テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ お師匠さんには、ワケがある ~

2019-06-27 22:38:11 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 むむゥ! たいふゥだしィ!」
「がるる!ぐるるがる!」(←訳:虎です!G20だし!)

 こんにちは、ネーさです。
 そうね、台風は突然発生するし、
 G20のために鉄道の駅は警備がスゴイことになってるし、
 落ち着かない週末になりそうですが、
 そんな中でも、はい、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、さあ、どうぞ~♪

  


 
      ―― てらこや青義堂 師匠走る ――



 著者は今村翔吾(いまむら・しょうご)さん、2019年3月に発行されました。
 『青義堂』は『せいぎどう』とお読みくださいね。

「てらこやさんッていうとォ~…?」
「ぐるがるるる?」(←訳:学校だよねえ?)

 もとは、お寺での学問指南所であったのが、
 江戸時代になると
 上方では《寺子屋》、
 江戸では《筆学所》などとも呼ばれるようになり、
 やがて全国的にも広まっていった教育施設――
 寺子屋。

 前回記事の展覧会情報では
 師匠・メスキータさんと弟子・エッシャーさんたちの絆、
 その絆が守ったメスキータさんの作品について
 お喋りいたしましたけれど、
 この御本にも、登場します。

 お師匠さんとお弟子さんたちが、
 明和七年(1770年)の江戸に。

「めいわァ??」
「っるがるる?」(←訳:っていうと?)

 明和は、大雑把に言っちゃいますと、
 江戸中期、でしょうか。

 徳川家の第8代将軍・吉宗さんの孫にあたる
 家治(いえはる)さんが第10代将軍に就いていた頃、ですね。

 戦国の世は、すでに遠い昔話。
 争いごとのない平穏な明和の江戸の、
 日本橋南松川町に
 『青義堂』なる屋号の
 寺子屋さんがありました。

「ふァ~にぎやかァでスゥ!」
「ぐるるがるるる?」(←訳:賑やか過ぎない?)

 戸を開ければ、
 今日も降ってくる黒板消し……ならぬ手桶。
 叱る師匠と、
 エヘヘと舌を出す生徒たち。

 あ、寺子屋さんでは
 生徒ではなく、筆子(ふでこ)、というのだそうですが。

 ここ『青義堂』の筆子たちときたら!

「わんぱくゥだしィ!」
「がるるぐる!」(←訳:困り者だし!)

 『青義堂』の筆子さんたちは、
 皆それぞれに“ワケあり”な子どもたちばかり。

 剣術の才はあるのに
 学問への熱意は空っきしだったり。

 評判のいいお店の子なのに
 お金の大切さが全然わかってない子だったり。

 可愛い女の子なのに
 兵法大好き~!だったり。

「たいへんでスねッ、せんせいィ!」
「ぐるがるるるるる!」(←訳:気が休まらないよ!)

 筆子たちにキリキリ舞いさせられつつも、
 彼らを慈しみ、
 労をいとわず教え、諭し、走り回るのは
 坂入十蔵(さかいり・じゅうぞう)さん。

 手桶の熱湯を浴びせられても
 ひるまず臆せず、
 わんぱくな筆子たちに相対します。

 でも、実は。

 十蔵さん自身も“ワケあり”だったんです。

「えェッ? そうはァみえないィでス!」
「がるるぐるるる?」(←訳:普通に見えるよ?)

 十蔵さんの生まれた坂入家は、
 伊賀組(いがぐみ)の与力でした。

 時代小説マニアさんには、もうお分かりですね。
 そう、伊賀といったら、あの伊賀です。

「もッもしかしてッ!」
「ぐる~!」(←訳:忍者~!)

 しかも、伊賀組きっての秀才と目されていた十蔵さんは
 優秀な公儀隠密でもありました。

 そんな変わり種のお師匠さんと、
 変わり種の筆子たち。

 トラブルに巻き込まれないはずがないわよね?

「やぱりィ!」
「がるるっるぅる?」(←訳:そうなっちゃう?)

 ネタばれになってしまうので
 これ以上は書けないのが、ああ、残念でなりません。
 けれど、『青義堂』に集う面々の
 賑々しくも純真爛漫な冒険は、
 時代小説好きな方々だけでなく、
 ミステリ好きさん&エンタ好きな方々にも
 おすすめですよ。

「おししょうさんはァ、ふでこさんのォためにィ!」
「ぐるるるるがるるるるるぐるる!」(←訳:筆子さんはお師匠さんのために!)

 教える者と教わる者、
 ふたつを結ぶ物語を
 ぜひ、一読してみてくださいね~♪
 
 
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする