ケイの読書日記

個人が書く書評

益田ミリ 「OLはえらい」

2017-01-20 14:56:59 | 益田ミリ
 またまた益田ミリ。やっぱり売れてる人の作品は面白い!!

 益田さんは、上京するまでの6年間、地元の大阪でOLさんをしていた。その時の経験をベースに描き下ろした、32歳の時の4コママンガ作品集。

 女主人公ロバ山ロバ子は、大阪の老舗の会社の営業3課で一般事務をしている。ものすごくやりがいがある訳ではないが、どうでもいい仕事でもない。何といっても古い会社なので、管理職はみな男性。長年勤務している女性もいるが、出世には全く関係ない。
 でもね、社員食堂があるので、結構な大手だと思う。転勤はもちろん男子社員だけ、そして一番いいなと思うのが、女子社員は定時で帰れること!残業はまず無いらしい。お給料は少ないらしいが、これ、大事なポイント。電通に教えてあげたい。
 まあ、言い換えれば、大事な仕事を任されていないという事なんだろうが。

 でも、古き良き時代だよね。今は、一般事務で正社員という求人は、ほとんど無いんじゃないだろうか? どんどん派遣さんにそういう仕事は移っている。

 そして、一番ビックリしたのが、生理休暇を女子社員の皆さんが、堂々と取っている事!!! 1990年代の事なのに?! 驚かない?

 私が結婚前に働いていた所も、生理休暇は制度としてはありました。でも…使ってる人なんか、いなかったよ。先輩が使わないと下っ端は使えない。このロバ山ロバ子さんは、先輩がきっちり生理休暇を取っている素晴らしい人だったので、心強かったようだ。

 ロバ山さんの人柄が良いってこともあるが、上司も同僚も、とても良い人で、会社の慰安旅行や忘年会・新年会・歓送迎会などなど、しっかりあります。それは楽しみでもあるが、上司には気を遣うし、会費は徴収されるので、お金はどんどん飛んでいく。痛しかゆしです。

 この作品だけでなく、益田さんのコミックエッセイ全般の特徴なんだけど、ドロドロが無い! こういったOL物って、給湯室内でのイケメンを巡っての女同士のいさかいとか、不倫の噂で盛り上がるとかがメインの物が多いのに、このロバ山ロバ子さんとその友人たちの清く正しい事!! 素晴らしい。尼寺にいるみたい。
 ロバ山さんも実はそれを気にしていて「家族に彼氏いないんだろうな、と思われてるだろうな」と少し落ち込んでいる。
 でも、こんなアットホームな会社に勤めているんだったら、そのうち上司が誰か紹介してくれるよ。
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益田ミリ 「僕の姉ちゃん」

2017-01-16 09:56:08 | 益田ミリ
 すっごく面白い!! 益田ミリさんは『すーちゃん』シリーズで有名だが、この『僕の姉ちゃん』も、それ以上に面白いと思う。

 新社会人らしい僕と姉ちゃん(30歳)の二人暮らしなので、先に就職して東京に出てきていた姉ちゃんのアパートに、新しく社会人となった弟が、次の住居を見つけるまで居候しているという設定かな?と思っていたが、どうやら二人は自宅住まい。両親は海外赴任していたようです。マンガの最後に戻ってきます。

 つかの間の二人暮らしの間、2人は会社や仕事、上司や同僚、恋愛や結婚や友情、ファッションなどなどについて、おしゃべりします。それが掛け合い漫才みたいで面白い!!
 なんとなく、群ようこさんと弟さんの事を思い出しちゃったなぁ。群さんが家を出たのは24歳の時(弟さんは4歳年下)それからずっと離れて暮らしているけど、もし同居していたら…こんなおしゃべりしていたのかも。

 それにしても益田さんは売れっ子だけあって、本当に女の心情を掬い取るのが上手。例えば…姉ちゃんのセリフ「女って、かわいいが正解みたいな中で大きくなっていくでしょ」「けど、正解なんて誰もが出せるわけじゃない」「だからせめて持っていたいんじゃない?」「簡単に手に入るかわいいいを」と、きれいにネイルした爪を見て言う。
 結構、シビアな事も言ってる。「人に見下されたことって」「あとからジワジワくるのよねーーー」「自分の心の中だけでやってりゃいいのに」「わざわざ、今、見下しているぞって光線送ってくるヤツっているよね」「手に取って捨てたいよ、こういう気持ち」「捨てたところを確認できないから」「人は苦悩するわけよ」

 同じように見下された人にも2種類いる。反撃した人は、恨みを後にさほど残さない。でも、見下されたと感じても、穏便に済まそうとへらへらして反撃できなかった人は、何年たっても悔しさがぶり返す。フラッシュバックのように。嫌な思い出が蘇り、ムカムカする。周囲の人が何年前の話なの?ってあきれるくらい。
 自分自身、その負の感情を持てあましている。捨てられるものなら捨てたいよ。
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益田ミリ 「大阪人の胸のうち」

2016-05-23 14:12:55 | 益田ミリ
 めまいが未だに治まらない。ずーっと横になっていると、背中や腰が痛くなるしツマラナイので、簡単に読めそうなこれをチョイス。

 益田ミリさんは、1969年大阪生まれ大阪育ち。短大の2年間は京都だったが、勤め先も大阪。この大阪生まれ大阪育ちだけど、大学は京都っていう人、多いと思う。大阪から通えるし、それに京都という文化都市に憧れみたいなものがあるんじゃないかな?
 26歳の時、広い世の中で自分の力を試してみたいと上京した。このマンガ付きエッセイ集は、2007年に出版されたから、このとき38歳。その彼女が、東京で暮らす大阪人の目から見た、故郷を書いてみた1冊。

 私の好きな津村記久子も、生粋の大阪人なので(彼女は、大阪生まれ・大阪育ち、大学だけは京都だけど、現在も大阪在住で執筆している)小説の中に、生粋の大阪弁が出てくる。大阪弁はメジャーなので意味は分かるけど、私の住んでいる地域では使われていない言葉がいっぱい。例えば「超」を表す言葉「めっさ」。この言葉、先日読んだ『エヴリシング・フロウズ』の中で中学生たちが頻繁に使っていた。 
 この「めっさ」を益田ミリも解説している。

 それから あだ名。「ますだ」って苗字は「まっすん」と呼ぶことが多いらしい。益田ミリさんも子供時代、呼ばれていたとか。
 これも、『エヴリシング・フロウズ』の中に登場する、超・絵が上手い女の子・増田さんを「まっすん」と呼んでいたことを思い出す。
 私の好きな作家さん二人の共通項がいっぱい出てきて、面白いです。


 大阪のオバちゃんたちの3大アイドルといったら、明石家さんま、西川きよし一家、桂三枝らしい。特に西川きよしは一家で有名人で、大晦日やお正月、西川きよし一家の団欒風景をTVで見るのが、大阪人の楽しみとか。
 また三枝は(最近は愛人騒動で、えらく評判を落としたが)寄席や舞台でも、別格な人気で、独特の雰囲気があるそうです。登場するだけで、観客が笑いっぱなし。

 そういえば私、中学の時、ペンフレンドが大阪にいて、吉本新喜劇を見に連れて行ってもらったような…。馴染みのない芸人さんばかりなので、そんなおもろなかったような…(失礼!)


*** 動かないもの、例えば、机の上の新聞やら本を読むのはOKだけど、動くもの、スクロールしているパソコンの画面など、読むのが辛い。文字入力も、私はタイピングが下手なので、目玉があちこち動くのだろう、疲れます。 ああ、はやく、このめまいが治ってほしいよお。
 誤字脱字が多いと思います。ゴメンしてね!
コメント (2)
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