孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

パキスタンから帰国  根深い相互不信

2014-04-20 23:34:45 | アフガン・パキスタン

(世界一の巨大噴水ショー“ドバイ・ファウンテン” 真後ろが世界一の高層ビル“バージュ・ハリファ” ドバイは世界一が大好きです)

ドバイ経由で丸二日
パキスタン旅行からの帰国の途です。

昨日朝9時のフライトでパキスタンからドバイへ。
ドバイで15時間以上の待ちで、深夜3時のフライトで関西空港へ向かい午後5時過ぎ着。
そのまま鹿児島へピーチ航空で移動し、今は自宅へ向かう空港バスの中。夜11時前に帰着予定。あと一歩です。

ドバイではエミレーツ航空提供の無料ホテルが利用できます。(ドバイコネクト)
送迎・食事も無料で、ホテル室内は快適、無料WiFiも快調、しかも部屋(7階)からはバージュ・ハリファを含むドバイの高層ビル群が一望できます。

あまりに申し分ない環境で、“行きでバージュ・ハリファとゴールドスークは観光したし、今回はあえて街中に出る必要もないかも・・・・”という感もありましたが、いくらあまり興味ないトランジットのドバイとは言え、まったく出かけないのもいかが・・・・ということで、巨大噴水ショーの“ドバイ・ファウンテン”だけタクシー往復で見てきました。

ラスベガスのベラージオホテル前の噴水ショーと似ていますが、ドバイの方が手が込んでいるかも。
ただ、動く水を何とか写したいということで写真撮影に夢中になってしまい、ファインダー越しにしか見ていないという最悪パターン。(結局、まともな写真はありませんでした)
ホテルに戻ってからネットの動画で改めて確認するというのは間抜けです。

実感する日本のすばらしさ
毎回、海外旅行から帰国すると、日本の細やかな気遣い(“おもてなし”を含め)に改めて感心するのですが、もうひとつ日本が際立つのは、仕事の効率・手際のよさです。

パキスタンの出国手続きでは、同じようなチェックがダラダラと何重にも行われ、途中トイレに行きたくなったこともあって大変でした。
もちろんテロ対策ということはありますが、もっと効率よくやってよ・・・という感もあります。

日本の入国審査は、ほとんど列に並んでる時間がないくらいスピーディーですが、その早いパスポートコントロールを終えて預けた荷物を取りに向かうと、すでにターンテーブルが回っています。

驚くべき早さです。
途上国ではパスポートコントロールに長い時間がかかるうえに、荷物の受け取りに更に時間を要します。
ターンテーブルが回り始めるのに時間がかかりますし、回り始めてからも荷物がなかなか出てきません。
深夜便などは最悪です。
一体いつになったら受け取れるのかと途方にくれたり、スケジュールが狂ってしまったりすることも。

今回、関西空港では入国審査から荷物の受け取りまで十数分で済んでしまいました。
おかげで、着陸時には乗り継ぎに不安のあったピーチにも余裕で間に合いました。

こうした効率のよい社会は、これからも維持していきたいものです。

殆どみかけない外国人観光客
****パキスタンの女子神学校に「ビンラーディン図書館****
パキスタンの首都イスラマバードにあるマドラサ(イスラム神学校)の女子校で、国際テロ組織アルカーイダの指導者で2011年に米軍に殺害されたウサマ・ビンラーディンの名前が図書室に付けられた。

パキスタンのイスラム教徒の間で、ビンラーディンを英雄視する見方が今もあることを示している。

マドラサは07年にイスラム過激派が籠城し、治安部隊との銃撃戦で多数の死者を出した「赤いモスク」の付属施設。広報担当者はAP通信に対し、「ビンラーディン氏は英雄であり、殉教者だと考えているので、図書館に名前を付けた」と述べた。

パキスタンでは一時、米国による無人機攻撃や治安部隊の対テロ戦に反発して、子供や店に「ビンラーディン」と名付ける人が相次いだ。【4月19日 産経】
****************

「赤いモスク」付属施設ということであれば、不思議ではない話です。
無人機攻撃による民間人被害の拡大も、パキスタンの反米感情を刺激しています。

欧米側にもイスラムに対する根深い不信感があります。
今回の旅行中、外国人観光客をほとんど見かけませんでした。
(日本の某有名旅行社のツアーは見ましたが)
これでは、観光業は立ち行かないのでは・・・・と、心配になるほどでした。

ガイド氏に外個人の少なさを訊くと、「彼らはイスラムを嫌っていますから」とのことでした。
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パキスタン  アクバル大帝が築いたラホール城で、インド・パキスタン分離の今昔を思う

2014-04-19 21:44:57 | アフガン・パキスタン

(ラホール城・鏡の間 建物内外の壁面大理石にガラス・貴石が埋め込まれており、建物の前面に作られた浅いプールの水面に反射した月の光が、建物を覆う鏡を煌めかしたとか)

パキスタン旅行の帰途、ドバイにトランジットしています。
昨日は、午前中ラホール城などを見学し、午後にラワルピンディにバス移動、今朝のフライトで日本への帰国の途にあります。

パキスタンから北部インドの歴史的一体性
ラホールにはかなり昔から城が築かれていましたが、現在のラホール・フォートを築いたのはラホールを首都としたムガール帝国3代皇帝アクバルです。

“ムガール帝国”といえば、5代皇帝シャー・ジャハンがタージ・マハルを築いたように、インド亜大陸を支配した国家です。

そのシャー・ジャハンもラホール城で生まれ、ラホール城の拡張に努めた人物で、シーシュ・マハルも彼の時代のものです。

もともとムガール王家はアフガニスタン・カブールを本拠としており、その後、パキスタン・北部インドに進出し、インド亜大陸を支配するムガール帝国を築きました。

このように、アフガニスタンからパキスタン、北部インドに至るエリアは繋がりの強い地域で、カニシカ王のクシャナ朝、更にはショカ王のマウリア朝も、この一帯を支配した国家です。

これに対し、インド南部は上記のようなインド王朝からは独立しており、ムガール帝国の最大版図にも、インド最南端は含まれていません。

現在私たちが“インド”として認識している版図は、イギリスのインド支配以降のもののように思えます。

【インド・パキスタンの分離
もともと北部インドとのつながりが強く、イギリスによって一体的に支配されてパキスタンを、ムスリムが住む独立国家としてインドから分離し、イスラムの教えに基づいて統治するという考えを強くアピールしたのが、詩人であり、哲学者でもあったイクバールでした。

彼の墓は、ラホール城に隣接する、世界最大規模のムガール時代のモスク「バードシャーヒー・モスク」にあります。現在も2名の兵士がその墓を守っています。

イクバールの思想を“パキスタン建国”という形で現実のものにしたのがジンナーでした。
ジンナーは最初からインド分離を考えていた訳でもなく、イクバールのようなイスラム原理主義でもありませんでしたが、イクバールはジンナーの政治活動を支援し、結果的にイスラム国家パキスタンが誕生することになります。

イクバールの思想、ジンナーの政治選択が正しかったのかどうか・・・・は、わかりませんが、宗教的・民族的対立、分離運動が世界のあちこちで見られる現状を考えると、遅かれ早かれ・・・・という感もあります。

インド人民党・モディ氏の台頭で懸念される宗教間軋轢
インドの方は、イスラムに純化したパキスタンとは逆に、多宗教国家としての道を歩んでいますが、それは国民会議派の思想でもあります。

そのインドで現在行われている総選挙では、ヒンズー至上主義のインド人民党が勝利すると予測されており、首相には、2002年のイスラム教徒虐殺暴動に関与したともされているモディ氏が就任するものと見られています。

もともと宗教間の暴動が起こるような風土ですから、ヒンズー至上主義を隠さないモディ氏の中央政界登場はヒンズー・イスラム間の対立を煽るところとなっています。

****印総選挙で宗教対立 北部州、多数派ヒンズーVSイスラム 政党、憎悪あおる****
インド総選挙の投票が進む中、国内最多の有権者を抱える北部ウッタルプラデシュ州で、多数派ヒンズー教徒と少数派イスラム教徒の住民対立が顕在化している。

宗教対立を利用しようと、各政党が暴力をあおっているとの非難も上がる。
11日には、選挙管理委員会が政党幹部2人を「ヘイト・スピーチ」(憎悪に基づいた演説)の疑いで当局に告発する事態に発展した。
                   ◇
「あの日、住民トラブルを話し合う会議があった。ヒンズー至上主義のインド人民党(BJP)幹部がイスラム教徒を攻撃する演説をして、ヒンズー教徒が私たちを襲い始めたんだ」

昨年9月7日にウッタルプラデシュ州ムザファルナガル近郊で起きた事件を、イスラム教徒のノミヌル・イスラムさん(71)はこう説明した。息子(28)を殺害され、イスラム教徒居住区が放火と略奪に遭った。約5万人が家を追われ、今でも約2万5千人が避難生活を送る。

発端は、イスラム教徒の男性が、妹に乱暴したヒンズー教徒を射殺した事件。両教徒間の衝突に発展し計63人が死亡、犠牲者の多くはイスラム教徒だった。

 ◆非難の応酬続く
インドでは人口約13億人のうち、ヒンズー教徒が約80%を占め、イスラム教徒は約13%にとどまる。

ムザファルナガル・シャフプル地区の住民評議会会長のイスラム教徒、モハンマド・シャフナワズ・クレシ氏は「BJP幹部は『イスラム教徒はテロリストだ』などと吹聴してヒンズー教徒に暴力をけしかけている」と非難した。

今月4日には、BJPの首相候補であるナレンドラ・モディ氏の右腕とされる幹部、アミット・シャー氏が集会で「イスラム教徒に報復を」とヒンズー教徒らを扇動。11日、選管に選挙運動禁止を命じられ、「ヘイト・スピーチ」の疑いで告発された。

クレシ氏はモディ氏について、「経済政策などで救世主のように言われているが、イスラム教徒には非常に嫌われている。2002年に起きたグジャラート州の虐殺事件を思い出せば、明らかだ」と話す。

これは、暴動が発生しヒンズー教徒がイスラム教徒を虐殺したとされる事件だ。死者は計1千人とも2千人ともいわれる。当時から州政府の首相を務めているモディ氏は関与を否定したものの、イスラム教徒や欧米から虐殺を黙認したとの批判を受けている。

 ◆選管から処分
一方、ヒンズー教徒側もイスラム教徒側への怒りを増幅させている。昨年9月の衝突で負傷したヒンズー教徒のチャンドビア・シンさん(36)は、「BJPが暴動をあおっているというのは、州政府のでっち上げだ」と強く反発する。

ムザファルナガルの選挙区でBJPに対抗するのは、ウッタルプラデシュ州の政権与党である地域政党、社会党(SP)などで、イスラム教徒の支持を受けている。シンさんが指摘するように、SP幹部のアザム・カーン氏がヒンズー教徒への憎悪をあおる発言を繰り返し、BJP幹部と同様、11日に選管の処分を受けた。

多民族、多宗教国家のインドではこれまでも、小さな事件をきっかけに多くの暴動や虐殺が起きてきた。
ムザファルナガルでは10日に総選挙の投票が実施された。開票は来月に行われるが、選挙が終わっても、住民間の反目は容易には解消しそうにない。

「何のための選挙なのか」という疑問の声も上がっている。【4月13日 産経】
********************

それでもモディ氏が優勢なのは、宗教間の対立が先鋭化しても構わない、もし相手が騒ぐなら、その時は・・・・といったヒンズー教徒住民の意向も窺えます。

いつまでも、どこでも繰り返される、異なる者への不寛容には暗澹たる思いもします。

隣国パキスタンとの関係は?】
国内イスラム教徒だけなく、国外イスラム教国パキスタンとの軋轢も懸念されます。
カシミールなどの領土問題を抱える両国は戦火を何度も交えた犬猿の仲ですが、両国ともに核保有国です。

勝利が予想されているインド人民党は「核の先制不使用」の原則を放棄する方針だとも伝えられて、国際的波紋が広がっていました。
簡単に言えば、必要ならパキスタンに対する核兵器による先制攻撃も辞さないということになります。

さすがに国際的な批判もあって、「核の先制不使用」の原則を維持する方向に軌道修正したようです。

****インド:「核の先制不使用」原則 政権交代後も維持の考え****
インド総選挙(5月16日開票)で勝利が予想されている最大野党・インド人民党の次期首相候補、ナレンドラ・モディ氏(63)は16日、地元テレビのインタビューで「核の先制不使用」の原則を維持する考えを示した。

ロイター通信が今月上旬、人民党は先制不使用を放棄する方針だと報じ、波紋が広がっていた。開票日が近づく中、国際的な批判に配慮を示した形だ。インドは1998年、人民党のバジパイ政権下で地下核実験を実施したが、その後に先制不使用原則を打ち出した。

モディ氏はインタビューで、核兵器は「自国の防衛のために必要」としたうえで、「先制不使用はバジパイ氏の偉大な施策だ。妥協はない」と強調した。

人民党は今月発表したマニフェストで「核政策の再検討」をうたっているが、具体的な内容は明らかにしていない。【4月17日 毎日】
***************

インド側での人民党・モディ氏の台頭を隣国パキスタンがどのように見ているのかも知りたかったところですが、旅行中現地の方に訊く機会はありませんでした。

なお、日本・安倍政権とモディ氏は非常に親密な関係を維持しています。
両トップの保守強硬的な政治姿勢に共通点が多いこと、人権問題を重視する欧米がモディ氏を犯罪者扱いするなかで、インドへの進出を拡大したい、更には対中国という観点からインドとの関係強化を図りたい日本は、欧米とは一線を画し、モディ氏との関係を強化しながらインドへの経済進出を進めてきました。

進展しないいTTPとの和平交渉
話をパキスタンに戻すと、イスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動」(TTP)は16日、政府との停戦期間について、これ以上延長しないと発表しています。

****パキスタンのタリバン運動 「停戦延長せず」 和平交渉に悲観論も****
パキスタンのイスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動」(TTP)は16日、政府との停戦期間について、これ以上延長しないと発表した。

停戦中に政府側からの攻撃が続いているのが理由だとしている。政府は17日、国家安全保障会議の会合を開き、対応を協議した。

両者間では和平交渉が続いているが、これまでもタリバン運動側のテロに政府が空爆で対抗するなどしており、交渉は紆余(うよ)曲折の道をたどっている。
                   ◇
タリバン運動は和平交渉を進めるため、3月1日に1カ月間の停戦を発表し、その後10日間の延長を決めていた。

政府は2月6日、タリバン運動の代理人との交渉を開始し、その後、初の直接協議も行われていた。さらに、政府側は今月13日、間もなくタリバン運動との包括対話が始まるとの見通しを示し、タリバン運動の求めに応じて約30人のメンバーらの釈放を始めていると明らかにしていた。

タリバン運動の広報担当者は、停戦中に50人以上のメンバーが殺害されたと主張しているが「和平交渉は誠意と真剣さを持って続ける」としている。

タリバン運動の狙いは不明だが、政府側から何らかの譲歩を引き出すための戦略ではないかとの見方がされている。
ただ、専門家の間ではかねて和平交渉は対テロ戦で弱体化したタリバン運動に組織再編の時間を与えるだけだとの批判があり、今後の交渉の行方を悲観する声も少なくない。【4月18日 産経】
*****************

パキスタン旅行中のここ1週間ほどは、大きなテロはなかったように思います。
交渉打ち切りとなれば、またあちこちでテロが繰り返されるのでしょう。

政権側が欧米的民主主義の価値観を大幅に譲歩して、イスラム原理主義的施策を受け入れない限りTTPがテロを止めることはないでしょう。
それは、イクバールの思想に沿うものでしょうが、部外者には、それでいいのか?とも思えます。

もともとシャリフ首相はTTPとの和平交渉を進めているように、イスラム主義に寛容な立場ですが、インド側で対イスラム強硬姿勢が強まれば、パキスタン内でイスラム保守派の声も更に大きくなるのでしょう。
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パキスタン  ラホール博物館で断食仏陀に会う

2014-04-18 11:32:48 | アフガン・パキスタン

写真はラホール博物館に展示されている「断食するシッダールタ」

お釈迦さまは、それまでの何不自由ない王子としての生活に疑問を持ち、断食で悟りをひらこうとします。
結局は断食では悟りは得られず、菩提樹の下での瞑想によって悟りをひらき、仏陀となります。

断食中の痩せ細った体、浮き出る骨と血管、緩やかな衣の曲線・・・・2世紀前半頃に作られたとみられるガンダーラ美術でも最も有名な仏像です。

昨日は、このラホール博物館を見学した以外は、ホテル近くのバザールをうろうろしたぐらい。
あとはホテルで二度寝したり、うまくつながらないネットと悪戦苦闘したりしていました。

きわめて効率が悪い、時間がもったいないと言えばそのとおりですが、冒頭写真のような人類の宝とも言えるような作品を目にすることができたという意味では、それだけで十分すぎる1日だったとも言えます。

パキスタンの街は、いたるところにテロを警戒する自動小銃をもった警備・警官・兵士がいますので、テロ以外の犯罪については、非常に治安がいいとも言えます。

テロについて言えば、どこか食事できそうなところはないか、信号のない道をどうやって横断したらいいか、そんなことを考えてふらふら歩いていると、“テロ地獄”と呼ばれる国にいることもすっかり忘れてしまいます。

ラホールは大都会ですから、そのどこかの市場で爆発があっても、多くの人にとっては「それがどうした。そんなことより日々の稼ぎが大変」といった感じではないでしょうか。
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パキスタン  下痢・熱中症を乗り越えてラホールへ

2014-04-17 20:58:58 | アフガン・パキスタン

(ワガーで行われている国旗降納式のセレモニー)

下痢・立ちくらみ・嘔吐・・・・病院へ
現在、パキスタンを旅行中です。

体調を崩してしまいました。
どうも、14日夜にラワルピンディで食べたビーフ・カバーブがスパイシー過ぎたようです。
もっとも、昼にラジャ・バザールの路上で食べたマトン料理も危なげでしたし、おじいさんが道端で売っていたミルクに炭酸を入れたような飲み物も相当に怪しげでしたので、どれが原因かは定かではありませんが。

14日夜から15日朝にかけて下痢になってしまいました。
下痢の方は峠を越した感もあったので、15日朝はチャイだけで何も食べず、下痢止めを服用して、予定どおりロータス・フォート観光に出かけました。

観光後にフォート近郊からそのままバスでラホールに移動しなければなりませんので、ホテルで寝ている訳にもいきません。
このあたりが、貧乏人の余裕のない旅行の悲しいところです。

日本語がおぼつかないガイド氏と一緒にタクシーをチャーターしてムガール帝国時代の遺跡であるロータス・フォート(正確には16世紀、一時的にムガール帝国の王位を奪ったシェール・シャーが建造した砦ですが)に無事到着。

しかし、下痢と食事抜きで体力が落ちているのに加え、強い日差しと暑さで、歩き始めてしばらくすると急に体調が悪化。

足が動かなくなり、汗が吹き出し、脳貧血のような立ちくらみ、更には嘔吐(食べていないので、水のようなものしか出ませんが)と、熱中症のような状態になって、歩くことはおろか。立ち上がることも難しくなってしまいました。

ガイド氏とドライバーに両脇を抱えられる状態でなんとか車に戻り、近郊の町の病院へ連れていってもらいました。
熱も出てきたようで寒気もします。

点滴でもして1~2時間横になりたかったのですが、ドクターの診断は「特別異常もない。昨夜食べたものの刺激が強すぎたのだろう」とのことで(正確な診断ではありますが)、抗生物質と吐き気止めの処方箋をもらい病院を出ました。

しばらく、病院近くのコンクリートのベンチで日差しの中で横になっていましたが、寒気も収まってきました。
急速に体調も回復してきましたので、薬局で薬をもらい、予定どおりガイド氏らと別れて一人でラホールにバスで向かいます。

国境を挟んでの応援合戦
夜9時前頃にラホールのホテルにチェックイン。
この頃までには、ルームサービスのサンドイッチを頼むぐらいには元気になりました。

ラホールは人口が1千万人ほどの大都会で。インドとの国境も近い都市です。
一人で歩き回るには大きすぎ、外国人もほとんど見かけない街です。体力・気力もそんな元気はありません。
なんとかつかまえた旅行会社関係者に案内を頼みます。

16日は、旧市街などの市内観光の後、国境の街ワガーで毎日行われている国旗降納式のセレモニーを見てきました。
国境を挟んでパキスタン側、インド側双方に何百人もの観客が陣取り、大音響の愛国歌が流され、それぞれの国への応援合戦のなかで国境に掲げられた両国国旗が降ろされます。

一度見てみたいと思っていたもので、実際、非常に楽しいイベントです。そのあたりは別途旅行記サイトで紹介します。普段、国旗を打ち振ったりするような“愛国的行動”は嫌っているのですが、ワガーでのセレモニーは嫌みのないお祭り騒ぎという感じで、微笑ましくもありました。

超満員のインド側に比べて、パキスタン側は空席も。
また、ボリウッド並にノリノリの雰囲気のインド側に比べると、パキスタン側で大はしゃぎしているのは一部の生徒たちと女性ぐらいで、男性陣はどちらかと言えばノリがいまいちの感もありました。

今日17日は有名な「断食するシッダールタ」像が展示されているラホール博物館へ行く予定です。
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パキスタン  マララさんは“やらせ”?  監視塔のある高級ホテル

2014-04-14 22:56:34 | アフガン・パキスタン

(タキシラの仏教遺跡ジョーリヤーンに残る仏像)

ガンダーラ美術
現在、パキスタン・ラワルピンディを旅行中です。

紀元前6世紀前後、ネパール・ルンビニ付近に誕生したゴータマ・シッダールタによって仏教の教えが世に出る。
紀元前326年、アレクサンダー大王がペルシャを破り、北西インド地域に進攻。ギリシャ人がこの地に移り住む。紀元前3世紀、インドほぼ全域を支配したマウリヤ朝は北西インドからギリシャ勢力を駆逐し、全盛期のアショカ王は仏教を手厚く保護。
紀元前2世紀頃、ギリシャ系バクトリアが北西インドに侵入。
紀元後2世紀、バクトリアを駆逐したクシャナ朝のカニシカ王のもとで仏教文化が興隆。
5世紀初頭、法顕がインドを旅行。
7世紀、玄奘がインドを旅行。

パキスタン北部を含む北西インド地域の大まかな歴史は以上のようなものですが、その結果、この地域には仏教とギリシャ美術が融合したガンダーラ美術が誕生し、アショカ王、カニシカ王の保護のもとで、多くの寺院、仏像がつくられました。

そうしたガンダーラ文化の中心のひとつが、パキスタン・ラワルピンディ郊外のタキシラです。
冒頭写真はタキシラの仏教遺跡ジョーリヤーンに残る仏像です。カニシカ王の時代のものでしょうか。

ラワルピンディ初日である昨日は、日本語堪能なガイド氏とタキシラの主だった遺跡を見てまわりました。
その内容は、別途、旅行記サイトに記す予定です。

テロの不安も忘れ街をさまよう
パキスタンと言えば、どうしてもテロが怖い・・・ということで、ガイド氏にテロの状況を尋ねると、「そんなに心配することはありません。普通に生活しています」とのこと。

「でも、1月頃にはラワルピンディでも大きなテロがあったし・・・・」
「そうですね。でも誰がやったか不思議ですね。タリバンなどのイスラム主義者はあんなテロはしません。パキスタンではアメリカなど多くの国が政治的影響力を争っています。そうした状況でいろんなことが起こります。」
「そうですか・・・・」

タキシラ観光の途中、ローカルなお店で昼食。
「男性ばかりですね」
「女性は人前に出ることに気をつかいますので。店で注文したものを車の中で食べたりします。私も家族連れのときは車の中で食べます。」

「ところで、女性教育の必要性を訴え、スクールバスの中でパキスタンのタリバン勢力に銃撃されたマララさんという少女がいますが、パキスタン国内では彼女はどのように見られているのですか?」
「“やらせ”ですね。殺しに慣れたタリバンの人間が本当に狙えば命が助かるはずはありません。“襲撃”後すぐに回復し、本を出し、寄付金を集め・・・・」
「なるほどね・・・・」

あまり政治的な話題に深入りしないようにしていましたので、上記程度のやりとりしかしていませんが、いろんな見方があるようです。

もちろん、上記はガイド氏個人の考えであり、パキスタンの人々の多くがどのように考えているのかは知るすべはありません。

お、日本国内ではテロの不安もありましたが、現地の市場の雑踏の中で思うことは「暑いね・・・・」「歩き疲れた。どこか休憩できるところは・・・・」「おなかすいた。どこで食べようか・・・・」といった類であり、テロのことなどすっかり忘れてしまいます。

ただ、街中のちょっとした店や銀行などの入り口には自動小銃を抱えた警備人が立っています。
私が泊まっているホテルも同様ですが、近くにある街で一番高級なホテルなどは、敷地の両サイドに監視塔まであります。まるで要塞です。

いったい誰を警戒しているのでしょうか?

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ドバイ  トランジット観光、とりあえずは「バージュ・ハリファ」へ

2014-04-13 22:11:43 | 中東情勢

(天空を突き刺す「バージュ・ハリファ」)

昨日深夜、正確には今日の早朝、パキスタンにようやく到着。
エミレーツ航空でドバイ乗換ですが、昨日ドバイに朝5時頃着いて、イスラマバード行きは午後9時過ぎということで16時間ほどの待ち。

ただ、エミレーツ航空が無料のホテルを用意してくれますので、前夜の機中泊の疲れをとりながらドバイ観光も楽しめます。さすがに裕福な国の航空会社は違います。機内の食事も最近よく使った中国系などとは雲泥の差です。

当然、ホテルもちゃんとしたところで、朝・昼・夜の食事も無料、空港までの送迎も無料と至れり尽くせりです。

ドバイはもう十数年前、トルコへ向かう飛行機がエンジントラブルをおこし、おもいがけず半日ほどトランジット観光する機会がありましたが、砂漠に無理やりつくった町で、非常に暑いところ・・・といったイメージ。

そんな訳でドバイ観光にはあまり期待もしていませんが、せっかくですから、まずは世界一高い「バージュ・ハリファ」へ。

移動はドバイ・メトロ。1日乗り放題のチケットが16ディルハム(Dh)(約430円)
メトロの乗客は、アラブ系だけでなく、アフリカ系黒人、インド・バングラデシュのような人、華人のようなアジア系と種々雑多。ドバイ経済を支えている人たちでしょう。

カラスのようなニガブとかスカーフといったイスラムファッションの女性は案外少ない感じ。

「バージュ・ハリファ」は828m、160階で、天空に突き刺すような圧倒的な高さです。
もっとも、サウジアラビアが高さ1kmを超えるビルを計画中とのことです。
いささか無意味な高さ競争というか、“バベルの塔”のような感もありますが・・・・。

「バージュ・ハリファ」の展望台は地上442mにある「アット・ザ・トップ」
時間帯ごとの予約が必要で、行ってすぐに上がれる訳ではありません。
もっとも、1万円以上出せばすぐに上がれるチケットもあるようです。
ちなみに、昨日はどの時間帯も売り切れ状態でした。

私は、日本からネット予約していましたが、12日前の段階で、夕暮れ時や夜景など人気の時間帯はすでに売り切れでした。
料金は約3500円と結構なお値段ですが、まあ話のタネということで・・・・

さすがに眺めはいいです。
中心部に林立する高層建築、周辺に広がるフラットな建物、さらにその向こうの何もない荒地、海と奇抜な形の埋立地・・・などが一望できます。

最近はどこでもそうですが、ここも中国人団体客が溢れていました。
空港の免税店で中国人のような女性が多く働いているのも、その関係でしょうか?

「バージュ・ハリファ」はメトロの駅から少し離れており、結構歩きます。動く歩道で接続はされていますが。
「アット・ザ・トップ」へは、隣接するドバイ・モールから入りますが、ちょっとわかりにくく何人かに訪ねてようやく・・・といった感じ。

ドバイ・モールは貧乏人には無縁な高級ショッピングセンターですが、アラブ風の白い衣装の男たちが暇そうにスマホをいじったりしています。
生活のために働く必要もなく、実際暇なのでしょう。

この後、金・銀・宝石店が集中しているゴールド・スークなどにも向かいましたが、それこそ貧乏人には無縁。
ゴールド・スークは本当にその類の店ばかりで、食事ができる店が見当たりません。
ドバイの人は外食しないのでしょか?

空腹と暑さでヘロヘロになったので、予定を早めに切り上げ、メトロでホテルへ戻ります。
メトロの駅からホテルまでの歩きの暑かったこと・・・。
ドバイは外を歩くような街ではありません。

ホテルで昼寝して、午後9時過ぎのフライトでイスラマバードへ。
イスラマバードの空港着が深夜1時半ごろ。
預けた荷物がなかなか出てこない・・・などで、ラワルピンディのホテルで床についたのは3時ころになりました。

そして、今日は朝8時半スタートで、ガンダーラ美術のタキシラ遺跡へむかいました。
そのあたりの話はまた後日。


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パキスタンへ行ってきます

2014-04-11 22:32:27 | アフガン・パキスタン

(アメリカ無人機攻撃への抗議として、上空からも見えるようにつくられた、攻撃で亡くなった少女の巨大ポスター “flickr”より Eupalinos Ugajin https://www.flickr.com/photos/eupalinos/13710982254/in/photolist-mMWRBw-mTAnkL

テロ地獄
今、関西空港にいます。
これからパキスタンに向かいます。いつものように物見遊山の一人旅です。

もっとも、エミレーツ航空ですので、パキスタンを通り越してドバイまで行って、イスラマバードに戻るというコース。
しかも、行き帰りともにドバイで十数時間待ち。

ただ、親切なエミレーツ航空は無料でホテル・食事を用意してくれるそうです。
さすがに裕福な国は太っ腹です。

パキスタンと言えば“テロ地獄”
いつも海外旅行時に「治安は大丈夫?」と訊かれて、「危ない所に行かなければ大丈夫ですよ」と答えているのですが、今回はちょっと不安。

****パキスタンで列車爆発、16人死亡 武装勢力が犯行声明****
パキスタン南西部バルチスタン州で8日、駅に停車中の列車が爆発、炎上した。
AP通信によると、少なくとも16人が死亡、35人がけがをした。同州の分離独立を目指す武装勢力が犯行声明を出しており、当局は爆破テロ事件とみている。

APによると、列車は西部クエッタを出発し、首都イスラマバード近郊のラワルピンディに向かう途中だった。バルチスタン州シビ駅に停車中、客の乗降が終わった後に列車内で爆発が起きた。

地元武装勢力は、今回の爆破は軍の弾圧に対する報復と説明。今後もテロ攻撃を続けると警告した。【4月9日 朝日】
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****市場で爆発、19人死亡=パキスタン****
パキスタンの首都イスラマバードにある青果市場で9日、爆弾がさく裂し、買い物客ら少なくとも19人が死亡、数十人が負傷した。武装勢力「パキスタン・タリバン運動」(TTP)は声明で関与を否定した。【4月9日 時事】 
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文字どおりの“連日のテロ”です。
しかも、イスラマバード、ラワルピンディは今回の旅行の訪問地です。

テロも怖いが、警察も・・・・
テロ以外で最近話題になっているのは、“生後9カ月の男児が殺人未遂容疑で逮捕された”という事件。

****殺人未遂事件の「容疑者」は生後9カ月 パキスタン****
パキスタン東部パンジャブ州の州都ラホールで生後9カ月の男児が殺人未遂容疑で逮捕されたとの報道を受け、当局への非難が集中している。

ラホールの警察幹部によると、男児の家族がガス料金を滞納していたことが事件の発端となった。警官らが支払いを促すため、2月1日にこの家を訪問したところ、男児の父親や十代の息子らが抵抗してれんがを投げ付け、一部の警官に重傷を負わせたという。

当時在宅していた家族が投石や殺人未遂の罪に問われた。幼い男児まで対象となってしまった経緯は明らかでない。

男児は今月2日、祖父に抱かれて出廷した。指紋を取られ、大きな声をあげて泣く姿が報じられた。
警察によると、州当局はメディアの報道を受け、担当警官を停職処分にするよう警察に指示したという。【4月6日 CNN】
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この事件が起きたラホールも、今回旅行のもうひとつの訪問地です。
テロも怖いけど、警察とかかわりあうのも怖そう。

普段の旅行では安宿しか使わないのですが、さすがに今回は“保険”だと思い、まともなホテルを予約しました。
遺跡観光でひとりになるのも不安なので、現地ガイドも頼みました。

それなりに気をつけるつもりです。
周囲からは「なんでそんな所へ行くの?」とも訊かれますが。

まあ、日本も外国から見れば、放射能汚染水がダダ漏れの危ない国とも見られるのかも。
そんなもので、現地では、外で騒ぐほどのこともないのかも・・・・、とは言うもののパキスタンのテロはやっぱり・・・・

戦争の現実感なき攻撃
パキスタン北西部は隣国アフガニスタンのタリバンなどイスラム過激派の“避難場所”“人員・物資補給基地”となっているため、アメリカによる無人機攻撃が頻繁に行われています。

ただ、民間人が巻き添えになったり、そもそも誤爆だったりすることもあって、パキスタン国内には無人機攻撃に対する強い批判があります。

また、アメリカ国内の操縦者がゲーム感覚でも実行できることもあって、法律的・道義的問題の有無も議論されています。

****無人機に告ぐ 少女の巨大ポスター出現 パキスタン*****
パキスタン北西部のカイバル・パクトゥンクワ州に少女の巨大なポスターが出現した。

少女の両親は無人機攻撃で死亡したとされ、同国のアーティスト集団が、米国内の基地にいる無人機操縦士に「共感」を抱かせようとする試みとして始めた。【4月9日 朝日】
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無人機攻撃の話はいろいろありますが、搭乗時刻が迫っていますので、今日はここまで。




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インド  「世界最大の選挙」実施中  新首相の可能性が高いモディ氏の危ない側面

2014-04-10 22:25:34 | 南アジア(インド)

(左から国民会議派ラフル・ガンジー副総裁 人民党モディ党首 一般人党ケジリワル党首 “flickr”より sahasipadyatri https://www.flickr.com/photos/34945175@N06/13733639974/in/photolist-mSGj3C-mWG5XL-mVyrxB-mVAuG7-mXdSjB-mRePgM-mRTcMr-mVrz1A-mWzrGr-mRURvu-mS1RDK-mTHVrp-mTNJgj-mRUaiK-mVQnrs-mXi1DM-mT1bnS-mTLS9g-mRHcjb-mTMezd-mTWbut)

ヒンズー至上主義者の剛腕モディ氏
有権者8億1459万人。「世界最大の民主主義国」と言われるインドで、「世界最大の選挙」の投票が7日から始まっています。
なにぶん大規模なため投票は10段階(9段階との報道もあります)に分けて行われ、10日にはデリー首都圏(州)などで投票が実施されました。
5月16日に一斉開票されます。

結果予測については、経済の減速や汚職の蔓延、そして治安や社会正義への不安という現与党、国民会議派連合の失点に乗じ“西部グジャラート州のナレンドラ・モディ州政府首相(63)が前面に立つ最大野党インド人民党が優位に立ち、10年ぶりの政権交代が濃厚となっている”【4月6日 毎日】と見られています。

****最大野党、過半数迫れるか****
定数545のうち、大統領任命の2議席を除く543議席が改選される。任期は5年。
現在の下院の構成は、与党・国民会議派が206議席、人民党は117議席。

だが、首都ニューデリーの政治アナリスト、K・G・スレーシュ氏は「人民党が200議席以上を取るのは確実で、会議派は2ケタに転落する」と予想。人民党がどれだけ過半数の272議席に近づき、安定した議会運営ができるかが焦点となっている。【同上】
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人民党勝利の暁には首相に就任することにもなるモディ氏は、“積極的な企業誘致でグジャラート州を国内で最も豊かな州に育てた「決断・実行の人」と言われ、ビジネス界や中産層を中心にカリスマ的な支持を集めている。”【同上】と、その経済手腕が期待されています。

地元グジャラート州において、工場に欠かせない電力や道路といったインフラ整備も推進し、インドで唯一「停電のない州」(インド産業連盟幹部)を実現したとされています。
汚職が蔓延するインドにあって、クリーンなイメージが定着していることも人気の理由だと言われています。

一方で、2002年にグジャラート州で起きたイスラム教徒虐殺暴動を敢えて止めず、政治的に利用したという疑惑があるように(本人は否定)、その宗教的立場が懸念される人物でもあります。

“今回下院選に初出馬するにあたり、選挙区に出身地グジャラート州ではなく北部のヒンズー教の聖地、バラナシを選択。「ヒンズー至上主義者」であることをアピールする。”

マニフェストにもそうした「ヒンズー至上主義」的な色彩があり(人民党はもともとそういう政党ですから、当然と言えば当然ですが)、更に核政策でも強硬姿勢を見せています。

規制緩和などが期待されている経済政策においては、“現政権が2012年9月に決定した総合小売業(スーパー、百貨店などいわゆるマルチブランド業態)への外資参入を、一転「禁止する」と明記。同党による経済改革の加速に期待を示していたインド経済界は、一斉に困惑の声を上げている。”【4月10日 緒方麻也氏 フォーサイト】と、国内の零細な小売業者や農産物仲買人などの利益を優先させた反改革的な内容となっています。

****インド総選挙:優勢の人民党、公約発表 外交面で強硬姿勢****
インド総選挙(下院選)の投票が始まった7日、勝利が予想されている最大野党のインド人民党は、選挙公約であるマニフェストを発表した。「一つのインド、偉大なインド」をスローガンに、税制改革による投資拡大や「核政策の再検討」を盛り込んだ。

外交面では、近隣国との「友好」を主張する一方、「必要とあれば強硬手段を取ることも辞さない」とした。
与党・国民会議派のシン政権が過去10年間維持した「核実験のモラトリアム(一時停止)」などの核政策については「詳細を検討し、現在の脅威に見合うよう改定する」とした。
党の次期首相候補で、「反中国」「反パキスタン」とされるナレンドラ・モディ氏の意向が反映された模様だ。

インドは人民党政権だった1998年に24年ぶりに地下核実験を実施し、日本を含む各国による制裁を受けた。

また、大型スーパーなど小売業への外国資本の投資規制を復活させるという。外資規制は、米国などの圧力を受けたシン政権が2012年に緩和していたが、当時から人民党は「全国の零細小売業への影響が甚大」と主張し、反対していた。

さらに、北部ウッタルプラデシュ州にあるヒンズー、イスラム両教徒の聖地アヨディヤにヒンズー教寺院を「再建する」と明記した。

アヨディヤには16世紀に建てられたモスク(イスラム教寺院)があったが、ヒンズー至上主義者らは「ラーマ神の誕生の地に古くからあった寺院を破壊して建てられた」と主張、92年に数千人のヒンズー教徒がモスクを襲撃・破壊し、両教徒の対立を激化させた経緯がある。

「ラーマ寺院再建」が盛り込まれたのも、ヒンズー至上主義者として知られるモディ氏やその支持者が主張したとみられる。【4月7日 毎日】
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選挙戦での公約と、政権獲得後の実際の政策は異なる・・・というのは往々にしてあることですし、核政策や外資政策においてはアメリカなどの意向も強く影響しますので、勝手にこれまでの政策を変えることもできない面もあります。

ただ、その「ヒンズー至上主義者」的な色彩を敢えて隠そうとしないところは、多宗教国家インドにあっては気になります。
インドはインドはヒンドゥー教徒が8割を占めますが、1割強はイスラム教徒で、キリスト教徒もいます。

****民主大国の実像:インド総選挙を前に/2 暴動、深まる宗教対立****
インドの野党、人民党の指導者で、次期首相の呼び声も高い西部グジャラート州のナレンドラ・モディ州政府首相(63)。だが、彼には消せない過去の「汚点」がある。州政府首相就任の翌年の2002年に起きた「グジャラート暴動」だ。

列車の焼き打ちテロをきっかけにヒンズー、イスラム両教徒が殺し合い、イスラム教徒を中心に1000人以上が死亡した。「ヒンズー至上主義者のため、わざと警察を出動させず、イスラム教徒の虐殺を許した」と今も批判される。

モディ氏は疑惑を否定するが、与党・国民会議派のシン首相は今年1月、「モディ氏が首相になれば、(異教徒間の対立激化で)国は壊滅的な打撃を受ける」と警告した。その前触れのような暴動事件が、昨年9月8日に北部ウッタルプラデシュ州ムザファルナガルで起きていた。

イスラム教徒を中心に53人が死亡、23人が行方不明。ヒンズー教徒の迫害を恐れ、約4万人のイスラム教徒が今も自宅に戻れない。

雨上がりの午後。地面はぬかるみ、むっとする異臭が鼻を突く。布で覆っただけのテントが並び、人々はだるそうな表情を見せた。郊外にはそんな避難民キャンプが点在する。

親族宅に避難する大工、シャヒドさん(46)によると、暴動の朝、自宅周辺でヤリや銃を持ったヒンズー教徒の若者がイスラムの住民を追いかけ、殺害。暴徒は自宅にも侵入し、シャヒドさんは逃げ延びたが、高齢の両親は遺体で見つかった。「もう平和は戻らない」と言う。

暴動は、2週間前の両教徒の若者同士によるオートバイ事故が発端。だが、住民から聞き取り調査をした人権活動家、ヒマンシュ・クマール氏(49)は「その前から危険な状況だった」と語る。

調査によると、総選挙に向け人民党支持者が昨年2月ごろから地域に入り「イスラム教徒がヒンズー女性をレイプする『愛のジハード(聖戦)』を計画している」などのデマを流していた。

ウッタルプラデシュ州には、インド政界の最高実力者で国民会議派のソニア・ガンジー総裁(67)と、その長男で会議派の事実上の次期首相候補、ラフル・ガンジー副総裁(43)の選挙区がある。

人民党は、イスラム教徒への憎悪をあおってヒンズー住民の結束を固め、与党の牙城を崩そうとしていた。そこにオートバイの衝突事故が起き、暴動に発展した−−。これがクマール氏の結論だ。だが人民党広報は「事実無根だ」と否定する。

確かなのは、事件を受け、国民の13%、約1億6000万人を占めるイスラム教徒のモディ氏への憎悪が高まったことだ。シャヒドさんが言う。「たくさんの遺体を踏み越えてきた人物だ。首相になるのは許されない」【3月29日 毎日】
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モディ氏は当時、暴動を食い止める手を打たなかった、と批判されている。

州警察幹部だったサンジブ・バット氏(50)は「宗派対立で不測の事態が起きるから対応策を取るべきだと進言したが、聞く耳を持たなかった。むしろ緊張を自身とBJPへの支持強化に利用しようとした」と語る。

本人は暴動への関与を否定しているが、欧米の人権団体やイスラム社会は激しく反発。米国は05年、「宗教対立をあおった」としてモディ氏へのビザ発給を拒否した。【4月7日 朝日】
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首相になった場合、その姿勢が心配される人物でもあります。

【「ネール・ガンジー王朝」の威光にも陰り
半減することも予想されている国民会議派は、ネール・ガンジー王朝の御曹司ラフル・ガンジー副総裁を中心とした戦いですが、母親ソニア・ガンジー総裁の庇護下にあるようなひ弱なイメージが消えません。

****名家の威光」に陰り=ラフル氏、経験不足否めず****
1947年のインド独立以降、ネール初代首相らを出した名門一族の威光に、陰りが見え始めた。

シン首相が後継者に指名した「御曹司」ラフル・ガンジー副総裁(43)は、与党国民会議派の顔として政権維持を図る。しかし、野党インド人民党(BJP)の首相候補ナレンドラ・モディ氏(63)の勢いは食い止め難く、じりじりと追い詰められている。

「偽物のガンジーだ」。モディ氏は選挙演説で、ラフル氏らのガンジー家が、国父マハトマ・ガンジーとは血縁がないと指摘。「民主主義の代弁者を装いながら一族で党を牛耳り、権力を保つことしか念頭にない」と切り捨てた。

この家系からはこれまでネール、インディラ・ガンジー、ラジブ・ガンジーの3人の首相が輩出した。
3人がインドを統治した期間は計37年に及び、「ネール・ガンジー王朝」と呼ばれた。しかし、91年に暗殺されたラジブ氏を最後に、同家から首相は出ていない。

ラジブ氏の息子に当たるラフル氏だが、党務は母ソニア・ガンジー総裁が取り仕切り、「温室栽培」の感は否めない。政治評論家サルジート・ナラン氏は「(ラフル氏は)演説の歯切れが悪く、特筆すべき政治的発想もない」と酷評。「グジャラート州首相として実績を重ねたモディ氏との力の差は歴然だ」と語る。

一方のラフル氏は、モディ氏をナチス・ドイツ総統ヒトラーに例え、「自分だけが正しいと信じる独裁者だ」と国民の危機感をあおる。

しかし、BJP支持に傾いた世論の流れを変えられず、モディ氏が演台に立つ政党集会には常に多くの聴衆が詰めかける。ナラン氏は「かつては一時代を築いたガンジー家だが、その名は輝きを失いつつある」と話す。【4月6日 時事】 
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もっとも、ラフル・ガンジーの妹であるプリヤンカ・ヴァドラ氏が政治的資質の評価が高く、祖母譲りのカリスマ性もあって「インディラ・ガンディーの再来」とも言われていますので、ラフル氏の次の弾もあるような・・・・。

ブームは去った? 一般人党のケジリワル党首
最近あまり話題を聞かないのが、新党・一般人党のケジリワル党首。

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デリー首都圏では昨年12月、腐敗一掃を掲げる新党・一般人党がデリー首都圏議会選でいきなり第2党となり、今回の総選挙でも「台風の目」になるといわれていた。

しかし、州政府首相に就任した同党のケジリワル党首(45)は今年2月、腐敗防止法の提出を最大野党・インド人民党に阻止されたとして辞任。

今回の選挙運動中にはオート三輪の運転手に殴られたり、市民にインクを投げつけられるなど、人気に陰りが見えている。

ニューデリー南部の投票所を訪れた公務員、アビシェーク・クマール・シンさん(38)は、首都圏議会選では一般人党を支持したが、今回は人民党に1票を投じたといい、「ケジリワル氏は結局何もせずに逃げた。必要なのは安定した政権だ」と批判した。【4月10日 毎日】
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いずれにしても、結果がわかるまでもうしばらくかかります。
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カンボジア  高成長の制約要因となっている労働問題 ストライキ 工場労働者の集団失神

2014-04-09 22:23:31 | 東南アジア

(工場での作業を終えてトラックの荷台で帰宅する労働者 家まで2~3時間かかるとか “flickr”より By Anne Sophie S*l*mon https://www.flickr.com/photos/just1nickname/12500813164/in/photolist-jRDsVK-kkbZ8z-kkbY64-kkbkhr-kkc1gX-jYsPgK-jYrW2c-jYrRug-jYut2d-jYs4gT-jYrYaF-k3DWes-khf19B-jRDzaD-mzphDc-mbqas2-khf3KD)

労働争議や政治の混乱で成長見通し下方修正
カンボジアはここ数年7%を超える高い経済成長が続いています。
一人当たりGDPも2013年には1080ドル(推計)と、06年の534ドルから7年間で倍増しています。

ただ、こうした成長の一方で労働者の賃金水準は依然低く、昨年末には死傷者を出す激しい労働争議が頻発しました。この労働問題は、今後のカンボジアが成長軌道を維持できるかのカギとなっています。

また、強権的手法や腐敗・汚職への批判もあるフン・セン政権と野党カンボジア救国党の対立に見られる政治の混乱も、今後の不確定要素となっています。

****カンボジア14年成長率7% ADB、社会不安で予測下方修正****
カンボジアの経済成長が今年は減速する懸念が生じている。

アジア開発銀行(ADB)は、同国の今年の国内総生産(GDP)成長率見通しを昨年10月時点の7.5%から7%に下方修正。昨年実績の7.2%を下回るとの見通しを示した。
賃上げをめぐる労働争議や政治の混乱など、社会不安の高まりが要因だ。現地紙プノンペン・ポストなどが報じた。

同国は繊維縫製業で賃上げをめぐる労働争議が激化している。昨年のストライキ件数は147件にのぼり、前年から21.5%増加した。

繊維縫製品は、国の輸出総額の8割以上を占める主力品目で、13年の輸出額は前年比20%増の55億3000万ドル(約5687億円)だった。

昨年12月末には全国規模のストライキが1週間以上続き、数百の工場が操業停止に追い込まれた。同国政府によると、このストライキは死傷者も出るほど激しかったため、同産業は7200万ドルの経済損失を被った。

また、昨年7月に実施した総選挙後の政治的対立も収束の気配がない。
総選挙では野党カンボジア救国党が改選前の29議席を55議席に増やして躍進したが、同党は投開票に不正があったとして議会のボイコットを続けており、4月に始まった国会も欠席している。

ADBはこうした事情により社会不安が増大しつつあると分析。
国外投資家などの投資意欲が低下して様子見気分が広がり、繊維縫製業の生産も減少していることから、カンボジアの成長率予測を下方修正した。
今後、社会不安が解消に向かわない場合は観光や不動産など他の産業にも悪影響が及ぶ可能性があると指摘している。

その一方でADBの地域担当者は、今年のカンボジアのインフレ率予測が3.5%とベトナム(6.2%)やミャンマー(6.6%)などの近隣諸国と比較して低いと指摘し、「7%の成長は同国にとって十分に高い水準」との見解を示した。

ADBはこのほか、同国経済の課題として熟練工の育成や高付加価値分野の成長を挙げた。
今後、各国間の市場競争激化が予想される東南アジア地域でカンボジアが高成長を続けていくには、社会の安定を実現し、腰を据えて課題に取り組んでいけるかどうかが鍵となっていきそうだ。【4月9日 SankeiBiz】
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低賃金の労働力を求めて進出したものの、思わぬ落とし穴
労働争議による社会混乱については、1月9日ブログ「カンボジア 賃上げ要求デモへ治安部隊発砲 グローバル化の途上国・先進国への影響」(http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20140109)でも取り上げました。

労働争議の問題と政治混乱は密接に関連しています。

****続く与野党対立、賃金デモで死者 カンボジア****
カンボジアで与野党の対立が続き、一部で武力衝突に発展している。
首都プノンペンでは3日、野党支持者が加わった工場労働者の賃上げ要求デモがあり、治安部隊が発砲して4人が死亡した。現地の日本企業にも不安が広がっている。

地元警察によると、野党支持者と縫製工場労働者ら数千人が3日、最低賃金の引き上げを求めて抗議集会を行った。一部の参加者が規制に入った治安部隊に石や火炎瓶を投げて衝突。治安部隊が発砲して制圧にかかり、デモ参加者4人が死亡、計約40人が負傷する事態となった。

プノンペンの裁判所は5日までに、騒ぎに関わった疑いで野党救国党のサム・レンシー党首らに召喚状を送った。レンシー党首は地元メディアの取材に「私は何も間違っていない」と語り、14日に行われる裁判所での尋問に応じる構えだ。

カンボジアの縫製工場の最低賃金は現行月80ドルで、100ドル前後のベトナムなど周辺国と比べて低い。政府は2018年までに段階的に160ドルに上げる案を示しているが、労働者側は即時の引き上げを主張し、昨年末から大規模なストに入っていた。

労働者と政府が歩み寄れない背景には、昨年7月の下院選挙を巡る対立がある。公式には議席数68対55で与党人民党が勝利したが、野党救国党は「不正がなければ我々が勝っていた」と主張。国会への出席を拒否するなど対立が続いている。

救国党は最低賃金の倍増を選挙公約に掲げ、労働者団体と一体となって闘ってきた経緯があり、安易に妥協できない状況だ。

賃金問題は、安い労働力を求めて進出した外国企業にとっても深刻だ。日系の工場関係者は「最低賃金の倍増は当然経営に響く。移転を検討する会社も出てくるだろう」と話している。【1月6日 朝日】
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政治対立は依然として続いており、野党救国党のサム・ランシー党首が4月2日、シハモニ国王に書簡を送って、その中で「カンボジア第5期国会が不法であり、国民を代表するものではない」と指摘したのに対し、カンボジア国会は「救国党は自らの利益のために、国内で混乱を引き起こしている」と批判しています。【4月5日 VOV5より】

低い労働コストを求めて日本企業も多数カンボジアに進出していますが、日系企業の一部には従業員に読み書きや算数を始業前に教えているところもあり、「日本企業は、従業員に対するモラル教育も優れており、注目している」(カンボジア政府高官)との高い評価もあるようです。【JBS http://www.shinnihon.or.jp/shinnihon-library/publications/issue/info-sensor/pdf/info-sensor-2014-04-07.pdf

ただ、日系企業も社会混乱の影響は避けられません。

****カンボジア、ストに悲鳴 日系企業、巻き添えで損失****
カンボジアに進出した日系の中小企業が、現地で相次ぐストライキの余波に見舞われている。
工場をまともに操業できず、業績も落ち込む。低賃金の労働力を求めて進出したものの、思わぬ落とし穴の登場に、頭を悩ます毎日だ。

工場から出て来て、道にあふれる労働者。工場には石が次々と投げ込まれ、窓が壊れ、柵は力ずくで倒された――。昨年12月中旬、ベトナムとの国境に近いカンボジア・バベットにある二つの工業団地で、こんな大規模ストが発生。日系企業にも影響が及んだ。

紳士服をつくるトーワ(名古屋市)の工場には、別の企業に雇われている労働者らから、石が次々と投げ入れられた。現地法人の河村博行社長は「警察はお金を払わないと動かないし、だれも操業停止による損失を補償してくれない」とこぼす。

手袋メーカーのヨークス(香川県東かがわ市)の工場では、約500人の従業員によるミシンの音が響く日常が一変。従業員が不安で仕事に集中できなくなり、全員を帰宅させた。現地法人の八代浩二社長は「12月後半でまともに操業できたのは、2日ぐらいだ」と打ち明ける。

数年前から、こんな過激なストが年に数回は起きている。フン・セン政権に不満を持つカンボジアの野党や、最低賃金の倍増などを求める一部の労働組合が背後にあるという。日系企業は、周辺のほかの工場で起きたストによる「とばっちり」を受ける形だ。

 ■進出計画の延期も
日系企業は自社が「火だね」にならないよう対策を進める。首都プノンペンの郊外で女性用下着をつくるエフティアパレル(福井市)は、リーダー格の社員らへの「研修」を始めた。あいさつや整理整頓といった仕事のイロハだが、社員の一人は「人間として見てくれていると感じてうれしかった」と話す。ただ、担当者は「とばっちりを防ぐ妙案はない」と認める。

日本からカンボジアに進出する企業は、2010年の19社から13年には195社まで増えた。多いのは縫製業で、労働者の賃金が上がった中国に代わる進出先として注目を集めたからだが、最近では進出計画を延期した企業もあるという。

過激派の労組は3月にもストを計画しているとされる。現地に工場を構える日系企業の社長は「現地の日本大使館は逃げろと言うだけ。地元政府に掛け合うなど何とか対応してもらいたい」と、日本政府の無策ぶりにも不満を募らせる。【2月27日 朝日】
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頻発する「集団失神」】
先述のように、労働争議は政治対立と絡んでいますが、根底にはやはり低い生活水準、劣悪な労働環境の問題があります。

カンボジアの衣料品工場で、100人以上が倒れる集団ヒステリーが頻発しているそうです。

****カンボジア労働者「集団失神」の謎****
衣料品工場で100人以上が倒れる集団ヒステリーが頻発。その引き金は何なのか。

それは、さぞ異様な光景だろう。100人を超える人々が、悪霊にでもとりつかれたかのように次々と気を失うのだから。

だがカンボジアの衣料品工場では近頃、こうした出来事が不気味なほど頻発している。
こうした工場では、おもにアメリカなどの先進国の衣料品店に並ぶ商品を製造している。

カンボジア政府が度重なる調査を行い、H&Mなどの大手アパレル企業も労働環境の問題点を探ると約束してきたが、この不思議な現象はなくならない。

今月は、スポーツ用品大手のプーマやアディダスの製品を作る工場で労働者の「集団失神」が起きた。他の多く例と同じく今回も、まず1人の労働者の具合が悪くなったのをきっかけに、最終的には100人以上が次々と床に倒れていった。
プーマとアディダスは当局と協力し、事態の解明に努めると発表。倒れた労働者たちは手当てを受けたという。

集団失神は今年はこれが初めてだが、これで最後とはならないだろう。
政府統計によれば、2011年以降、カンボジアの工場では毎年1500人から2000人が仕事中に倒れており、多く場合は100人以上が同時に昏倒している。また彼らの多くは、病院に連れて行かれた後、短期間で回復している。

カンボジアでの集団失神は以前から問題視されてきた。国連機関の国際労働機関は、すでに問題の原因について調査を開始。カンボジア政府も工場に職員を派遣し、労働者たちに失神を防ぐにはどうすればよいかをレクチャーしている。簡単に言えば、よく食べよく寝るということだ。

だが、具体的に何が集団失神の引き金を引くかはまだ分かっていない。
これまで候補に挙げられたのは栄養不足、高い気温、長時間労働、通気性の悪さ、有毒ガスなどなど......。一方で工場の経営者側は、前の晩に労働者たちが飲み過ぎるせいということで済ませたがる。

カンボジアの市民団体「カンボジア法律教育センター」は、労働者の栄養不良が最大の原因だとする研究結果を公表した。
研究によれば、カンボジアの衣料品工場で働く労働者の約3分の1(その多くが女性)は医学的にみて栄養不良の状態にあり、1日の摂取カロリーは1600カロリーしかないという。

この問題について詳細な調査報道を行ったカンボジアデイリー紙も、似たような見解を示した。
同紙によれば、「集団ヒステリー」という現象は労働者の栄養状況が悪く過重労働状態にあった18世紀のイギリスから1970年代のマレーシアまで、幅広い地域で見らるという。

ある心理学者は同紙に、カンボジアの集団失神は、労働環境の改善を求める「無意識の抗議」かもしれないと語った。【4月8日 Newsweek】
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集団で体調不良を訴えるというのは、日本の学校においてもしばしば見られるように心理的な要素があるとは思われますが、そういう現象を引き起こしやすい環境を構成している諸問題にも目を向ける必要があります。
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台湾  学生による立法院占拠、政権側が譲歩する方向で収束の見通し

2014-04-08 23:08:43 | 東アジア

(立法院を占拠する学生たち 【4月8日 TBS Newsi】)

【「いちご白書」】
昔、「いちご白書」という映画(1970年公開)がありました。
アメリカ・コロンビア大学で1968年におきた学部長事務所の占拠に参加した学生たちを描いた映画です。政治的というより青春映画という趣きでした。

私がこの映画を観たのは、「『いちご白書』をもう一度」というフォークソングが1975年に流行り、「いちご白書」なるものが有名になった後だったと思います。

正直なところ、有名なわりにはあまり印象は強くない映画でした。
ただ、講堂内でサークル状に座り込んだ学生たちが、武装警官によって殴られ、血を流し、力づくで連れ出されていくシーンだけは記憶に残っています。

長年、“いちご白書”というタイトルの意味が分からずにいたのですが、ウィキペディアで確認すると、“『いちご白書』という題名はコロンビア大学の学部長ハーバート・ディーンの発言に由来する。ディーンは大学の運営についての学生の意見を、学生たちが苺の味が好きだと言うのと同じくらい重要さを持たないものとして見下した。”ということのようです。(ディーン氏は、自分の発言が間違った形で引用されているとしています。)

民主主義の否定か、救済か
台湾で3月18日から続く、馬英九政権が推し進める中台間の「サービス貿易協定」に抗議した立法院占拠のニュースを見聞きすると、大昔の「いちご白書」が思い出されました。

****中台統一」懸念で政治問題化 「サービス貿易協定」が発端****
台湾の学生らが立法院を占拠したのは、昨年6月に中台双方が一層の市場開放を目指して調印した「サービス貿易協定」の承認をめぐり与党、中国国民党が審議を打ち切ったことが原因だ。

同協定は、2010年9月に発効した中台間の事実上の自由貿易協定(FTA)にあたる「経済協力枠組み協定(ECFA)」の柱の一つ。

サービス貿易協定では、新たに中国側が80項目、台湾側が64項目を開放。中国側は他国・地域には未開放の電子商取引、娯楽、医療サービスの3分野を認めるなど、台湾側に大幅に譲歩したとされる。

だが、台湾では、中小企業が多い業界を中心に、巨大な資本を持つ中国企業の参入で淘汰(とうた)されかねないと懸念が高まり、学生の間でも、就職先が失われるとの認識が広まった。

加えて、中国企業による印刷業の寡占が進んだ場合、間接的に出版や言論の自由が侵されるのではないかという懸念など、中国側が目指す「中台統一」に利用されかねないとの不信感を生んだ。

2月中旬に中国・南京などで行われた、分断後初の主管官庁トップ(閣僚級)協議で、中国側から早期承認を求められたことも、問題の「政治化」を促したとみられる。

民進党は、協定の条項ごとの審議を求めて抵抗。立法院で過半数を占める国民党が今月17日、「審議が3カ月を超えた」として委員会審議を打ち切ったことで、学生らの乱入を招いた。

馬英九総統が23日の記者会見で「発展のために選択肢はなく、(承認は)これ以上待てない」と述べたことも、学生の反発を強めている。【3月27日 産経】
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“もう十分に審議した”とのことで審議を打ち切り、野党が反発するなかで強行採決へ・・・という話は、日本でも日常的に目にする政治風景です。

ただ、今の日本では、学生や一般市民が実力行使で政府の進める施策の中断・変更を迫るという状況はありません。
大規模な抗議行動としては、60年安保ぐらいでしょうか?もう半世紀前の話です。

世界的には、タイでも、ウクライナでも“実力行使”の花盛りです。

学生の立法院占拠については、当然に、民主的な選挙で選ばれた立法府の行為を実力行使で阻止するということが民主主義においてどうなのか?・・・という問題があります。

日本でそうした抗議行動な見られないのは、日本の民主主義が成熟しているからでしょうが、日本人の国民性、政治への無関心、社会全体のエネルギーの枯渇・・・も関係しているのかも。

****学生の立法院占拠 民主主義って何なんだろう**** 
赤いカーテンをふわりとまくり上げ、窓から入ってくる風が心地よい。

学生による占拠が3月18日から続く台湾の立法院。ヤシの木に囲まれた白い建物は、蒋介石時代の1960年代に建てられたものだそうだ。その壁には今、当局批判の垂れ幕が下げられ、イスでバリケードが築かれている。

学生たちが抗議しているのは、与党国民党が、中国との経済協定の承認を強引に進めようとしたことだ。
「選挙で選ばれたら、任期中、何をやってもいいというわけじゃないと思う。こんな大事なことを審議もせずに、30秒で決めるなんて、台湾の民主主義の否定です」

学生代表の一人、曽栢瑜(ツォンパイユイ)さん(22)は、立法院のなかに入ってきた私に対し、勢いよく訴えた。政治大学3年の女子学生。Tシャツの袖まで伸びた長い髪の毛が、カサカサと日差しに揺れながら、跳びはねている。

経済協定を締結し、対外開放を進めなければ、台湾経済に未来はないと曽さんは思う。でも、「香港は中国に返還されて、『言論の自由』が狭まった。中国の接近に、台湾人は不安を感じている。もっと情報を公開し、時間をかけて議論しなきゃ」

学生たちの表情に、議場占拠の緊迫感は感じられない。しきりに笑い声が上がり、歌も聞こえる。何か楽しそうだ。「太陽花(ヒマワリ)」運動とも呼ばれている。

――議会占拠も、民主主義の否定ではないですか。
「通常ならば、そうですよね。でも、代議員制度は完璧じゃない。今回の彼ら(与党)の行為には人々の声が反映されてない」

世論調査で、学生たちへの支持は約4割。一方で、馬英九総統が学生と対話することを望む人は8割に上る。台湾の世論は複雑だ。
「50万人」が集まった30日の集会で、学生は叫んだ。「私たちが提起したのは、今の民主制度への反省です」

一方、共産党一党支配の中国で、こうした議論は理解されない。
協定は「台湾同胞に利益を与えるもの」(中国政府)とされ、元軍人の友人は「台湾人は愚かだ。得するのは自分たちなのに、なぜ邪魔するんだ」と冷ややかに話す。

確かに民主主義はムダの多いシステムだ。多数決で物事を決める際も、少数意見に耳を傾け、議論を繰り返す。時間がかかるから、時に国家の利益を失うこともある。

そんな「決められない政治」に私たち日本人もイライラしていたのかもしれない。反動のように、安倍政権は今、特定秘密保護法や武器輸出三原則見直しといった重大案件を、数を頼りに推し進める。その性急さに疑問を感じる人は少なくない。

正直言って、分からなくなってしまう。民主主義って、いったい何なのか、と。

台北大学3年の許思思さん(21)は議場で私に言った。
「政治というものは、私たち一人ひとり、みんなのものだと思う。過去に多くの人が、この権利を得るために牢獄に送られた。彼らのおかげで、私は今、ここにいる。そのことに感謝したい」

選挙で選ばれた政権は何でもできるのか――。台湾の学生たちが投げかける問いは、民主主義を信じる私たちすべてに向けられている。【4月7日 古谷浩一 朝日】
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学生たちは、民主主義を失ったのは政権側であり、自分たちの行動は「民主主義救う行動だ」と主張しています。

****台湾:「民主主義救う行動だ」立法院占拠の学生指導者****
・・・・(学生指導者の)林さんは「(審議打ち切りにより)代議政治制度はもはや正常機能を失ったので議場を奪還した。民主主義を破壊するのではなく、救うためだ」と述べ、国会にあたる立法院を占拠するのは民主主義の原則に反するとの批判に反論。30日には総統府前でも抗議集会を実行すると宣言した。

就職難や住宅価格高騰が原因で、台湾の若者の生活は苦しい。
馬政権下で中台経済交流が活発化する中、学生らには、中国資本の進出により台湾の弱小企業が打撃を受け就職機会が奪われ、将来的に中国にのみ込まれる、との懸念もある。
一部メディアは、政権が協定発効を急ぐのは馬総統が中国の習近平国家主席との会談を実現したいため、と報じる。

林さんは「中台の経済交流自体には反対していない」とした上で「協定調印前に内容を確認する機能がない。ブラックボックスの中で調印されたのが問題」と主張。
内容を確認する機能を法制化し、その後で協定を再審議すべきだと訴える。

一方、政権は「就業機会も増え、台湾への経済効果は大きい」と説明。調印前も立法院や各種業界に対し説明会を開いており「ブラックボックスではない」と強調する。【3月29日 毎日】
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学生「この段階での任務を達成した」】
中台間の経済関係強化が台湾経済の生命線であると台湾の人々は認識はしていますが、接近しすぎて“大国”中国に呑み込まれてしまいかねない不安も多くの人々が抱いています。

そうした人々の不安が根強く存在するだけに、不人気の馬英九政権としては占拠を続ける学生たちへの強硬手段もとりづらく、次第に歩み寄る形でことを収めようという流れになりました。

****台湾総統、立法院占拠の学生らに歩み寄り示す****
台湾の 馬英九 ( マーインジウ )総統は29日、記者会見し、中台間で結ぶ協定に対し立法院(国会に相当)などによる監督権限を定めた法令を制定する考えを表明した。

昨年締結した中台の「サービス貿易協定」の撤回を求めて立法院を占拠している学生らの要求に応じ、歩み寄りを示したものだ。

馬氏は、「できるだけ(立法院の)今会期終了前に、(中台)協定に対する監督メカニズムの法制化を完成させたい」と述べた。サービス貿易協定の締結前に、台湾の関連業界などへの事前説明が不十分だったとの非難が根強いことを意識したためとみられる。その一方で、同協定の撤回そのものには応じない姿勢を改めて強調した。

30日には総統府前で学生らによる大規模な抗議集会が予定されている。馬氏は「平和的で理性的に意見を表明するように望む」と、学生らの行動が過激化しないように呼びかけた。【3月29日 読売】
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しかし、占拠を続ける学生らは政権側の譲歩では不十分だと主張、3月30日には台北の総統府前で、学生らが全土に呼びかけた大規模抗議デモが警察当局によると11万人超が参加する形で行われました。

4月6日、学生たちが占拠を続ける議場に王金平立法院長(国会議長)が足を運び、中国との協定を監視する新法の制定まで協定の審議を再開しないと明言したことで、ようやく事態が動きました。

学生側はこの発言を評価して、退去の検討に入りました。

ただ、王氏は馬英九総統とは政敵の関係で、馬総統はサービス貿易協と監視法の同時審議を主張していましたので、王氏の独断専行を馬総統が受け入れるのか・・・との危惧がありました。

結局、馬総統も“やむなし”ということに至ったようです。

****学生側「10日退去」発表 台湾議場占拠 馬総統、決定評価****
中国と昨年調印した「サービス貿易協定」の議会承認に反対し、台湾の立法院(国会に相当)議場を占拠している学生らは7日夜、本会議の定例日前日の10日に議場から退去する方針を発表した。一連の騒動は議場占拠から3週間で収束に向かう見通しとなった。

王金平立法院長(国会議長)は6日、占拠後の議場を初めて訪れ、対中協議を監視する新法の制定まで、サービス貿易協定の政党間協議は行わない意向を表明。学生側に歩み寄る姿勢を示した。

学生らの代表の一人は「この段階での任務を達成した」と評価し、退去を決めたと述べた。
また、「一つの中国」を建前とする行政院(内閣)の法案に対し、中台関係を「国と国」の関係とする学生側の新法案が「立法院に提出された」ことも理由として挙げた。

一方、与党の中国国民党の立法委員(国会議員)団は7日夜、同党主席の馬英九総統らも出席し、意見集約のための会議を開いた。

馬総統は王氏の発言について、政権の主張と矛盾しないとの見解を示し、新法の会期内の制定と速やかな協定審議を呼びかけた。さらに、学生らの退去決定を評価する声明を発表した。

国民党内では王氏の意見表明には事前の調整がなかったとして反発も出ていた。半面、国民党の●龍斌台北市長や胡志強台中市長が王氏に同調姿勢を示すなど、党論が二分される危機が浮上。

このため、馬総統としては、いわば善意に解釈する形で王氏に譲った格好となった。

ただ、馬総統は3月29日の記者会見では、新法制定と協定審議は「同時進行」との方針を打ち出していた。王氏とは反目する間柄とされ、11月には統一地方選も控えていることから、今後も両氏の確執が再燃する可能性も指摘されている。

民放世論調査で支持率が10%前後と低迷する馬総統は、対中対話の進展や貿易自由化促進という課題を抱えつつ、今後も厳しい政権運営を迫られそうだ。●=赤におおざと  【4月8日 産経】
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台湾版「いちご白書」は、どうやら学生側の抗議が成功する形で終わりそうです。

今回の政治的危機は中台間の緊張緩和がまもなく終焉するシグナル?】
国民党内部の馬総統と王氏の確執はともかく、台湾のこうした状況に強い苛立ちを感じている中国が、今後どのような対応に出るのかも注目されます。

****中台のデタントは終焉か/ウォールストリート・ジャーナル・アジア版(米国****
米紙ウォールストリート・ジャーナル(アジア版)は3月28日付の論評記事で、台湾の学生らによる立法院の占拠は「中台間のサービス貿易協定の問題にとどまらない」とし、今回の政治的危機は中台間の緊張緩和(デタント)がまもなく終焉(しゅうえん)するシグナルかもしれないと指摘した。

デモの背景にある、中国への経済的依存が進むことへの懸念について、記事は「学生らと対立する馬英九総統ですら共有している」と分析。

例証として、馬総統がここ数カ月にわたって米国主導の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加など中国以外の国との貿易関係を拡大する必要性を強調していることを挙げる。

では、デモ勢力と馬総統の相違点は何か。記事はこう解説する。
「馬総統は、中国側の黙認があって初めて、台湾が新たな国際貿易関係を構築できると考えている。そのためには両岸(中台)のデタントが、サービス貿易協定などを通じて継続されなければならない」

現在の政治的混乱については、台湾の各勢力に厳しい見方を示した。
馬総統と与党の中国国民党は「民衆に十分な説明をしなかった」と指摘し、学生らの行為についても「不法な占拠」と批判。最大野党の民主進歩党についても「機に乗じた」とし、「すべての勢力がまずい対応をした」と断じた。

ただ、現在の混乱は中国への警戒感や恐れという「台湾の政治的潮流」を象徴しているとも分析する。
「台湾人は、中国の自国民に対する抑圧や、香港の自治権を認める約束を反故(ほご)にしたことなどを見てきた」と指摘する。

こうした潮流は、馬総統の任期満了より早く台湾の対中政策に影響する可能性があるとし、こう警鐘を鳴らす。
「その際、中国の指導者たちは両岸関係を以前のあしき日々に逆戻りさせる決断をして、いっそう危険な状態にするかもしれない」【4月8日 産経】
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香港では、1997年の中国返還後も保障されていた「言論の自由」をめぐる危機感が強まっており、本土との摩擦・軋轢も強まっています。

一党支配体制の中国が、民主的な香港・台湾を呑み込み、平和的に“消化”するのは、“大国”の圧倒的パワーをもってしても、そうそう容易なことではなさそうです。
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