テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 謎めく 富士図 ~

2021-08-10 22:15:22 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 わわわッ! たいおんッこえちゃッたのでス!」
「がるる!ぐるぅる~…」(←訳:虎です!むぎゅぅ~…)

 こんにちは、ネーさです。
 八王子市の今日の最高気温は、39.0℃……
 アイスクリームと麦茶で昼間を乗り切り、
 夕暮れて気温も下がったところで、
 さあ、読書タイムにいたしましょう。
 本日は、こちらのアート本を、どうぞ~♪

  


 
     ―― 光琳、富士を描く! ――



 著者は小林忠(こばやし・ただし)さん、
 2021年7月に発行されました。
 『Korin's Fuji!』と英語題名が、
 『幻の名作《富士三壺図屏風》のすべて』
 と日本語副題が付されています。

「おおおッ! はくりょくゥ!」
「ぐるがるる!」(←訳:霊峰だねえ!)

 表紙の上段を占有する
 雪を冠った御山の姿は、
 あらためて記すまでもありません。

 富士の山。

 著者・小林さんが
 この富士の画と出会ったのは、
 2015年3月、
 アメリカでのことでした。

「だいがめんにィ、ふじさんッ!」
「がるるぐる!」(←訳:色彩も凄い!)

 この富士の画像を初めて拝見したとき、
 私ネーさは、
 なんて高価な絵の具を使ってる作品かしら、と
 驚き、感心いたしました。

 けれど、
 小林さんが感じた驚きは、
 まったく別のものであったようです。
 というのは……

   尾形光琳さんの、真筆!

「うむむゥ! もしもォ、そうならァ~」
「ぐるるがるる!」(←訳:大発見だよう!)

 尾形光琳さん(1658~1716)。

 小林さんは、一目見て直観したのでした。
 これは、光琳さんの真筆、
 彼の作品に違いない!と。

 ただ……
 証拠がありません。
 
 作風は明らかに
 琳派の祖たる俵屋宗達さんの影響が
 見受けられるものの、
 誰が、どこで、いつ描いたのかを
 明確に示唆するものが、無い……。

 広げると、
 7メートル余りにもなる
 六曲一双の屏風の作者は、
 本当に光琳さんなのか……?

「こうなッたらァ、もうッ!」
「がるるるぐる!」(←訳:徹底的に調査!)

 出会いから5年後、
 2020年11月。

 『富士三壺図屏風(ふじさんこずびょうぶ)』は、
 表具の修復と、
 アーティゾン美術館の
 『琳派と印象派』展への出展を兼ねて、
 日本に里帰りすることになりました。

「それはァ、ちゃァ~んすゥ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:探そう証拠を!)

 俵屋宗達さんの作品との比較。

 光琳さんの他作品との比較。

 屏風の右隻右端に捺されてある
 『方祝』
 という印章の検証。

 酒井抱一さんが残した資料からの考察と、
 箱書きの鑑定も。

「それでッ、それでッ?」
「がるる?」(←訳:結論は?)

 小林さんが
 どのような結論に達したのか、
 そこはネタバレを
 避けなくてはなりませんから、
 どうか御本を手に取って、
 本文をじっくりと
 読み進んでいってくださいな。

 印刷の精度も素晴らしいので、
 琳派の作品が大好きな方々に、
 江戸美術好きな方々にも
 激おすすめのアートブックです。
 こころに富士を想い描きつつ、
 ぜひ、一読を♪
 
 
コメント
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