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「老朽化した空き室が目立つマンション」のほうが問題だと思う

2018-06-22 21:17:47 | アラカルト

「空き家問題」というと、地方の過疎地域のことのように思われるが、深刻なのはどうやら都市部のようだ。
日経新聞:空き家予備軍、東名阪に330万戸 高齢者だけ居住
冷静に考えてみると、東名阪にある「空き家予備軍」が約5割近くある、というのは当然だという気がする。
高度成長期以降、地方にいた若者は労働力として、東名阪の大企業へと移り住んでいった。
大学進学についても同じように、地方の進学校の生徒ほど東名阪、特に東京の大学へ進学をし、そのまま就職をした人も多いはずだ。
そのような時代的背景や東京一極集中化が始まった頃を考えると、このような状況はある程度想像できる範囲だと思う。

この中でも「空き家問題」と一括りされているが、最大の問題となるのは「空き室マンション」なのでは?という、気がしている。
「戸建ての空き家」であれば、更地にする、という方法がある。
実際、我が家の近所では昭和40年代~50年代初めに建てられたと思われる、戸建て住宅が相次いで取り壊され、更地になりコインパーキングへと変わっている。
敷地が比較的広い物件が、ご近所同士で複数出た場合などは、新築のマンションが建つ場合も多い。
最近では「サービス付き高齢者住宅(別名「サ高住」)」が、建てられることもある。

言い換えれば、戸建ての場合は簡単に更地にすることができるため、空き家になっても相続者の考え次第で次への活用転換ができる、ということなのだ。
むしろ問題なのは「空き室マンション」なのではないだろうか?

というのも「分譲マンション」の場合、マンションの住民の同意が無くては取り壊すことはもちろん、建て替えさえ難しいからだ。
だからと言って、「空き室」が目立つマンションとなれば、地域全体の治安の問題も出てくる。
それが昨今流行りの「タワーマンション」であれば、なおのことだろう。
「老朽化し空き室が目立つタワーマンション」がある地域を想像してみてほしい。
しかも、都市部の比較的ロケーションの良い地域に、それらの「タワーマンション群」があるとしたら・・・。
個人的には「余り近寄りたくない地域」だ。

そう考えると「空き家問題」と一括りで考えるのではなく、「戸建ての空き家」と「空き室が目立つマンション」とでは、当然対策の仕方も変わってくるはずだ。
上述したように、「戸建ての空き家」は相続者の意思が反映されやすく、その後の活用もしやすい要素がある。
一方、「老朽化し、空き室が目立つマンション」の場合、簡単に取り壊したり、建て替えすること自体が難しい。
一度建ってしまったマンションは、リノベーションなどをしながら誰かに住み続けてもらう、という方法しかないのでは?
「分譲マンション」ということであれば、分譲時に「空き室」になったときの対応も考える必要があるだろう。
しかし、毎週末のように入ってくる新聞の折り込みチラシを見ても、そのような文言は一切ない(のは、当たり前だが)。

自分が住まなくなった時の話を、購入時にすることに違和感があるとは思うのだが、これから先の少子化=人口減少ということを考えれば、「空き家・空き室問題」は、遠い話ではない。
それだけではなく、マンションを建て・販売をする企業そのものも「将来、誰も住まなくなった老朽化マンション」をどうするのか?という、視点を持ってマンション建設・販売をする必要があるのではないだろうか?

「二世代・三世代同居が当たり前」という時代は、高度成長と共に終わってしまった。
もしかしたら、その時から「空き家問題」は、始まっていたのかもしれない。