テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 父祖の地を夢見て ~

2019-06-03 23:36:34 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでッス!
 はつゥゆうしょうゥ~なのでス!」
「がるる!ぐるるるるがるるるる!」(←訳:虎です!おめでとうエクアドル!)

 こんにちは、ネーさです。
 《2019ジロ・ディ・イタリア》総合優勝を遂げたのは
 リチャル・カラパスさん(所属チームはモビスター)!
 カラパスさんの母国エクアドルはもう大騒ぎ~!
 私ネーさは、ゴール地の闘技場で湧き起こった
 日本人選手・初山翔さんを湛えるハツヤマコールに
 目頭が熱くなりました……
 選手さん&スタッフさんたちに心よりの拍手を!
 そして、本日の読書タイムは
 イタリアとちょっと縁がある?こちらの御本を、
 さあ、どうぞ~♪
 
  


 
      ―― もっと知りたいラファエル前派 ――



 著者は荒川裕子(あらかわ・ゆうこ)さん、2019年3月に発行されました。
 『Pre-Raphaelite Brotherhood』と英語題名が付されています。

 現在、東京の三菱一号館美術館にて開催中(~6月9日)の
 『ラファエル前派の軌跡展』、
 その関連本と言っていいのでしょうが、
 図版・解説ともに充実のアート本ですよ♪

「えいきょうゥりょくゥ、あるゥのでス~!」
「ぐるるがるる~!」(←訳:人気もあるし~!)

 ラファエル前派兄弟団
 (プレ・ラファエライト・ブラザーフッド)は
 1848年、ロンドンで結成されました。

 “ラファエッロ以前に戻ろう!”

 の意を込めたこの名は、
 因習的なアカデミー臭ぷんぷんの絵画はもうイヤだ!
 という拒否宣言でもあった訳ですが……

「おこられェ~ちゃッたでス!」
「がるるるる!っるる!」(←訳:若造どもが!ってね!)

 いつの時代も、
 新しいことをしようとする若者への風当たりは
 優しくないのが常です。

 ラファエル前派兄弟団を結成したのは、

 ウィリアム・ホルマン・ハントさん、
 ジョン・エヴァレット・ミレイさん、
 ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティさん、
 ジェイムス・コリンスンさん、
 フレデリック・ジョージ・スティーヴンスさん、
 ウィリアム・マイケル・ロセッティさん、
 トマス・ウールナーさん

 の7人。

「すぐにィ、ちゅうもくゥあびましたでスよッ!」
「ぐるるるがるるる!」(←訳:欧州でも日本でも!)

 7人の中の“太陽”、
 運動を推進していた中心人物は、
 ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティさんであった、
 と言っても間違いではないでしょう。

 詩人ダンテさんと
 天使ガブリエルの名を持つロセッティさん。
 
 ロセッティさんの描く作品からはどれも、
 “イタリアらしさ”
 が香り立っているのが
 一目瞭然なのですけれど、
 しかし……

 彼自身は、生涯、イタリアの地を踏んだことがなかった、
 と伝えられています。

「ええッ?」
「がるる~?」(←訳:なんで~?)

 人権運動や婦人参政権などの政治活動を行った
 ロセッティさんのご両親は
 英国への亡命者だったのです。

 そのため、ロセッティさん一家には
 父祖の地=イタリアへの入国が許されませんでした。

「それはァ~…」
「ぐるるる~…」(←訳:さみしい~…)

 ついに見ることが叶わなかったイタリアの空、
 古い古い石畳の道と橋、城壁。
 山野と森。

 ロセッティさんにとって
 《うたかたの夢》であったかもしれない
 ラファエル前派の運動の波は、
 結成メンバーの兄弟団が崩壊してしまった後も、
 着実に広まってゆきました。
 
 ヨーロッパへ、米国へ、
 そして明治の日本へも。

「いまもォ、なのでス!」
「がるぐるる?」(←訳:現在進行中?)

 アート好きさんに、
 少女マンガ好きな方々に、
 近代英国史好きな活字マニアさんにも
 おすすめの一冊です。
 ぜひ、本屋さんのアート本コーナーで
 探してみてくださいね~♫
 


 
コメント
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