日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

大塚家具のリサイクル家具

2015-08-05 20:02:44 | ビジネス

今日の朝刊を見ていたら、大塚家具が広告を打っていた。
大塚家具と言えば、この春親子で事業方針でもめ株主総会でお嬢さんへの支持が多かったことから、創業者である父親が経営の座から降りることになった。

一応の決着がついた後の、お嬢さんの動きは速かった。
まず、「お騒がせセール」と銘打ったセールで落ち込んだ売り上げを、何とか戻した。
元々家具販売そのものが、大変な時代なので最盛期の頃にまで売り上げを戻したというわけではないが、スキャンダルすらも、営業に結び付けるという手腕は、なかなかのモノだと思う。

そして、それまで使っていたロゴなどを一新。
イメージを変えることで「新しいスタートをした」、という印象を与えた。
その次として打ち出したのが今回の、広告だったのでは?という気がしたのだった。
その広告とは「家具のリサイクル」だ。
大塚家具:のりかえ特割

確かに、家具業界が好調だったのはバブルの頃。
海外の有名家具デザイナーの家具が次々と輸入され、その家具に似合うだけの家なのか?というのは別にして、多くの人が家具について一言あり、という雰囲気の頃だった。
当然そのころ輸入された家具も、月日が流れそれなりに劣化しているはずだ。
ところが、家具の修理というのはDIYの心得がある程度では、できるものではない。
まして、輸入家具などはへたに自分で修理しようとすると、その価値すら下げてしまう可能性のほうが高い。

それだけではなく、ここ数年は「断捨離ブーム」で、最近は「何もない暮らし=ミニマム生活」という、シンプルな暮らしを飛び越した、必要最低限の物で暮らすというスタイルが話題になるほどだ。
このような「ミニマム生活」を目指す人にとって、家具などは不要の長物でしかない。
だからと言って、バブルの頃に購入した高級輸入家具などは、捨てるに捨てられないのではないだろうか?

その一方で、最近では優良中古住宅という市場が、できつつある。
新築同様のリノベーションをするのではなく、新築にはない魅力を付加させた中古住宅のことだ。
このような住宅には、真新しい家具よりも良質なリサイクル家具のほうが、マッチするだろう。
おそらく、大塚家具の考えている「リサイクル家具」の購入者というのは、このような良質中古住宅を購入する人を中心に、高価な新品家具を購入するよりもそれだけの費用を新婚旅行などに使いたいというカップルなどを対象としているのではないだろうか?

これまで、「新しいものを買う(=消費する)」ことで、経済は動いていたような感覚でいたのが高度成長期~バブル期までだったと思う。
そのバブルが崩壊したとたん、買い物をする事に抵抗感を持つようになってしまった。
そのような時間が長くあり、「買い物をしたくてもしない。節約第一」という生活にも疲れが見え始めたのが、ここ数年の様に思う。
その次の価値観として「ミニマム生活」というライフスタイルが登場し、その一方で「古くても良いモノを自分で選び生活をしたい」という生活者が現れ始めた、という事の様に思う。
その動きをキャッチしたのが、今日の大塚家具の広告だったような気がした。