1956年、東京/新宿のバーで背広を盗まれた男性が
背広泥棒を捕まえて警察に突き出したまでは良かったんですが、
取り調べが進むと泥棒に盗まれたとする被害者男性の背広も
被害者男性が少し前に盗んだ盗品であることが分かり、
二人一緒に逮捕されました。
もう一つ。
1983年、東京/練馬区で捕まった下着泥棒(20歳)が
捜査員と一緒に被害者の家を訪れたところ、
その家の主は一か月前に下着泥棒で捕まった男性で
20歳の男性が盗んだとする下着も、
元はその家の主が盗んだものだった。
警察にしてみれば一石二鳥、数珠繋ぎなんでしょうが、
全く面識のない犯罪者が、こんなに見事に繋がることって
割と有ることなんでしょうかね。
背広を盗んだ話は、大分昔の話なので
当時は、背広とかジャケットは高級品だったのかもしれませんね。
背広とかジャケットを羽織ってパリッとしたいけれども
自分ではなかなか購入できない。で盗んだと。
たまたま背広を盗んでしまったではなくて
前々から自分のサイズに合いそうな背広を盗もうと
虎視眈々とチャンスを伺っていたのではないでしょうか。
下着泥棒の話は、背広泥棒と違って
ニュースにならないだけで現在の世にも生き残っている犯罪のようで、
その件数もそこそこあるようです。
私の東京時代に世話になったアパートの女性のオーナーさんから
「昨日、下着を盗まれた。」
盗まれたことがあるではなくて、「昨日、盗まれた。」ですから、
どこかの世界で起きている犯罪だったものが、
自分の身近で起きたことを知って驚きました。
オーナーさんの年齢は、そこそこの年齢だったのですが、
下着泥棒をする人にとっては、
下着の持ち主が自分の性の対象かどうかは重要ではないようです。
下着泥棒は、前に買い物依存の時に少し書かせて頂いた
「行為・プロセス依存」の衝動から来るもので、
その衝動を抑制できない人は、心の病と言われる域にある人です。
心の病の域にある人だからといって、犯罪は犯罪なので
当然、逮捕されることになりますし、
被害にあった女性は、金銭的な被害だけでなくて
相当に怖い想いをさせることになります。
忘れた頃に下着泥棒が捕まったニュース映像で
体育館のような広い空間に並べられた驚きの下着の数を観ても、
背広の犯人とは違って、そのものを手にすることよりも
その行為の過程で得られる刺激を求めているのが分かります。
刺激を求めての行為ですから、
有名な大女優とかアイドルの下着を手に入れたとしても
満足することがありませんので延々と繰り返すことになります。
しかも、その刺激は、繰り返すにつれて段々と弱くなるので
より強い刺激を求めて行動を起こすようになります。
心の病の域にある人ですから、
心理的なアプローチで改善することは可能ではあるのですが、
心理療法一発で改善することは極稀で、改善が完了するまでは
湧きおこる衝動を何らかの形で抑えることになるのですが、
他の依存症の方にも見られるように
それが我慢できずに離脱する人が多くいるのが現状です。
依存症に陥る方の原因の一つとして、
自己評価(自己愛、自己受容)が低いことにあるので、
パートナーがいたとしても、真面目と言うか、上品と言うか、
パートナーに自分の欲情、情動を素直に剥き出しにすることを
悪だとしていたり、軽蔑されたり、嫌われることを恐れて、
不満足状態が続いている可能性もあるように思います。
「エイヤ!」と思い切りが間違った方向ではなくて
ちゃんとした方向に向けられるようになることが大切かと思われます。