日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

フレームを壊せ!

2012-04-11 13:46:50 | ビジネス
新聞のWEBサイトのチェックは仕事上欠かさないのだが、先日偶然にも「新エネルギー」についての記事を2つ立て続けに知った。
一つは、静岡新聞に掲載されていた「レーザー核融合、連続反応に成功」という記事。
もう一つは讀賣新聞の鳥取県版に掲載されていた、「卵膜で省エネ 高専最優秀」という記事。

「レーザー核融合」の研究をしていたのは、光産業創成大学院大という聞きなれない大学。
一般的な大学というよりも、企業が集まって光学産業という新しい産業を起こすことを目的としているようだ。
その中心となっているのは、浜松ホトニクスという企業。
ノーベル物理学賞を受賞した小柴博士の研究として知られる「スーパーカミオカンデ」を造った企業なのだが、一般的には余り知られている企業ではないと思う。
そのような企業が、研究者だけではなく起業家のためにも、という思いで創設した大学のようだ。
だからこそ「レーザーで核融合」という発想が生まれたのだとしたら、「大学」というフレームから外れた大学というコトになる。

もう一つの「卵膜で省エネ」という発想も、これまでの「ソーラー発電」を作る発想では生まれなかったモノのような気がしている。
この「卵膜」に着目したのが、女子学生というのもおもしろい。
むしろ女子学生だから、卵膜という発想が生まれたのかも知れない。
そして、この研究成果に対して手を上げた企業が、「キューピー」という点もおもしろい。
確かに「キューピー」ならばマヨネーズを作るために、毎日相当数の卵膜を簡単に手に入れることが出来るだろう。
たとえキューピーの工場で、卵を割る工程が無くても、協力会社などから集めることは簡単だろう。
もし「卵膜」を含む卵の殻が産業廃棄物として処理されているとすれば、経費的にもプラスの面があるだけではなく、この「卵膜」を使った新しい素材市場を創ることも可能だろう。
食品会社というフレームから、新しい素材メーカーとなるコトも出来るはずだ。

レーザー核融合による発電となれば、これまで「原子力発電所=電力会社と政府」というフレームに収まっていたものが壊れ、「卵膜による太陽光発電パネル」の登場で、家電メーカー中心だった市場に、まったく違う事業分野の企業が参入する可能性が出てきた。
これまでの市場のフレームを壊すだけではなく、自らもフレームを壊し新しいモノを創り出している。
このような積極性が、今の日本にとってはとても大切なことのような気がする。