TVドラマのミス・マープルシリーズ(イギリスのBBC放送)で、これを見たことがあり、強く印象に残っている。推理小説としては、いいできではないのだろうが、この小説の舞台となっているバートラムホテルの雰囲気が素晴らしくクラシックなのだ。古き良きエドワード王朝の面影を今なお残す格調高いホテル。エドワード王朝というのは、20世紀最初の頃か。イギリスが日の沈まない帝国だった頃の雰囲気そのまま。
この「バートラム・ホテルにて」が刊行されたのは1965年。現実のイギリスは沈滞しているが、このホテルの入り口の大ロビーには称号を持っているイギリス人たちが実際に伝統的な午後のお茶を飲んでいるのだ。ちまたでは第二次世界大戦後アフタヌーンティの習慣などすっかりすたれているのに!
バターたっぷりのマフィンやシードケーキ、燻製にしん、キドニーパイ、ベーコン、グラウスの冷肉、ヨークハム、オックスフォード・マーマレード、名前を聞いただけでは、どんなものかわからないが、でもおいしそう。
しかし、イギリス料理ってまずいので評判らしい。だいたい、イタリア料理店、中華料理店、フランス料理店、トルコ料理店、といろいろあるのに、イギリス料理店というのを私見たこと無い。イギリス料理でまあまあおいしいのはローストビーフだけだ、とイギリス留学から帰ってきた人が言っていた。
でもクリスティの筆にかかると、すごーくおいしそうになるのよね。同じくクリスティの「パディントン発4時50分」の中にルーシーという家政婦さんが出てきて、彼女の作る料理が私にはなじみのないものばかりだけど、素晴らしくおいしそうだった。
この「バートラム・ホテルにて」の中にエルヴァイラ・ブレイクという、とんでもないお嬢さんがでてくる。彼女は両親の離婚で2歳の時に母親と別れ、父親とは5歳のときに死別。それ以来、親戚や知人のもとに身を寄せている。21才になると莫大な財産を相続することになっている、もうすぐ20歳のきれいなお嬢さんである。イギリスの学校を終えて今度はイタリアにある伯爵夫人の学校に入り、社交界へ出る仕上げの準備をして、イギリスに戻って来ている。しかし時代は1965年、日本なら昭和40年。そんな時代に『社交界へ出る仕上げの準備をするための、イタリアの伯爵夫人経営の上流階級子女向けの学校』なんてものが存在するんだね。
イギリスも労働党政権下では税率がすごく高くて大変だ、という話を聞いたことがあるが、どんな時代でも余裕のある人はいるらしい。数年前ベストセラーになった「ブリジット・ジョーンズの日記」の中にも、イギリスの階級社会的な雰囲気はあちらこちらに書かれていた。
この「バートラム・ホテルにて」が刊行されたのは1965年。現実のイギリスは沈滞しているが、このホテルの入り口の大ロビーには称号を持っているイギリス人たちが実際に伝統的な午後のお茶を飲んでいるのだ。ちまたでは第二次世界大戦後アフタヌーンティの習慣などすっかりすたれているのに!
バターたっぷりのマフィンやシードケーキ、燻製にしん、キドニーパイ、ベーコン、グラウスの冷肉、ヨークハム、オックスフォード・マーマレード、名前を聞いただけでは、どんなものかわからないが、でもおいしそう。
しかし、イギリス料理ってまずいので評判らしい。だいたい、イタリア料理店、中華料理店、フランス料理店、トルコ料理店、といろいろあるのに、イギリス料理店というのを私見たこと無い。イギリス料理でまあまあおいしいのはローストビーフだけだ、とイギリス留学から帰ってきた人が言っていた。
でもクリスティの筆にかかると、すごーくおいしそうになるのよね。同じくクリスティの「パディントン発4時50分」の中にルーシーという家政婦さんが出てきて、彼女の作る料理が私にはなじみのないものばかりだけど、素晴らしくおいしそうだった。
この「バートラム・ホテルにて」の中にエルヴァイラ・ブレイクという、とんでもないお嬢さんがでてくる。彼女は両親の離婚で2歳の時に母親と別れ、父親とは5歳のときに死別。それ以来、親戚や知人のもとに身を寄せている。21才になると莫大な財産を相続することになっている、もうすぐ20歳のきれいなお嬢さんである。イギリスの学校を終えて今度はイタリアにある伯爵夫人の学校に入り、社交界へ出る仕上げの準備をして、イギリスに戻って来ている。しかし時代は1965年、日本なら昭和40年。そんな時代に『社交界へ出る仕上げの準備をするための、イタリアの伯爵夫人経営の上流階級子女向けの学校』なんてものが存在するんだね。
イギリスも労働党政権下では税率がすごく高くて大変だ、という話を聞いたことがあるが、どんな時代でも余裕のある人はいるらしい。数年前ベストセラーになった「ブリジット・ジョーンズの日記」の中にも、イギリスの階級社会的な雰囲気はあちらこちらに書かれていた。