ケイの読書日記

個人が書く書評

島田荘司「斜め屋敷の犯罪」

2006-10-10 13:05:30 | Weblog
 財界の大物が引退し、北の果てに奇妙な建物をたて隠居した。5度ほど傾斜している斜め屋敷とその隣の斜塔。
 クリスマスに客を招き賑わっていたその屋敷で、2夜連続の不可解殺人がおこる。
 助手、石岡を引き連れ、御手洗潔登場!!!


 犯人の見当はすぐつくが、殺人のトリックが分からない。最後にタネあかしされる。確かに不可能ではないだろうが、そんなにうまくいくだろうか?とも思うが、なかなか凝ったトリック。


 奇妙な屋敷や等身大の不気味な人形が出てくるので、少し「黒死館殺人事件」を思い出したりするが、御手洗と石岡が登場すると一気にコメディになっちゃうのよね。
 吉本のステージに立っていても、なんの違和感も無いだろうこの2人。


 読んでいて一番胸がドキドキしてくるのは、トリックでもなければ殺害現場の描写でもない。
 斜め屋敷と隣の斜塔にかかる『跳ね橋』(中世ヨーロッパのお城によく出てくる上げ下ろしできるヤツ)
 斜塔の最上階に部屋はあるが、地面から斜塔に入る入り口は無く、斜め屋敷の3Fから扉に見える階段橋を倒して斜塔側にひっかけ行かなくてはならない。
 いくら手すりが付いているからとはいえ、これは怖い!!

 天気の良いポカポカした日ならともかく、真冬の夜雪が降る中、とうてい渡れないよ。突風でも吹いたらどうする?すぐに転落死です。

 小説の中で、招待客が渡る場面がありますが、私は勧められてもゼッタイ渡らないですね。
コメント (8)
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