心の扉 神戸カウンセリング花時計

心理療法や催眠療法、ストレス解消や悩み等メンタルに関するもの、そして日常の出来事を自由気ままに掲載します。

悪人正機

2023年09月08日 | 雑感・愚見

 

2002年 兵庫県で高齢の女性だけを狙って

ひったくりを繰り返して逮捕された61歳の男は、

盗んだバックの中に入っていた保険証やカードを

被害者宅に返しに行っていたようです。

 

 

孟子が唱えた人の本性は善の『性善説』と

荀子が唱えた人の本性は悪の『性悪説』。

 

この二つは、真逆のことを言っていて

どっちが正しいのかと考えると

答えに行き着くことはないように思います。

 

こういう時は、

完全なる善人もいなけりゃ、完全なる悪人もいない。

つまりは、人はどちらの性質も持っていると考える方が

無理がないように思うのです。

 

保険証やカードを悪用しないまでも

捨ててしまうことの方が多いかと思いますが

捨てずに被害者宅まで返しに行った

犯人の61歳の男の行動は、

人は、二つの性質を持っていると考えると

理解しやすくなるように思います。

 

おそらく保険証やカードは、

郵便受けか何かに投函されていたと思うのですが、

警察から犯人が逮捕されたと聞くまでは

犯人が自宅に来たと考えたくないので

どこかに捨てられていたものを拾った誰かが

そっと投函してくれたんだと

無理やりでも思いたいところです。

 

 

また仏教では悪人正機というものがあって

これは性悪説と似て非なるもので

法律や倫理や道徳を規準にした善悪ではなくて

もっと細かな視点を持つ仏の眼からすると

全ての人は、悪人であり

それを自覚した者が救われるとする考えです。

 

法律を基準にした視点でも

それが善とは言えないまでも

悪かどうかの判断が難しいこともあり、

ましてや倫理や道徳の視点となると尚更です。

 

さらには、

個人が不快だと感じたかどうかのレベルとなると

何が善で悪なのか、

もう訳が分からなくなってしまいます。

 

阿弥陀如来の視点では

完全なる正義の振舞いはないようですが

我こそはと正義の旗を振りかざし、

正義の旗を振り回してしまうのも

致し方ないのかも知れません。

 

人が悩みの状態から抜け出せない時に

このようなレベルで問題が起きていることも

少なくないように思われます。

 

正義の旗をブンブンと大きく振り回せる方が

正義になり、悪を押し付けられて

自分の正義の旗が泣いている状態なのかも知れません。

 

相手の考えや態度を変えて

自分の正義の旗を立てるには

それなりのエネルギーが必要となります。

 

上手くやるには、時に一歩引くことも

折れることも必要になるかも知れませんが、

自分の正義の旗を胸の中で見失わずにいることで

酷い悩みの状態へと陥ることを

防いでくれるかも知れません。

 

 

少林寺拳法『聖句』

 

己こそ己の寄るべ 己をおきて誰に寄るべぞ

良く整えし己こそ まこと得難き寄るべなり

自ら悪をなさば自ら汚れ、自ら悪をなさざれば自らが浄し

浄きも浄からざるも自らのことなり

他者に依りて浄むることを得ず

 

 

 

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