テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 美味しいものは、ゆっくりと ~

2021-08-07 22:06:33 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ざんしょッおみまいィ~もうしあげまスゥ!」
「がるる!ぐるるるがる!」(←訳:虎です!残暑だよ残暑!)

 こんにちは、ネーさです。
 今日8月7日は立秋……
 暦の上ではもう
 涼しい秋が来たんだ!と喜びつつ、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  



    ―― 柊先生の小さなキッチン ――



 著者は髙森美由紀(たかもり・みゆき)さん、
 2021年3月に発行されました。
 『HIIRAGI-SENSEI's small kitchen』と
 英語題名が付されています。

 物語の舞台は、盛岡市……
 ふぅ~、想像するだけでも
 東京の猛暑から解放される気分ですわね♪

「すずしィそうゥ~♫」
「ぐるるる~!」(←訳:東北の風~!)

 歴史ある都市には、
 美味しさで評判のお店が
 たくさんあります。

 居酒屋さんの
 『南部(なんぶ)』も、
 小じんまりとした造りながら
 美味しさと親しみやすさで
 いつも賑わっているお店……なのです、が。

「れいがいィ、はッけんッ!」
「がるるるーるぐるる!」(←訳:カウンターの隅だよ!)

 地鶏の照り焼きや、
 カレイのお刺身に全く手をつけず、
 カウンターに突っ伏している女性が、
 ひとり。

 その背中には、
 ……ああ、はっきりくっきり、
 書いてありますね、
 特大サイズで。

「しッ、ししししッ」
「ぐる!!」(←訳:失恋!!)

 百瀬一葉(ももせ・かずは)さん、27歳。
 お勤め先は、森岡書店。
 失恋したばかり。

 3ヶ月弱の、短い恋でした。
 27歳にして初めてできた彼氏でした。
 そして。

 彼のことが、
 本当に好きでした……

 いえ、
 好きなんです、いまも。

「ふァ~…あきらめェきれないィ?」
「がるるるるる?」(←訳:割り切れない?)

 友人である『南部』の店主夫妻に
 慰められても、
 叱咤されても、
 一葉さんの心は立ち止まったまま。

 美味しいものを美味しいと感じられず、
 食事を摂ることが
 出来なくなってしまいました。
 
 愛犬の久太郎(きゅうたろう)くんのための
 食事作りに手を抜くような
 一葉さんではありませんが、
 彼女自身は、
 栄養補助食品で
 かろうじてイノチをつないでいる有り様です。

「うんッうんッ!」
「ぐるるるがる……」(←訳:つらいよねえ……)

 一葉さんが落ち込んだ闇に
 光明をもたらしたのは、
 アパートの隣室に引っ越してきた
 柊(ひいらぎ)先生。

 柊先生お手製の
 あつあつポトフが、
 凍りついていた一葉さんの感情を
 ゆっくりと常温へ、
 体温へと、
 回復させてゆきます。

「おおッ、よかッたでス!」
「がるるぐる?」(←訳:快復の兆し?)

 ようやく、涙があふれる。
 ようやく、ごはんの美味しさを思い出す。

 再生への一歩を
 踏み出そうとしている一葉さんと、
 お鍋を手に
 キッチンに佇む柊先生。

 はたして、
 ふたりの行く手には……?

「ふむむッ♪ なァるほどォ~♫」
「ぐるるるがる?」(←訳:そういうこと?)

 失恋の痛手を切々と嘆き、
 その一方で、
 小さなしあわせ、
 ささやかな喜びも拾いあげる
 一葉さんの毎日。

 ほっこりした週末の読書タイムに
 おすすめの一冊です。
 美味しいもの好きな御方も、
 恋愛モノ好きな方々も、
 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 
 
 
コメント
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