ケイの読書日記

個人が書く書評

岩波明「精神科医が読み解く 名作の中の病」

2015-02-23 11:13:32 | Weblog
 タイトル通り、小説の登場人物を対象とし、精神科医が、彼らの病気や行動を読み解こうとするエッセイ。

 私の既読の物としては12作品。
 芥川龍之介「歯車」  天童荒太「孤独の歌声」  コナン・ドイル「唇のねじれた男」  高村薫「マークスの山」  ステーグ・ラーソン「ドラゴンタトゥーの女」  島田荘司「魔神の遊戯」  夢野久作「ドグラ・マグラ」  高木彬光「人形はなぜ殺される」  江戸川乱歩「屋根裏の散歩者」  テネシー・ウイリアムズ「ガラスの動物園」  宮部みゆき「名もなき毒」  夏目漱石「坊ちゃん」


 未読の物は51作品。
 その中で、東野圭吾「片想い」と島崎藤村「夜明け前」は、ぜひ読んでみたい。「片想い」は、性同一障害の元女性が、殺人事件に巻き込まれる話。「夜明け前」は、藤村の実父がモデルの主人公が、統合失調症を患い、旧家の座敷牢に幽閉され、孤独死した話。


 今更ながらだが、精神に問題を抱えている登場人物の方が、作中で魅力的だったりする。
 こういった傾向は、実生活でもあって、いわゆるボーダー(境界性パーソナリティ障害)の人って、異性から求愛されることが多いと思う。「ほっておけない」「自分が彼(彼女)を立ち直らせてみせる」といった庇護欲を、かき立てられるのかもしれない。
 ただ、初めのうちはよくても、最終的にはうまくいかない。なぜなら、付き合う相手が替われば、症状が改善する、なんていう単純なものでなく、その人本人が、変化しなければならない問題だからだ。
コメント
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