ケイの読書日記

個人が書く書評

奥泉光「黄色い水着の謎」

2013-10-01 13:48:07 | Weblog
 これも、前回のブログと同じく、桑幸シリーズ。

 クワコーこと桑潟幸一准教授が顧問を務める文芸部が、海辺の民宿で合宿するので、クワコーも参加せざるをえなくなる。
 皆で魚や貝やエビ、カニを獲ってバーベキュー。自由時間には、お気に入りの水着で日光浴したり、泳いだり、楽しく過ごす。
 しかし、翌朝、ギャル早田の黄色い水着が盗まれる。これって、変態メールを送ってくるストーカーの仕業?
 その上、文芸部OBのスタイル抜群美女の黄色い水着も、意外な場所に放置されていて…。

 最終的に、ギャル早田の黄色い水着は、クワコーのリュックの中から見つかる。やっちまったな!クワコー!! が、これも、名探偵・神野仁美がスラスラ謎解きして、クワコーの名誉(あるとすればだが)を守ってくれた。

 ストーリーは単純だが、色んな濃いめのキャラが、入れ替わり登場して、読むのが大変。特筆すべきは、文芸部1年の丹野愛美。ボーイズラブと村上春樹を何よりも愛するこのメガネっ子は、なんとスクール水着で合宿に参加するのだ。(コスプレ?!)
 この子が、時々鋭い推理を見せて、ひょっとしたらポスト神野仁美?と思ってしまう。
 神野仁美は、どうもキャラがつかみにくく、印象がうすいです。



 この小説の面白さは、なんといってもクワコーの困窮生活ぶり。池でザリガニを獲ってきてフライパンで炒め、ご近所のゴミ捨て場から雑誌を拾ってくる。
 クワコーの給与は前任校と比べ、大幅に下がったようだ。いくら、学生の定員割れが続いているからと言って、給与規定もあるだろうに、なぜに? 勤続年数が少ないから? 准教授だから? 教授になれば増えるの? 
 だけど、火村英生准教授は、結構もらっていそうじゃん。有名大学の准教授だから?   ああ、クワコーかわいそう。
コメント
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