ケイの読書日記

個人が書く書評

松本清張「二冊の同じ本」

2014-08-02 13:20:41 | Weblog
 「古書ミステリー倶楽部」という光文社のアンソロジーに入っていた作品。もともと1971年の作品らしい。
 松本清張は多作だから、傑作も多いが駄作も多い。本作は残念ながら、駄作に分類されると思うけど、しかし、松本清張、一定の水準はキープしています。



 親しくしていた友人が亡くなった。生前、友人からもらった専門書に、たくさんの書き込みがあり、役に立ったが、違和感を持つ。なぜなら、当然書き込みがあるべき場所に、まったく何も書かれていないという箇所が、何か所かあり、不審に思ったのである。
 そんな時、古本屋から「古書目録」が届く。それには、その専門書が出品されていた。だれが手放したものか分からないが、「書き込みあり」と表示されて…。

 主人公が、その2冊目の専門書を手に入れた時から、ストーリーは大きく動き出す。


 
 最初に大きな猟奇的犯罪があって、警察や探偵役が登場するというのではない。何気ない日常の導入部から、隠された犯罪が暴き出される展開など、見事なものだと思う。

 こういう展開って「地方紙を買う女」「一年半待て」などでもお馴染み。これらは、テレビドラマ化されたから、TVで見た人も多いだろう。私はドラマは見ていないが、30年以上前に読んだ短編だけど、ハッキリ覚えている。衝撃を受けた。ああ、こういうふうに話がつながっていくんだって。

 松本清張って、映像化されることは多いけど、読まれることは少なくなったみたいね。40~50年前は、大ベストセラー作家だった。
 なにせ、社会派推理小説の先駆けだもの、今読むと、古臭いなぁと感じることも多いが、それでも、一時代を築いた人。しっかりした、良い作品も多いです。


 最後に、タイトルがダサい。これは編集者が悪いのか?
コメント
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