薬師三尊像がいらっしゃる金堂も大変な人混みです。薬師如来の胸元には国宝「吉祥天女画像」が特別に公開され、堂内には僧侶たちの高らかな声明が響き渡っています。この「修正会吉祥悔過法要」という行事は、なんと千年も続いているのだそう。
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読売新聞によると、薬師寺は2月にフランス・パリで初めての「声明コンサート」を開くそうで、これは2010年に開催される「平城遷都1300年」のPRのためです。たしかに神仏の前でのお祈り、ご詠歌、舞いなどが、そもそも音楽・踊りなどの芸術の始まりなのでしょう。たくさんの僧侶たちが大きく高らかに謳いあげる声明は、音楽的にもすばらしく心に浸み込んできます。
写真:薬師三尊を前にたくさんの僧侶たちの声明が響く
薬師寺の東塔は日本が誇る1300年前の木造建築であり、姿の美しさが「凍れる音楽」と称えられていることはご存知の通りです。その後の金堂、西塔、大講堂、中門、回廊などの再建にも「これがあったから再建できた」と西岡常一棟梁も言ったそうです。でもかなり痛みがひどいことが発見され、近々改修も始まるとか。
<o:p>写真:国宝薬師如来さまの胸元に「吉祥天女画像」がある。</o:p><o:p>手の指の水かきは、すべての人々をもらさず救うため。</o:p>
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西岡氏は「本来必要だからあったはず」と新しい西塔を困難の中で再建し、全体の白鳳伽藍を「1300年前の人々が心を込めて作った浄土の形」と話していたそうです。そんな思いで改めて拝見すると、例年になく感激もひとしおです。
写真:金堂の両側に双塔の伽藍は当時の人々にとって浄土の形。(手前は祈祷所)
「唐招提寺へ」<o:p></o:p>
北入り口を抜けて細い道を10分ほど歩くと「唐招提寺」があります。ふたつのお寺はこれほど近い場所にあるのに、雰囲気は全く異なっています。近年唐招提寺は金堂の平成大修理中なので特に静かな印象です。
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薬師寺はいろいろな催しも仏様も多く、人が多く賑やかで、ある意味楽しく面白いのですが、一方唐招提寺はひっそりと暗く、穏やかな印象が強いです。たとえてみると「動と静」、あるいは少しことばが悪いですが「商業的と宗教的」ともいえるかな?でもそれぞれ個性があることで、お参りも意義深いのです。
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講堂にある弥勒如来坐像やそのほかの持国天などはほこりをかぶり、照明がほんとうに暗いです。なのにかえってありがたい気持ちになるから不思議。
そこを出ると「礼堂」があり、読経の声が聞こえますが、ここもぼんやりとした灯りです。白い障子には人影がかすかに映っています。丁度僧侶たちが並び歩いて、なにか受戒しているのでしょうか、とても幻想的というか、宗教的というか・・・。唐招提寺のHPによると、これは「修正護摩法要」らしいです。
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あっ、障子が開いて小さな5~6歳くらいの幼いお坊さんが出てきました。ぞうりをつっかけて、袖を開いて走り出すと、外にいた人がすぐついていきました。おしっこ、かな? こんな真夜中までご苦労さまです。
この秋11月にはおよそ10年間続いた大修理が終わり、金堂がお目見えします。本当に久しぶりに千手観音様にお会いできるのが楽しみです。
写真:まっくらな堂内で「たぶん無理だろうけど・・・」と写すと、こんなに神秘的な青い色に!
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