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(【2月25日 日テレNEWS】メキシコ湾を「アメリカ湾」と呼ぶようにという政権主張に従わないAP通信に取材規制を課した件でのAP通信の訴訟を退けたことで、ホワイトハウス記者会見室のモニターに掲げられた「勝訴、アメリカ湾」)
【トランプ大統領が繰り出す「Flood Zone」戦略】
トランプ大統領は就任と同時に連日、多岐にわたる大統領令・覚書を発令し、世界を驚かせる発言を行っています。
ゼレンスキー大統領を独裁者と呼び、ロシアの主張を丸呑みしたかのようなウクライナ戦争に関する発言
ガザ住民を移住させ、ガザを観光地として再開発しようという計画
カナダ・メキシコ、中国、さらには全世界を対象にした関税
更に、不法移民強制送還 環境・温暖化対策の緩和・撤廃 連邦政府解体 「多様性・公平性・包括性=DEI」政策の廃止等々・・・女子のスポーツ競技へのトランスジェンダー参加禁止、紙ストロー廃止まで
そのあまりの多さ、広範さに批判する側も呆然として立ちつくす感がありますが、それはトランプ大統領からすれば“思うつぼ”であり、こうした圧倒的な量の命令・主張を一時期にまとめて行い、批判の焦点を絞らせない戦略を「Flood Zone」と呼ぶそうです。“特定地域に「洪水」を引き起こす”という意味合いです。
****もはやメディアもお手上げ!トランプが繰り出す「Flood Zone」戦略、乱発される大統領令に打つ手はないのか****
対応しきれないほどの多くの大統領令を矢継ぎ早に発動し、“監視役”の既存メディアを目くらまし状態に追い込む――。トランプ米政権が打ち出した「Flood Zone」と呼ばれる戦略がにわかに注目されている。
マスメディアや野党を“溺死”状態に
「Flood Zone」とは直訳すると、特定地域に「洪水」を引き起こすことを意味するが、トランプ第二次政権が繰り出した戦略は、大統領の意のままに行政命令を短期間のうちに集中的に発動し、批判的なマスメディアや野党を“溺死”状態にすることで追及をかわす狙いがある。
ニューヨーク・タイムズ紙は去る1月28日、「トランプの『Flood Zone』戦略で反対派を怒りと息切れ状態に」と題する緊急記事を掲載した。 それによると、もともとこの「戦略」は2018年当時、トランプ前政権下でストラテジストとして暗躍した極右思想家スティーブ・バノン氏が編み出したもので、大統領が思いのままの政策や方針を実現させるため、議会の承認を必要としない大統領命令を次々に打ち出すことで、野党民主党とメディアの反対を圧倒することが目的だった。
しかし今回、トランプ第二次政権下で「戦略」はさらに徹底され、「洪水の激しさも規模も一段と拡大し、残酷なまでの効果を発揮しており、大統領は意図的に反対派をよろめかせ、抗議を希釈するために猛スピードで自らの政策課題を達成してきている」という。
しかも、同戦略の“生みの親”でもあるバノン氏は、すでに5年前に、米公共放送「PBS」とのインタビューの中で「我々にとっての反対勢力は、唯一、メディアだ。しかし、彼らはいちどきに一つの問題にしか集中できない」と指摘、「では、あなたはどうするのか?」との問いに対し、次のように答えている:
「われわれとしては、“ゾーン”で洪水を引き起こせばいいのだ。彼ら(メディア)に連日3つのパンチを食らわせる。やつらはそのひとつに打ち返してくる。しかし、それ以上は手が付けられないので、わが方の目的はつぎつぎに成果を挙げられる。彼らは疲労困憊で2度と立ち直れなくなるが、わが方はさらに追い打ちをかける……」(中略)
大手メディアもお手上げ状態
(中略)このように、トランプ大統領の「行政命令」をタテにした横暴ぶりに対し、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストなどの有力紙、NBC、CBS、CNNなどの主要テレビ含め大手メディアは、五月雨的な批判を繰り返すだけで、ほとんどお手上げ状態だ。
本来なら、憲法が規定する三権分立の「チェック・アンド・バランス」が機能し、行き過ぎた行為にブレーキがかかることが期待される。しかし、議会は今や、上下両院ともに共和党が多数を制しているだけでなく、大統領の意のままに動く“トランプ党”と揶揄される存在に成り下がってしまっており、チェック機能は有名無実となっている。
今のところ、行政命令が法律や憲法上の大統領権限規定を逸脱した場合の唯一の歯止めは、訴訟による法廷闘争しかない。しかし、かりに、地裁、控訴裁で違法性の疑いのある行政命令に待ったがかかったとしても、トランプ政権が上訴し、最高裁に持ち込まれた場合、9人の判事のうち、6人がトランプ氏の息のかかった共和党系で固められているため、最終段階で棄却される可能性もある。(後略)【2月19日 WEDGE】
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【三権分立と法の支配を揺るがす「トランプ-マスク」ラインの“越権行為” “先週何した”メールで政府内に混乱も】
「Flood Zone」のなかでも「トランプ-マスク」ラインで進む連邦政府解体とも言うべき動きは、憲法が保障する三権分立と力の均衡を変えようとするものとの批判があります。
*****〈イーロン・マスクがアメリカを壊す〉政府効率化省の“越権行為”が破壊する三権分立と法の支配、民主主義はもうないのか****
イーロン・マスクの率いる米政府効率化省は、行政府による権力奪取を隠蔽するものでもあると、2025年2月11日付のフィナンシャル・タイムズ紙 が強く批判している。
先週、イーロン・マスクは、米連邦政府の官僚制度を攻撃する自らのプロジェクトを「人民の革命」と呼んだ。しかし実際は、トランプ大統領に支持された行政府による権力奪取のように思える。
連邦政府機関の廃止、資金提供の凍結、政府職員への辞職の強要等は単なるリストラをはるかに超え、憲法が保障する三権分立と力の均衡を変えようとするものだ。
確かに米国の官僚組織の一部は肥大し非効率で近代化が必要だ。官僚組織を改革するには抜本的な取り組みが必要な場合も多い。しかし、そこには詳細な計画、透明性、そして監督も必要だが、現在のトランプ政権からはこれら全てが欠落している。
マスクの率いる政府効率化省は議会が設置したものではなく、行政命令で創られた曖昧な機関だ。シューマー上院少数党院内総務は、同機関には支出を決定する、あるいはプログラムを停止する権限はなく、まして省庁を丸ごと閉鎖する権限などないと言っている。
マスク・チームの20代のプログラマーたちは、節約案件を探し出し、財務省、国務省、保健福祉省等に侵入し、予算400億ドルの国際開発庁は事実上閉鎖され、何万もの公務員が解雇や停職に追い込まれた。政府効率化省のスタッフは機密情報から政府職員の個人情報まで膨大なデータにアクセスし、プライバシーや国家安全保障上のリスクが生じている。
この効率化を目指すとされる動きは、政府機構を破壊すると共に、その優先課題を押し通し、反対派を無力化すべく行政府の権限を強化することを隠蔽するために利用されているように思える。
政府効率化省による決済システムをコンロールしようする動きも、トランプ政権による連邦政府の供与や融資を凍結する試みと一致する。両方とも、議会が承認した支出を大統領が拒否することを違法とした1974年の法律に挑戦し、力の均衡を立法府から行政府側に傾けようとする動きのように思える。
議会が無気力な今、憲法秩序を守るのは裁判所の役割だが、トランプ政権が矢継ぎ早に繰り出す命令や活動は、民主主義活動家や裁判官が事態について行くのを難しくしている。
ヴァンス副大統領は、大統領による公務員解雇の動きを止めようとした裁判所の判決を大統領は無視できる、と示唆した。他のポピュリスト政権と同様、トランプ政権は自分たちの意図や計画を邪魔したとして裁判官たちをも非難する可能性がある。
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大統領令の一部差し止めの可能性
このフィナンシャル・タイムズ紙の社説は、的を射た良い社説である。(中略)
三権分立は危機に
このDOGEをめぐる騒動は、三権分立や法の支配という民主主義の根幹にある理念を否定する大きな問題であり、危機意識を持って考える必要があろう。
そうしないと、トランプとイーロン・マスクが、米国を大統領が議会や裁判所に優位に立つ、チェック・バランスがない非民主主義的な国家にしてしまう危険があるように思われる。
優れたデマゴーグとそれに説得される選挙民の組み合わせが民主主義をダメにした例は、ワイマール共和国のように、これまでにもあったことを考える必要がある。【2月24日 WEDGE】
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上記記事の内容には問題ありませんが、“〈イーロン・マスクがアメリカを壊す〉”という表題は間違いでしょう。
アメリカを壊しているということでは、マスク氏を「もっと攻撃的にやれ」と煽っているトランプ大統領が“主犯”でしょう。
国民には連邦政府解体で行政サービスが低下することへの懸念があります。
****マスク氏の「政府効率化省」、国民はサービス悪化を懸念=調査*****
ロイター/イプソスの最新世論調査によると、米国民の過半数は実業家イーロン・マスク氏が進める連邦政府機関の縮小で地元のサービスに悪影響が出ることを懸念している。(中略)
回答者の58%は、公的年金や奨学金といった連邦政府の制度で給付に遅れが生じることを懸念。懸念していないとの回答は29%だった。(後略)【2月20日 ロイター】
回答者の58%は、公的年金や奨学金といった連邦政府の制度で給付に遅れが生じることを懸念。懸念していないとの回答は29%だった。(後略)【2月20日 ロイター】
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この連邦政府解体は、いわゆる“先週何した”メールの配信、回答がなければ解雇というマスク氏の方針で政府内部が混乱しています。
****マスク氏、成果報告なければ解雇とまた警告 政権「返信不要」でも****
トランプ米政権で「政府効率化省(DOGE)」を率いる実業家イーロン・マスク氏は24日、連邦政府職員に過去1週間の成果を示すよう求めたメールについて、従わなければ解雇すると改めて警告した。
連邦政府の人事管理局(OPM)は先に、職員がメールに返信しなくても辞職とは見なされず、返信する義務はないと各省庁の人事担当者に伝えていた。
連邦政府職員は22日、過去1週間に行った業務の詳細を24日午後11時59分までに報告するよう指示するメールを受け取った。その直前にマスク氏は、返答しない場合は辞職と見なすとXに投稿していた。
返信期限が迫る中、マスク氏は「メールでの要求は極めてささいなことで、合格の基準は幾つかの単語を入力して送信ボタンを押すだけだった」とXに投稿。「しかし、このつまらないテストにさえ合格しなかった人は非常に多く、中には上司に促された人もいた」と書き込んだ。
その上で「大統領の裁量により、彼らにはもう1回チャンスが与えられる。2回目に回答しない場合は解雇されることになる」とした。
マスク氏の投稿についてホワイトハウスのコメントは得られていない。
OPMが指針を示した後も、一部機関は職員に返信を促した。連邦政府の建物を管理する連邦政府一般調達局(GSA)の関係筋によると、同局幹部は任意としながらも返信を奨励したという。
また、指針を出したOPM内でも、返信は任意だが「強く推奨される」とするメールを局長代理が職員に送った。
トランプ大統領が24日の記者会見で、マスク氏のメールについて「素晴らしい」などと擁護したことも混乱を一層強めた。トランプ氏は「天才的なアイデアだ。われわれは職員が仕事をしているか調べようとしている」と語った。
OPMの指示に先立ち、司法省、国防総省、国土安全保障省、米連邦捜査局(FBI)、国務省などは指揮系統以外に返信しないよう職員に指示。一方、運輸省、財務省、米連邦取引委員会(FTC)や連邦通信委員会(FCC)などは要請に応じるよう求め、政権内で対応が分かれた。【2月25日 ロイター】
連邦政府の人事管理局(OPM)は先に、職員がメールに返信しなくても辞職とは見なされず、返信する義務はないと各省庁の人事担当者に伝えていた。
連邦政府職員は22日、過去1週間に行った業務の詳細を24日午後11時59分までに報告するよう指示するメールを受け取った。その直前にマスク氏は、返答しない場合は辞職と見なすとXに投稿していた。
返信期限が迫る中、マスク氏は「メールでの要求は極めてささいなことで、合格の基準は幾つかの単語を入力して送信ボタンを押すだけだった」とXに投稿。「しかし、このつまらないテストにさえ合格しなかった人は非常に多く、中には上司に促された人もいた」と書き込んだ。
その上で「大統領の裁量により、彼らにはもう1回チャンスが与えられる。2回目に回答しない場合は解雇されることになる」とした。
マスク氏の投稿についてホワイトハウスのコメントは得られていない。
OPMが指針を示した後も、一部機関は職員に返信を促した。連邦政府の建物を管理する連邦政府一般調達局(GSA)の関係筋によると、同局幹部は任意としながらも返信を奨励したという。
また、指針を出したOPM内でも、返信は任意だが「強く推奨される」とするメールを局長代理が職員に送った。
トランプ大統領が24日の記者会見で、マスク氏のメールについて「素晴らしい」などと擁護したことも混乱を一層強めた。トランプ氏は「天才的なアイデアだ。われわれは職員が仕事をしているか調べようとしている」と語った。
OPMの指示に先立ち、司法省、国防総省、国土安全保障省、米連邦捜査局(FBI)、国務省などは指揮系統以外に返信しないよう職員に指示。一方、運輸省、財務省、米連邦取引委員会(FTC)や連邦通信委員会(FCC)などは要請に応じるよう求め、政権内で対応が分かれた。【2月25日 ロイター】
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各省庁を束ねるトランプ“忠臣”の間でも強引な「トランプ-マスク」ラインのやり様には反感・抵抗があるようです。 将来的に政権内部の亀裂につながるのか?
【国民はトランプ大統領の権限拡大に懸念】
こうした“トランプ劇場”全開にさすがのアメリカ国民もやや危険なものを感じているようです。
****トランプ大統領の権限拡大に懸念 米調査、「あまりに危険」65%****
米調査機関ピュー・リサーチ・センターは14日、米大統領の権限拡大に米国民の大半が懸念を示しているとする調査結果を発表した。さまざまな課題に直接対処するようトランプ米大統領により大きな権限を与えるのは「あまりに危険」とする回答は65%に上った。
民主党員や同党寄りの90%が懸念を示した。共和党員や同党寄りで危険視したのは39%だった。
トランプ政権は、多様性やクリーンエネルギーの推進撤回を求めた大統領令に沿うかどうか検証するため、補助金や融資の一時停止を指示。裁判所による差し止め命令が出たが、守っていないとの司法判断も出た。
対外支援を担う国際開発局や教育省の解体に向けた言動もあり、こうした動きは大統領権限を逸脱するとの批判がある。
トランプ氏に限らず、米大統領の権限拡大に78%が懸念を示した。米国では共和党と民主党のどちらが大統領職を掌握するかによって、両党員の権限拡大に対する意識は変わる。
調査は1月27日〜2月2日、全米から無作為に抽出した約5090人を対象に行った。【2月16日 共同】
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「独裁者は誰だ?」・・・といった感も。
【政権の在り様をチェックするメディアに対する攻撃 AP通信への取材規制】
本来、権力をチェックすべきメディアの効果的な批判力が低下しているなかで、政権側からのメディア攻撃も。
****AP通信によるトランプ政権取材の再開認めず 米地裁****
アメリカ連邦地裁は、トランプ政権による「メキシコ湾」改称の方針に従わずホワイトハウスでの取材を規制された大手通信社「AP通信」について、取材の再開を認めない判断を示しました。
AP通信は、トランプ政権が「メキシコ湾」を「アメリカ湾」に改称する方針に従わなかったことで、ホワイトハウスなどでの取材を規制されています。
これを受けAP通信は21日、言論の自由を保障した憲法に違反しているとして、取材規制を撤回するよう裁判所に訴えを起こしていました。しかし、ワシントン連邦地裁は24日、この訴えを棄却。
AP通信によりますと、判事は理由について、「AP通信が回復不可能な損害を被ったと証明していない」としています。その一方で、政権側に対し、「AP通信が『メキシコ湾』と表記するのを禁じるのは法律上ふさわしくない」と指摘しました。
判断を受けAP通信は、「報道機関と市民が政府の報復にさらされることなく、自由に発言する権利のため戦い続ける」とコメント。
ホワイトハウスは、記者会見室のモニターに「勝訴、アメリカ湾」と掲げています。【2月25日 TBS NEWS DIG】
AP通信は、トランプ政権が「メキシコ湾」を「アメリカ湾」に改称する方針に従わなかったことで、ホワイトハウスなどでの取材を規制されています。
これを受けAP通信は21日、言論の自由を保障した憲法に違反しているとして、取材規制を撤回するよう裁判所に訴えを起こしていました。しかし、ワシントン連邦地裁は24日、この訴えを棄却。
AP通信によりますと、判事は理由について、「AP通信が回復不可能な損害を被ったと証明していない」としています。その一方で、政権側に対し、「AP通信が『メキシコ湾』と表記するのを禁じるのは法律上ふさわしくない」と指摘しました。
判断を受けAP通信は、「報道機関と市民が政府の報復にさらされることなく、自由に発言する権利のため戦い続ける」とコメント。
ホワイトハウスは、記者会見室のモニターに「勝訴、アメリカ湾」と掲げています。【2月25日 TBS NEWS DIG】
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取材規制に対し、APは21日、取材規制が言論の自由を定める憲法修正第1条に違反しているとして、取材規制の即時撤回を求めてワイルズ大統領首席補佐官、ブドウィッチ次席補佐官、レビット報道官のホワイトハウス当局者3人を相手取り訴訟を起こしていました。
回復不可能な損害を被ったと証明していない・・・という判断は、別の社による代表取材によって「同じ情報にアクセスできる」などがその理由とか。
“判断を下した地裁のマクファデン判事はトランプ氏が第1次政権時に指名した。”【2月25日 ロイター】とも。
なお、“アメリカの連邦地裁は、AP通信の大統領執務室などの取材を規制したホワイトハウスの措置を当面の間、認めるとの判断を下しました”【2月25日 FNNプライムオンライン】ということで、“当面の間”とも。
それにしても“ホワイトハウスは、記者会見室のモニターに「勝訴、アメリカ湾」と掲げています”というのは、あまりに“子供のケンカ”レベルの反応で憂慮に堪えません。何かと批判ばかりする大嫌いなメディアからの訴訟を退けて嬉しいのでしょうが・・・。
【実体経済はインフレ加速の懸念】
三権分立やメディアのチェックが崩壊しつつあるなかで、トランプ大統領の暴走を止めるのはインフレ加速の気配を見せる実体経済の動きかも。
****「トランプ大統領は経済がわかっているのか?」関税戦争の足元でインフレ加速…「最も馬鹿げた貿易戦争」米経済専門紙が批判****
貿易相手国に関税戦争を仕掛ける米国のトランプ政権の足元で、インフレが急速に加速し出し、経済のプロの間から「トランプは経済がわかっているのか?」という声が上がり始めている。
3年先の予想物価上昇率が1年1カ月ぶりの高水準に
ニューヨーク連邦準備銀行は13日、3年先の予想物価上昇率が3%と前月比0.4%上昇し、1年1カ月ぶりの高水準になったと発表した。FRB(連邦制度理事会)が目標とする2%を大幅に上回ることになる。
また食品やエネルギーなど中核の消費者物価も、1月は前年比3.3%上昇を記録し、インフレが予想以上に進行していることを示唆した。
「バイデン政権の経済政策の失敗がインフレを助長させた」と選挙戦を戦って勝利したトランプ大統領だったが、そのバイデンフレーションを退治できなかっただけでなく悪化させさてしまったのだ。
加えて、トランプ大統領の目玉政策である関税引き上げを行うと、輸入製品の値上がりにつながり、インフレはさらに悪化すると大方のエコノミストは指摘する。
トランプ大統領は13日、これについて記者に問われると次のように弁明した。
「これから上がるのは就職率だ。上がるぞ。物価も短期的には上がるだろうが、その後下がるはずだ」
「インフレ再燃はトランプ政権にとって最大の脅威」(後略)【2月17日 FNNプライムオンライン】
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