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でも、サナダさんが高く評価しているし、TVドラマ化されるというので、私も彼の代表作を読んでみる。
正直、さほど期待していなかったが…これは名作ですね。間違いなく。
この感覚、何かに似ていると思ったら、綾辻行人の「十角館の殺人」の読後感と似ていた。あの時も「なんでもっと早く読まなかったんだろう。ちぇっ!損した!!」と激しく後悔したのだ。「十角館の殺人」では、綾辻の、本格ミステリにかける情熱に感激したし、この「すべてがFになる」では、森博嗣の、ち密で論理的なトリックに驚かされる。それにタイトルがいい。読者うけを狙って、内容に関係なくかっこいいタイトルを付けることが多いが、これはハッタリではない。本当に、すべてがFになるとき、事件の怖ろしさが表面化するのだ。
Fって、こういった使い方もあるんだね。もちろん私は知らなかったし、知ってる人は理系でも多くはないだろうが。詳しくは、この本を読んでください。
孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季。
彼女の部屋は地下二階にある。彼女側からは絶対開かないように設計されているはずの扉が、原因不明のコンピュータの不具合のせいか開いて、彼女の部屋からウェディングドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れる。なんと、ワゴン型ロボットにのせられて…。
ゼミ旅行で島を訪れていたN大助教授・犀川と、大学1年の萌絵が、この不可能密室殺人に挑む!
なんだよーーー!!!こんなんアリかよぉ!というトリックではない。そうだ!そうとしか考えられない!そう考えると、全ての辻褄が合う、読んだ人すべてが、すとんと納得するトリック。
余談だが、この真賀田研究所のある妃真加島(ひまかじま)は、本当は日間賀島。ちゃんと三河湾に浮かんでいます。一色港とか篠島とか、よく知ってる地名がそのまま出てくる。こういう所に、森博嗣の郷土愛を感じます。
彼は、東海中学→東海高校→名古屋大学工学部だから、他の土地の事をよく知らないからかもしれないが、私にとってはすごく嬉しい。