ケイの読書日記

個人が書く書評

梶原季之「水無月シーサンヤオチュー」

2014-08-07 10:41:08 | Weblog
 梶原季之は、松本清張ほどじゃないけど、40年ほど前の有名小説家。懐かしい名前だなぁ。そういえば、こういう名前の人、いたっけ。すごく売れっ子だったが、今じゃ、全く読まれてないようだ。純文学系の人じゃないから、すたれるのも早いだろうね。
 でも、売れていただけあって、古臭い所はあるけど、面白いです。


 この短編は、常軌を逸した装丁家の話。お金持ちで、すごく本好きの人が、愛読書を自分好みに装丁することがあるのは知っています。素晴らしい趣味だと思います。(お金があっても、私は絶対やらないけどね。)

 で、このクレージーな装丁家は、人間の皮膚で本を装丁するのです。死んだ人間じゃない、生きている若い女性の皮膚で。誘拐して…という訳ではなく、若い女性にお金を払って、腕のいい外科医に皮膚を剥いでもらうんです。
 うわーーーー。
 
 ずいぶん前、ナチスが、ユダヤ人をガス室で殺した後、その皮膚を剥いで、ランプシェードにしたという話を読んで、気分が悪くなったことがあった。死体の脂肪で、石鹸も作っていたらしい。

 この短編の中にも、他に、フランス革命のとき、ギロチンで処刑された貴族たちの皮膚が、高値で売買されていた事も書いてある。貴族たちたったら、栄養状態も良かっただろうし、美容にも気を配っていただろうから、キメの整った皮膚をしていたのかな、それで高値で売買された?!

 しかし…いったい何に使うんだろね。死んだ恋人とか愛人の皮膚を使って、何か思い出の品を作るなら、まだ理解できるが、全く誰のものか分からない皮膚を使って工芸品をつくっても、気味が悪いだけだと思うが…。幽霊がでてきたり、祟られそうだ。
コメント
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