ケイの読書日記

個人が書く書評

「三千円の使いかた」原田ひ香 中公文庫

2023-01-19 14:50:40 | その他
 「三千円の使い方」TV化されてるんだ。TVの方は見ていないが、どんなものだろうと原作を読んでみる。

 就職して念願の一人暮らしを始めた美帆。順風満帆に見える生活も、慕っていた会社の先輩がリストラされたり、学生時代から付き合っていた人と別れたりと波乱含み。結局、小さな安心を積み重ねるしかないと、美帆は節約してお金を貯めることにする。
 その美帆の姉や母、祖母、そして友人たち、皆、問題を抱えていて、何とか節約してお金を貯めようとする。
 この「節約してお金を貯めようとする」人たちの中に男の人がいないのは気になるが、一般的に家計の管理は女がやることが多いから…なのかな? 美帆の姉の家庭や実家も、ダンナさんたちは、家計に口を出さず、貯蓄がいくらあるのかも知らない。まあ、奥さんにとっては、ヘタにダンナに口を出されるより、やりやすいだろうけど。

 これら影の薄い男性たちの中で、美帆と結婚を考えている翔平は、少し違う。なんせ美帆とは節約講座で知り合ったのだ。ただ、やみくもに節約節約というのではなく、考えてお金を使う人だね。 
 この翔平が実は、大変な問題を抱えることになった。奨学金(というか教育ローン)550万円が未返済で返さなくてはならないのだ。親が手続して、在学中に親が多少返済したらしいけど、返しきれず、就職したんだから翔平が払うべきと言われたらしい。翔平は、親が奨学金を借りていることを知らなかった、と言っている。
 うーーーーん、そこらへんが理解できない。私立の美大だからべらぼうに授業料が高いだろうに、そのお金がどこから出てくるのか、親に尋ねなかったんだろうか? 親も在学中に翔平に、奨学金(実質は教育ローン)があるからちゃんとしなよ!と伝えなかったんだろうか?

 しかしイマドキ、大学卒業時に550万円くらいの奨学金の借金を背負っている人は珍しくないと思う。3万円ずつ20年間返済することになるらしい。就職していれば、払えない金額ではない。まして夫婦で返済するなら、なおさらだ。でも、家を購入するとか出産などには大きな影響があるだろう。
 それよりも、翔平の実家があまりにも借金慣れしているので怖い。その人たちと義理の親子になる訳だからなあ。知らない間に連帯保証人にされたりして。奨学金返済より、こっちのほうがネックだと私は思うよ。
コメント
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