日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

変化を感じ取る力-参院選挙と鈍感力-

2007-07-30 22:40:16 | アラカルト
昨日の参院選は、自民大敗・民主躍進という結果に終わった。
個人的に驚いたのは、島根など「自民王国」で議席を失ったことと、組織基盤がシッカリしているはずの公明党が議席数を減らしたことだ。
他にも、東京選挙区で落選した自民党候補なども「組織を中心に、票を固める」という「戦略」だったようだが、思い通りのようにはいかなかった。

「組織基盤がシッカリしているトコロが勝!」というのは、選挙があるたびに言われてきたことだが、今回は違っていたようだ。
もちろん、組織票で当選を勝ち取った候補者もいるだろう。
だが、それよりも多かったのは「候補者の考えを選んだ」というコト、だったのではないだろうか?
それが、昨日のエントリの冒頭で書いた「選挙公報を読んでいれば、自分の考えとあう候補が自然に分かるでしょ」という、女性のことばなのだ。
それが、時代の意識変化なのだと思う。

反面、最近頻繁に目にすることばが「鈍感力」だ。
「多少の批判などに動じず、信念を貫く」という意味で使われることが多いようだが、今回は、選挙民である生活者の意識変化を感じ取れる能力が問われたような気がするのだ。
といっても、大衆に迎合することではない。
そこを勘違いしつづけてきた結果が、「集票マシーン」としての組織基盤業界に対する手厚い公共事業だったり、既得権だったのではないだろうか?
言い換えれば、自分たちにとって利益を与える人たちだけを見ていて、利益を与えない人たち(=集票マシーンとならない組織)は眼中にはないというコトに対する、一つの答えだったのではないだろうか?

もう一つ感じたことは、自民党はピンチをチャンスに変えることができなかったコトだ。
今回の争点の一つとなった「年金問題」について、明確な将来ビジョンを示すことよりも、目の前の問題処理を公約にしてしまった。
問題の発端は、社会保険庁の怠慢とも思える管理能力のなさだ。
「やるべき仕事をやらない体質を正す」という公約をしてもらっても、多くの人にとっては「で何?」という感覚でしかないのだ。
その「ズレ感」を感じ取れない「鈍感力」もまた、致命的だったように思う。

考えてみれば、「変化を感じ取る力」は政治家だけに求められるモノではない。
一番求められるのは、企業だろう。
利益関係にある人たちだけを見ていれば、市場からNo!を突きつけられるのだから。