テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 《聴取者》への、挑戦? ~

2021-08-04 22:11:36 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ゆきやァ~こんこんッ♪」
「がるる!ぐる~♪」(←訳:虎です!粉雪~♪)

 こんにちは、ネーさです。
 あまりの暑さに意識朦朧、
 雪の幻影がちらほらと見えてくるような
 超真夏の読書タイムは、
 いっそ《幻》の世界に遊んでみるのは
 いかがでしょうか。
 さあ、こちらを、どうぞ~♪

  


  
      ―― 消える魔術師の冒険 ――



 著者はエラリー・クイーンさん、
 2021年6月に発行されました。
 日本で独自に編まれた”傑作脚本集“には、
 『聴取者への挑戦状Ⅳ』と副題が付されています。

「ちょうせんッ?」
「ぐる?」(←訳:脚本?)

 ええ、そうなんです。
 この御本には、短編ミステリ7篇が
 収録されていますが、
 いずれも
 小説作品ではなく、
 ラジオドラマの脚本作品、なんです。

 20世紀の半ば――
 映画は既に普及していましたけれども、
 TVの放送や受信機は
 まだ登場していなかった時代に
 大人気を博していたのは
 ラジオドラマでした。

 特に、第二次世界大戦中の米国・英国では、
 ラジオから流れるミステリドラマに
 大勢の人びとが
 熱心に耳を傾けたと言われています。

「かいわでェ、てんぽォよくゥ!」
「がるるぐるーるぅーる!」(←訳:展開はスピーディーに!)

 説明的な文章は
 できるだけ省いて、
 少ない登場人物さんたちの会話と、
 効果音だけで
 物語を組み立ててゆく……

 表題作品
 『消える魔術師の冒険』でも
 そんな“特殊効果“が
 使われています。

 かつてはヴォードヴィルの業界に
 この人あり!と謳われたものの、
 時勢が変わったため、
 居場所を失ったヴォードヴィリアンたち。
 
 しかし今、
 彼らに再び脚光が?

「ちょうせんッ、なのでス!」
「ぐるるるがる!」(←訳:挑戦者に挑戦!)

 魔術については
 魔術師よりも詳しい!

 と豪語するのは、
 裕福な実業家スティールさん。

 どんなトリックもあばいてみせる!

 もしも、
 私が24時間以内に
 解くことのできない魔術があるというなら、
 賞金を出そう!
 2万5千ドルの賞金を!

「ひゅゥ~ひゅゥ~!」
「がるる!」(←訳:豪勢だ!)

 このお話が書かれた1940年当時、
 2万5千ドルは大金でした。

 そして、
 大金を獲得すべく
 名乗りをあげたのは、
 魔術師《グレート・アヴァンティ》さん。

 中立の立場から
 勝負を見届ける
 NY市警のクイーン警視と、
 探偵エラリー・クイーンさんの眼前で、
 “偉大なる”アヴァンティさんは、
 どんなトリックを駆使するのでしょう?

「たいむゥりみッとォ!」
「ぐるるるがるぐる!」(←訳:もうすぐ24時間!)

 文中、いえ、
 脚本文中には、
 しっかり配置されています。

 《聴取者への挑戦》が。

「ふッふッふッ!」
「がるぐるるるるる!」(←訳:いざ解き明かさん!)

 ミステリ好きさんにも
 演劇好きな方々にもおすすめの
 7篇のラジオドラマ脚本は、
 巻末の解説を熟読すれば
 いっそう面白さが増しますよ。
 書店さんで、図書館で、
 ぜひ、探してみてくださいね~♪
 
 
 
 
コメント
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