ケイの読書日記

個人が書く書評

クリスティ作「マギンティ夫人は死んだ」を読んで

2005-03-15 16:59:05 | Weblog
 ハッキリわからないなんて恥ずかしい話だが、この本以前に読んだことあるかもしれない。まだ読んでないと思って買った。最初のほうのポワロとスペンス警視の会話もユーモアに富んでいてとてもおもしろく快調に読み進んでいった。2/3ぐらい読んで、推理作家のオリバー夫人が劇作家のロビンと芝居を観に行き小さな楽屋で大勢の役者たちにちやほやされる場面にぶつかってハタとひらめいた。ここ読んだことがある!ということは私このミステリよんだことある?でも、その場面以外まったく覚えていない。こんなに私って忘れやすいタチだった?しかしかえって都合がいいかも。何度も同じミステリでハラハラドキドキできるから。
 いつものことだが、また難癖をつけよう。アップワード夫人殺人事件は犯人が色々策をめぐらし女性を犯人だと思わせようとしたのはわかるが、なんといっても最後にアップワード夫人を見たロビンが一番疑われるのが普通じゃないのか。なぜちゃんと調べないんだろう。なんといっても彼には遺産という古典的で単純でとても強い動機があるのだ。
 この小説のなかにもたいしたトリックは使われていない。でもクリスティの世界にはトリック以上に素晴らしいものがあるのだ。彼女が生きた時代のイギリスの中産階級の暮らしぶりを垣間見ることが出来る。例えばこの「マギンティ夫人は死んだ」は1952年の作品。第二次世界大戦中の大変だった話が会話のあちこちにでてくる。女性の社会進出が進んでメイドになりてがいない。だが中産階級の女性は家事はすべて使用人まかせだったので、自分でなにもできない人が多い。なんとかメイドをおこうとする。昔からいる気心のしれたメイドだったらともかく、そりがあわないメイドとは大もめにもめる。「あの階級の人はおしゃべりだ」とか「部屋の中をかぎまわっている」とか悪口の言い放題。人間だれしも好奇心はあるもの。家の中の秘密を知られたくないならメイドをおかなければいいのに。
 シャーロック・ホームズの小説にも、メイドが主人の秘密の手紙を悪党に売るという設定がよくある。信用のおけない他人を家の中にいれるぐらいなら、自分で家事や雑事をやった方がましのような気がする。それか不便をがまんするか。 
コメント
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