テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ ひらけ、新たなものがたり ~

2019-06-23 23:26:44 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 むむッ! これはァ、いわゆるゥ~…?」
「がるる!ぐるるるがる?」(←訳:虎です!季節モノかな?)

 こんにちは、ネーさです。
 “ものがたり”の世界で夏季に恒例のモノといえば、
 怖~い話……ではありますが、
 本日の読書タイムは、
 怖いだけでは済まされないこちらの御本を、
 さあ、どうぞ~♪

  


 
        ―― 今昔百鬼拾遺 鬼 ――



 著者は京極夏彦(きょうごく・なつひこ)さん、2019年4月に発行されました。
 おそらく、著者・京極さんのデビュー時からのファンの方々は、
 懐かしくも嬉しい思いで胸がいっぱいになるんじゃないかしら♫

「もしやッ、あのォふるほんやさんがァ~…!」
「ぐっるるるるっ??」(←訳:帰ってくるのっ??)

 えーと、あのぅ、そうねえ、
 その答えを言っちゃうと……NOです。

「えええッ?」
「がるる!」(←訳:そんな!)

 『姑獲鳥の夏』『魍魎の匣』『鉄鼠の檻』などなど
 ミステリファンを魅了する《京極堂》シリーズは、
 ここのところ休演中のようで、
 寂しい思いをしておりましたが、
 その寂しさを埋めるかのように
 スピンオフ的な新シリーズが開幕しました。

 古書店主にして神職でもある《京極堂》こと
 中禅寺秋彦(ちゅうぜんじ・あきひこ)さんの妹、
 敦子(あつこ)さん。

 そして、或る事件で中禅寺さんと知り合いになった女学生、
 呉美由紀(くれ・みゆき)さん。

 新シリースを引っ張るのは、
 このおふたり――
 敦子さんと美由紀さんです。

「あれッ? ふるほんやさんはッ??」
「ぐるがるるる??」(←訳:出て来ないの??)

 それがね、
 美由紀さんもね、
 始めは《京極堂》さんに相談したい、と考えたんですけど。

 別の事件が進行中なもので、
 《京極堂》さんも、
 お仲間の文士先生・関口さん、
 薔薇十字探偵・榎木津礼二郎さんも、
 忙しくて手が離せず、
 妹の敦子さんが兄の代理として
 美由紀さんと会うことになったのでした。

「くんくんッ! においまスゥ!」
「がるるぐるる!」(←訳:事件の匂いだ!)

 昭和29年、3月。

 新聞の見出しとなり、世を騒がせていたのは、
 《昭和の辻斬り事件》。

 そして、駒澤野球場周辺で発生した連続通り魔事件の
 7人目の被害者は……

 美由紀さんの友人の
 片倉ハル子さん、だったんです。

「ひいィッ!」
「ぐるぅ!」

 しかし。
 警察は事件現場で容疑者を確保、
 容疑者も犯行を認めました。

 ハル子さんを救うことは出来なかったものの、
 これで事件は解決した、と
 多くの人は思った……はず。

「ただァ、ひとりィ?」
「がるるるるるぐるる!」(←訳:美由紀さんを除いて!)

 事件についての新聞報道を読んでも、
 美由紀さんは腑に落ちません。

 証拠がある、
 証明できる、のではないんですけど、
 納得しかねることばかりで、
 敦子さんとともに
 あらためて事件の細部を調べてみれば。

「ころがりィだすのはァ~…」
「ぐるるるがる!」(←訳:さらなる疑問!)

 ネタバレ回避のため、
 これ以上はお喋り出来ないのですが、
 昭和29年という時代背景を
 “もうひとつの主役”に据えた物語は、
 前半はゆっくりと、
 後半は走って走って走って、
 嵐のような結末へ……!

「あッとうゥてきィ!」
「がる!」(←訳:圧巻!)

 罪とは、いかなるものか。
 罪に、いかように立ち向かうべきか。

 物語の終盤での、
 美由紀さんの叫びが、涙が、訴えが、
 読み手の胸を打ちます。
 シンプルだけど、真実。
 きれいごとだけれど、きれいごとで終わらせちゃいけない。
 腹の底からの、叫び。

 この叫びには
 耳を傾ける価値があります。
 ミステリ好きさんも
 エンタ好きさんも、
 どうかぜひ、一読してみて下さいね。
 激おすすめです!
 
 
 
 
コメント
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