テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ まだ見ぬ《薔薇》のゆくえ ~

2019-06-13 22:31:20 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ♪おもちゃのォ~♪ちゃちゃちゃッ♪」
「がるる!ぐるるぅがるーぐる!」(←訳:虎です!おもちゃショー開幕!)

 こんにちは、ネーさです。
 《東京おもちゃショー2019》のテーマは、
 “おもちゃで世界を笑顔に”。
 昭和を代表する強面作家・野坂昭如さんが作詞した
 可愛いらしい楽曲『おもちゃのチャチャチャ』を歌いながら、
 さあ、本日の読書タイムは、
 こちらの御本を、どうぞ~♫

  


     
      ―― ウンベルト・エーコ 薔薇の名前 ―― 



 著者は和田忠彦(わだ・ただひこ)さん、2018年9月に発行されました。
 NHKのEテレで放送されている《100分de名著》のテキスト本には
 『笑いは知の限界を暴く』と副題が付されています。

「でんせつゥのォ、みすてりィ……!」
「ぐるがるぐる……!」(←訳:謎が謎を呼ぶ……!)

 伊語の原題は『Il Nome Della Rosa』、
 日本語の題名『薔薇の名前』は伊語をそのまま訳したものですが、
 “伝説の”と形容するに相応しい小説作品です。

 原著は1980年にイタリアで、
 日本語版は1990年に発行、
 全世界での発行部数は5500部を超え、
 いまだに版を重ね続けるロングセラーの著者さんは、
 ウンベルト・エーコさん(1932~2016)。

「きょうじゅゥせんせいィ、なのでス!」
「がるるるるぐる!」(←訳:イタリアの叡智!)

 トリノ大学、ボローニャ大学、フィレンツェ大学、
 ミラノ大学、ボローニャ大学、と
 ヨーロッパきっての名門大学で教鞭をとったエーコさんは、
 専門は記号学ではありましたが、
 文芸評論家、哲学家さんでもありました。

 そんな《知の巨人》さんが
 初めて著した小説『薔薇の名前』には、
 さまざまな仕掛けが施されていることが
 刊行当初から指摘されています。

「さいごまでェ、あかされないィ~?」
「ぐるるがるる?」(←訳:答えはどこに?)

 物語は、《わたし》の語りから幕を開けます。

 《わたし》は、
 入手した書物の内容について語り始め、ます、が……

 《わたし》とは何者?
 書物って、どんなの?

 そんな重要な事柄を中途半端に置き去りにし、
 書物の中の物語はどんどん進行してゆきます。

 バスカヴィルのウィリアムさんという、
 不思議な修道士さんに導かれて。

「ふしぎィすぎまスゥ!」
「がるぐる?」(←訳:素性不明?)

 フランチェスコ会、ベネディクト会、ドミニコ会、
 異端審問官と、もと異端審問官。
 言葉をあやつる彼らの駆引きは、
 彼らを操る作者・エーコさんのたくらみは?

 エーコさんと交流があり、
 “親戚のおじさんのよう”と形容する著者・和田さんは、
 『薔薇の名前』各章をあらためて検証し、
 エーコさんの功績を振り返りながら
 問い掛けます――

 ものがたり、とは?

 物語ること、とは?

「それもォ、なぞォでス!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:解けない謎だね!)

 エーコさんは、
 おそらく出版社さんからは強く請われたに違いありませんが、
 バスカヴィルのウィリアムさんの前日譚・後日譚を
 著述することはありませんでした。
 
 もし、修道士ウィリアムさんの別の物語が
 描かれていたなら、
 そこにはどんな《謎》が生まれたのか。
 読書界にどれほどの衝撃を与えたか――

 2018年9月に放送された番組内容を
 書籍化したこのテキスト本は、
 放送終了後の現在でも販売されていますので、
 書物の『薔薇の名前』、
 あるいは映画版『薔薇の名前』ファンの方々は
 ぜひ、手に取ってみてくださいね。
 おすすめです!
 

 
 
コメント
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