がイスラエル軍を児童に対する暴力を犯した犯罪者の国際リストに加えたことを明らかにした上で、この決定を「恥ずべきこと」と批判した。ソーシャルメディアに動画を投稿した。

イスラエルのネタニヤフ首相は、国連は「イスラム組織ハマスを支持する側に加わったことで、歴史のブラックリストに載った」と非難。ただ外交筋によると、国連はハマスのほか、パレスチナ自治区ガザの過激派「イスラム聖戦」も同リストに掲載する予定。

エルダン氏は7日にこの決定に関する正式な通知を受けたと述べた。国連報道官も、グテレス事務総長の事務局が7日にエルダン氏に電話で通知したと確認した。

このリストは、14日に国連安全保障理事会に提出される予定の児童と武力紛争に関する報告書に含まれている。イスラエルのカッツ外相も、この決定はイスラエルと国連の関係に影響を与えるとの認識を示した。

エルダン氏は投稿した動画で「事務総長のこの恥ずべき決定に、私はショックを受けている」と述べた上で 「イスラエル軍は世界で最も道徳的な軍隊だ。この決定はテロリストを助け、ハマスに利益をもたらすだけだ」と強調した。【6月8日 ロイター】
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【高まるイスラエル批判のなかでネタニヤフ首相を超党派で議会に招くアメリカ】
イスラエルに対しては国際的に批判が高まっていますが、例外がアメリカ。
米議会は超党派でネタニヤフ首相を議会に招いています。

****ネタニヤフ氏、米議会での演説は来月24日に****
米議会指導部は6日、イスラエルのネタニヤフ首相が来月24日に上下両院合同会議で演説すると発表した。
ネタニヤフ氏には先月31日、共和党のジョンソン下院議長、民主党下院トップのジェフリーズ院内総務、民主党上院トップのシューマー院内総務、共和党上院トップのマコネル院内総務が連名で書簡を送付し、合同会議に招いていた。(中略)

訪米の日程にホワイトハウスでの首脳会談が含まれているかどうかは明らかでない。
パレスチナ自治区ガザ地区でイスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が続くなか、バイデン氏とネタニヤフ氏の間では戦闘の行方やガザの人道状況をめぐって不協和音が生じている。

米議会では4月にウクライナやイスラエルを支援するための法案が可決されたものの、民主党内部ではイスラエルの対応をめぐって意見の対立が続く。一部の民主党議員は、ネタニヤフ氏の演説をボイコットする構えを示している。【6月7日 ロイター】
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【バイデン大統領の「レッドライン」はどこにあるのか?】
バイデン大統領は、米国内の若者らにおけるイスラエル批判の高まりといった状況での大統領選挙対策もあって、ネタニヤフ首相の頑な姿勢には苛立っているとも報じられており、また、イスラエルへの武器供給の停止を判断する「レッドライン」にも言及してはいますが、伝統的な「イスラエル支持」の大枠からは抜けだしてはいません。

今回の人質救出作戦についても、“アメリカのバイデン大統領は「人質が救出されたことについて歓迎する」とコメントしました”【6月9日 TBS NEWS DIG】とのこと。

知りたいのは、多大な住民犠牲者が出たことを踏まえてどのように評価するのか・・・ということですが、今現在はその点に関する報道は目にしていません。

5月26日、ラファの避難民密集地気の学校へのイスラエル軍の空爆で、少なくとも45人が殺害され、数百人が負傷したと報じられている件でもホワイトハウスは「レッドライン」は越えていないとの認識を示しています。

国際社会が今のイスラエル・ネタニヤフ首相に何を言っても無駄ですが、唯一イスラエルを動かせるのがアメリカです。

200名超の住民が犠牲になっても「レッドライン」は越えていないのなら、「レッドライン」とは一体何なのか?

****「もうたくさんだ」殺害されたパレスチナ人たちの名前掲げて「レッドライン」引く。米ホワイトハウス前で大規模な抗議デモ****
ガザ攻撃を続けるイスラエルに軍事支援するバイデン政権に抗議する大規模なデモが現地時間の6月8日、米ワシントンのホワイトハウス周辺で行われた。

赤い服を着たデモ参加者たちはバイデン政権に対し、イスラエルへの全ての軍事援助を停止することや、即時停戦を要求。ホワイトハウスの周辺約1.6キロに輪をつくり、イスラエルの攻撃で殺害されたパレスチナ人たちの名前を書いた赤い横断幕などを広げた。

デモ団体が掲げた赤い布や横断幕は、米政府がイスラエルへの武器供給の停止を判断する「レッドライン(越えてはならない一線)」を想起させることを意図したものだ。

カービー米大統領補佐官は5月、イスラエル軍が同26日にガザ地区南部ラファを空爆したものの、「レッドライン」は越えていないとの認識を示した。この空爆で、少なくとも45人が殺害され、数百人が負傷したと報じられている。
デモ参加者のプラカードには、「バイデンのレッドラインは嘘だ!」と書かれたものもあった。

デモを呼びかけた団体のメンバーは、「イスラエルによるガザでのジェノサイドに対し、バイデンが引かないレッドラインを引くのがデモの狙い。私たち市民が今日一線を引いて、もうたくさんだと示すのです」と述べている。

ホワイトハウス近くのラファイエット広場にある複数の像は、スプレーでペイントされたり、「ガザを解放しろ」と書かれたりした。

抗議活動は警察も出動する事態となっている。ニューヨーク・タイムズによると、デモ参加者に対し、警察官が催涙スプレーを使用する場面もあったという。

バイデン氏本人は現在、フランスに滞在中でホワイトハウスにはいない。

ガザ保健当局の発表によると、2023年10月7日からの約8カ月間にガザ地区では3万6000人以上が殺害された。6月6日には、ガザ地区で国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が運営する学校がイスラエル軍により空爆され、子どもを含む40人が殺された。【6月9日 HUFFPOST】
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ネタニヤフ首相を議会に招くような政治情勢にあっては、バイデン大統領は「レッドライン超え」を認める訳にはいかないでしょう・・・しかしそれではアメリカの掲げる人道尊重はどこへ行くのか?
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