日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「言語技術」とビジネス

2007-11-21 19:40:31 | ビジネス
先日、書店で「言語技術」が日本のサッカーを変えると言う本を見つけた。
著者は、最近毎日のようにテレビに登場している田嶋幸三さん。
現在、日本サッカー協会の専務理事をされている方だ。

「言語技術」と言う馴染みのない言葉と、サッカーと言うスポーツがなかなか結びつかず、思わず手にとってしまった。
読み進めているうちに、フッと思ったとことが「言語技術」が本当に求められる場所は、サッカーなどのスポーツではなく、ビジネスなのではないだろうか?と言うことだった。

日本のビジネスでは、明確な説明よりも「言わなくても分かるだろう」的な、「相手の意を酌む」感覚のほうが重要視される。
先日から話題になっている、防衛庁前事務次官・守屋氏と防衛利権に群がる企業と政治家の関係などは、まさに具体的な指示・命令があって起きた事件ではなく、互いに「相手の意を酌んだ」気配り・お金配りで成り立っている。
「問い合わせ」と言う「口利き」などは、その最たる例だろう。
「大連立」構想について福田さんは「『阿吽の呼吸』で・・・」と言って、言葉を濁している。
むしろ、明確な指示・命令を受けるようではビジネスマンとしては、一人前とは言えないというのが常識となっている。

「問題解決能力」と言う点で、明確な指示・命令がないと仕事を進めることができない、と言うのは違う意味で問題ではある。
そこには「自分で考え・想像し・ベスト(とはいわなくても、ベター)な選択をする」と言う、ビジネスの基本思考が欠如しているとも言えるからだ。
だが、この「ビジネスの基本思考」を育てるステップとして、「自分の考えを相手に伝え・相手の気持ちや考えを引き出す」と言うコミュニケーション力や、表現力などが必要だと考えるのだ。

最近の若い人たちと話をしていて、物足りなさを感じるのはこのコミュニケーション力や表現力となる部分で、特に気になるのは文章化できない(=言葉の組み立てができない)ことや、「うざい」などの単語で話を打ち切ってしまう事だ。
ビジネスの場面で「うざい」と言う言葉は、さすがに使われる事はないが、それでも自分の気持ちや考えを表現できないまま、思考が停止してしまっているように感じるコトがあるのである。

その意味で「言語技術」は、必要なのではないか?と感じるのと、発想力や思考力をつけるためのトレーニングを学生の頃からされていないように感じる。
「ビジネスの基礎知識」と言われるマーケティングに必要な、発想力や思考力、コミュニケーション力などを身につけるために、まず「言語技術」を身に付けるコトが大切なのかも知れない。