日々是マーケティング

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「Cool Japan」を再定義してみたら?

2018-06-23 22:49:40 | アラカルト

今月初め、Yahoo!のトピックスに「海外でのクールジャパン実態」ともいえる記事があった。
Yahoo!:海外で見た酷すぎるクールジャパンの実態~マレーシア編~

この記事を読んだとき、「イチゴ一箱、2,000円、山梨ぶどう20,000円って、一体誰が買うの?」という単純な疑問はもちろんだが、投資額に似合った収益が上がっているとは思えないような実態に、唖然とした。
名前に「ISETAN」とついていることから、百貨店の伊勢丹が売り場協力などをしているとは思うのだが、新宿にある伊勢丹のイメージとは随分違う気がした。
と言っても私が知っている新宿・伊勢丹のイメージは、カリスマバイヤーとして有名だった藤巻幸大さんが活躍されていた頃なので、今とは違うのかもしれないのだが、それにしても価格設定から売り場の閑古鳥状態を含め、信じられないほどの店舗運営という気がする。

「Cool Japan」という政府肝いりのキャンペーンが始まったのは、おそらく10年くらい前のような気がするのだが、その頃の「Cool Japan」の中心は、いわゆるアニメやマンガといった日本発のポップカルチャーだったように思う。
実際毎年夏になると、名古屋では世界中のコスプレファンが集まる「コスプレサミット」があり、アジアだけではなく欧米やオーストラリアなどからも、このイベントの為に来名するコスプレファンがいる。
それがいつの間にか、違った方向へと進んで行ってしまったのが、「The Japan Store」なのでは?という気がしたのだ。
この記事にあるように、日本のポップカルチャーを発信するのではなく、日本の物産を販売する「Cool Japan」だとすると、もう一度「Cool Japan」そのものを考え直す必要があるのでは?という、気がしたのだ。

例えば、日本のポップカルチャーと日本の伝統技術や伝統工芸などとの融合だ。
その一つとして挙げたいのが、Ukiyo-e Projectだ。
江戸時代の大衆文化の一つである「浮世絵」に、デビットボウイやKISSといったロックスターたちとの共演は、新しい日本発のポップカルチャーだと感じるし、何より一つに時代を映しだしたロックスターたちをモチーフにした「浮世絵」は、江戸時代の人気歌舞伎役者の「浮世絵」と相通じるところがあるように思える。

その一方で伝統的な手工芸を現代の感覚で作り続けている人たちもいる。
そのような「手仕事」を紹介しているサイトの一つが「東京手仕事」だ。
「東京手仕事」と銘打っている為、東京の伝統工芸士に限られているが、おそらく全国にはそれぞれの地域に根差した文化の「手仕事」をされている方々が、いらっしゃるのではないだろうか?
そのような日本の伝統文化に新しいエッセンスを加えて、進化し続けている「日本の手仕事」のほうが、「The Japan Store」で扱っている商品よりも「Cool Japan」という気がする。

「官製Cool Japan」には、世界に向け膨大な額の税金が投入されているにもかかわらず、酷い結果になっている(といわれている)。
現代新書:「クールジャパン」はこんなにひどいことになっていた
その失敗(といっては失礼だが)の要因は、「Cool Japan」の定義づけがズレているからではないだろうか?
とすれば、今一度「Cool Japan」の意味を再定義し、今ある様々な情報のアクセスをしやすくする、というほうが発信力とインバウンドにつながるような気がする。