テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 還流する《日本の美》 ~

2021-08-25 22:16:16 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 わッつゥさァ~んッ!」
「がるる!ぐるるがる~!」(←訳:虎です!寂しいよう~!)

 こんにちは、ネーさです。
 今日、朝いちばんに飛び込んできたのは、
 ローリングストーンズのドラマー、
 チャーリー・ワッツさんの訃報……
 英国紳士ワッツさんへの敬愛と哀惜の念を込め、
 本日の読書タイムは、
 こちらの御本を、どうぞ~!

  


 
    ―― イギリスの美、日本の美 ――



 著者は河村錠一郎(かわむら・じょういちろう)さん、
 2021年4月に発行されました。
 『ラファエル前派と漱石、ビアズリーと北斎』
 と副題が付されています。

 19世紀後半、
 日本の美術はヨーロッパのアートシーンに
 衝撃をもたらしました。
 大河ドラマ『青天を衝け』でも、
 そういった場面がちょっとだけ有りましたね。

「ふァいッ! ぱりィ!」
「ぐるがる~!」(←訳:パリ万博~!)

 パリ万博で、
 はるか極東の島国の、浮世絵、陶芸品、工芸品等が
 大きな話題となったように、
 フランスのお隣りの
 英国に於いても、
 日本美術はアーティストさんたちの
 胸をザワつかせたのでした。

   えっ?
   こんな描き方、アリなの?
   こういう描法、していいんだ!

 という具合に。

「せいいようのォ、かいがはァ~…」
「がるぐる!」(←訳:制約多し!)

 制約や決まり事に縛られない、
 異国の美術。

 それを目の当たりにした驚愕が
 どのようなものであったか、
 一例を挙げますと。

 本文102ページには、
 当時の英国で最も人気のある装飾美術家にして、
 パリ万博の出品審査員でもあった
 ドレッサーさんによる
 日本のドローイングを論じた文章が
 引用されています。

  《イギリスのアカデミックな機関では
   全く許されたことない特色が
   ここにはある――
   すなわち、
   線による輪郭描写と
   黒一色の塗りつぶしとの混合である》

「ゆるされェないィ??」
「ぐるるるるる?」(←訳:塗りつぶしが?)

 ええ、私ネーさも
 この一文にはびっくりしまして、
 手持ちの画集などを調べてみましたら、
 なるほど、
 中世の木版画の類では、
 黒一色の塗りつぶし、って
 まず見かけない……と言えましょうか。

 それが一転、
 “黒の効果“を求めて、
 版画や挿絵の画面に
 黒色が増えてくるのは、
 19世紀の後半から。

 日本美術から着想を得た
 《ラファエル前派》の画家さんたちや
 オーブリー・ビアズリーさんの
 挿絵作品では、
 特にその傾向が顕著ですね。

「きりりッとしてェ、かッこいいィ!」
「がるぐぅーる!」(←訳:線がシャープ!)

 日本から英国へ。
 そののちの、
 英国から日本への、還流。

 日本が異国へもたらした美、
 開国によって
 異国から日本へ到来した美が
 日本の芸術や文学に
 どれほどの影響を及ぼしたか、
 著者・河村さんは
 多角的に組み立て、
 解析してゆきます。

 近代史好きな活字マニアさんに、
 《ラファエル前派》ファンの方々、
 ビアズリーさんのファンの方々に、
 おすすめですよ。
 ぜひ、探してみてくださいね♪
 
 

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする