テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― 挿絵で知る《ものがたり》の美 ―

2019-06-11 23:28:32 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 やッたでスねッ、たんたんくんッ!」
「がるる!ぐるがるるるる!」(←訳:虎です!人気あるんだよ!)

 こんにちは、ネーさです。
 今月8日のこと、
 ベルギーの漫画家エツジェさんの人気作《タンタン》シリーズの、
 『タンタン、ソビエトへ』表紙絵が競売にかけられ、
 112万ドル(一億二千万円)で落札されました!
 さすがタンタンくん!と感心しながら、
 本日の読書タイムは
 タンタンくんと同じく20世紀前半の
 《絵のある本》を特集するこちらのアートブックを、
 さあ、どうぞ~♪
 
  


 
    ―― 美しい挿絵で見る!おとぎ話の世界 ――



 ㈱総合図書から2017年5月に発行されたMOOK本には、
 『挿絵黄金期の画家たちによる魅惑の空想世界に浸る』と
 副題が付されています。

 前回記事で御紹介しました『グリムの森へ』に
 挿絵が多数掲載されていたことはお伝えしましたが、
 文庫である『グリムの森へ』では、
 挿絵のサイズが小さくて、
 モノクロであったのに比べて――

「こッちはァ、からふるゥ~でス!」
「ぐるがるっるぐるるぅ♫」(←訳:色があるっていいなぁ♫)

 エルジェさんが《タンタン》シリーズの制作を始めたのは、
 1920年代から、とされています。
 画面一杯に描き込まれたオシャレな小道具、
 最新流行のファッション、
 建築の描写もすっきりしていて、
 全体のスタイルは完全にアールデコ。

 対して、
 名作と謳われる《挿絵黄金期》の作品は、
 殆どが20世紀初頭から1930年代に制作されています。
 なので、スタイル的には
 アールデコよりも
 アールヌーヴォーに近い、と申せましょうか。

 ただ、意外と言ってはナンなんですけれど、
 《黄金期》の挿絵本って、
 “自由”なんです。

「てーまッ、なんでもォありィ!」
「がるぐる~!」(←訳:制限無用~!)

 シェイクスピア作品に
 アラビアンナイトの中東世界、
 グリム童話では中世を、
 アンデルセン童話の近代社会、
 『不思議の国のアリス』のパンク&シュール、
 日本や中国など東洋の伝説や、
 E・A・ポーさんのホラーな物語も、
 挿絵画家さんたちは
 見事に描きあげてみせました。

 逆説的ではありますが、
 タンタンくん風のアールデコスタイルだと、
 この“自由”さについてゆけない、のよね。

 だって、タンタンくんの画調で
 ポーさんの『赤死病の仮面』や
 『アッシャー家』の挿絵を描いても、
 あの禍々しい怖さが出ないでしょ?

「たいせつゥなのはァ~…」
「ぐるる!」(←訳:雰囲気!)

 この御本の中で
 とりわけ注目していただきたいのは、
 エドマンド・デュラックさん(1882~1953)。

 東洋美術に関する知識も深かったデュラックさんの代表作は、
 『アラビアンナイト』、
 『アンデルセン童話』、
 シェイクスピアさん作『テンペスト』他。

 そう、デュラックさんの影響力は大きく、
 ディズニー映画『アナと雪の女王』、
 『美女と野獣』『アラジン』の、
 美術デザインの大部分は
 デュラックさんの作品を参考にしていると言っても
 ぜんぜん大袈裟じゃないんです。

「もッとォ、ひょうかァしてほしいィでスゥ!」
「がるるぐるるるるるる!」(←訳:偉大な画家さんたちを!)

 可愛い、美しい、
 けれど、決して原作を曲げることをしない
 超一流の挿絵たち――

 この御本には、
 著名な挿絵画家さんたちの略伝、
 挿絵画家さんの代表作などが取り上げられていて
 《挿絵黄金期》入門編として
 おすすめの一冊です。
 アート好きさん、書籍デザイン好きな御方は
 ぜひ、覗いてみてくださいね~♪
 


 
コメント
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