ケイの読書日記

個人が書く書評

酒井順子 「ズルい言葉」 角川春樹事務所

2018-04-20 14:27:51 | 酒井順子
 「ズルい言葉」か…。酒井さんは「ある意味」「嫌いじゃない(否定の否定)」「どこか懐かしい」「普通」「もしアレだったら」などなど挙げているけど、これってズルいというより、直接的に言うより婉曲的に表現する方が良いとする日本人の価値観から来るんじゃないかなぁ。回りくどいとは思うが。
 酒井さんが挙げた言葉の中で一番ズルいと思うのは「ある意味」。本当に便利だね。「ある意味」というんだから別の意味もあるんだろうか。これを文章に使うと、深く思考しているという印象を人に与える。本当は何も考えていないのに。

 私が個人的にズルいと感じる言葉は「考えておきます」かなぁ。昨年度まで町内会の役員をやっていて、引っ越してきた世帯に「町内会に入りませんか?」と勧誘していた。
 はっきり「興味ありません」「入りません」と意思表示をしてくれる人は、分かりやすくていいけど、「考えておきます」という人には困った。
 どうだろう。世間的には「考えておきます」って、体のいい断り言葉だよね。でも拒否されている訳じゃないので、再度、勧誘に行く。でも、しつこいと思われるのも嫌だしなぁ…と、人を悶々とさせる言葉。

 読んで、たいして面白いエッセイ集でもなかったが(失礼!)言葉がズルいというより、酒井順子さんの人生が、ズルい!!!(もっと失礼)と感じてしまう。バブル絶頂期に20代を過ごした人だもの、本当に良い思いをしている。
 若い人から、世代についてイヤミを言われると「あの時代は、今と違ってうんと人工的で派手で楽しかったなぁ。あなた達はその時代を知らず、可哀想にねえ。生まれてから今まで、ずっと地味ーーーーに暮らしてるんでしょ?」と余裕で返す。
 ズルいぞ!すごぉぉぉぉくズルいぞ!!!!酒井さん。
コメント (2)
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