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「コメダ」の現実的な判断-新規店舗の全面禁煙-

2018-06-16 18:39:00 | トレンド

名古屋の喫茶店の代表格と言えば、「コメダ珈琲」ではないだろうか?
名古屋発の喫茶チェーン店はコメダ珈琲だけではないが、やはり積極的に全国展開をしている、という点ではやはり名古屋の代表的な喫茶店、ということになると思う。

そのコメダ珈琲が、新規出店(フランチャイズ店)については「全面禁煙」にするという。
朝日新聞:コメダ珈琲、新規店舗は原則禁煙「吸う人減った」

記事には、厚労省VS自民党の愛煙家のバトルの結果、骨抜きになってしまった?「健康増進法」改正案の先取りのようなニュアンスが、書かれているが、フランチャイザー側であるコメダ珈琲側の考えは、見出しにある「吸う人が減った」という理由のほうが大きいように思う。

我が家の近くにもコメダ珈琲があるのだが、店舗の奥まった一角にガラスで仕切られた「喫煙スペース」がある。
そのスペースも決して大きいわけではない。むしろ狭さを感じるくらいだ。
その「喫煙スペース」も、時には空席が目立つこともある。
禁煙スペースの席がコンスタントに埋まっていても、禁煙スペースが空いている、という状況があるということなのだ。

おそらく、マクドナルドのようなファーストフード店でも、同じような傾向がみられるのではないだろうか?
というのも、近所に再オープンしたマクドナルドは、全面禁煙になってしまったからだ。
実際、JTの「最新たばこ情報」によると、「喫煙者」は年々減ってきている。
JT最新たばこ情報:JT全国喫煙者率調査

少なくなりつつある喫煙者の為のスペースを設営すれば、席数を減らす必要があるだけではなく、そのための清掃が必要になる。
喫煙スペースの清掃となれば、禁煙スペースよりも大変だろうし、従業員(主にアルバイト)の健康という点でも問題視されかねない。
そのような作業などの費用面や健康面を考えれば、全面禁煙のほうが様々な面でメリットがある、と考えるのは当然かもしれない。

もう一つ考えられるのは、独特の名古屋の喫茶店文化があるかもしれない。
名古屋のモーニングと言えば、コーヒーを注文すると、半切の厚切りトーストとゆで卵がもれなく付いてくる。
実は名古屋ではなく一宮市や豊橋市のほうが、「豪華なモーニング(セット)」なのだが、このようなモーニングが定番なので週末の午前中は家族で喫茶店で過ごす、という文化がある。
「子どもの一緒に行ける喫茶店」となると、必然的に禁煙スペースが大きくないと集客はしにくい、ということになる。

そう考えるとコメダ珈琲の「全面禁煙」は、「健康増進法改案」の先取りではなく、経営という現実的な判断のような気がする。
そして飲食店の「禁煙」の動きは、このような「現実的判断」によって進んでいくのではないだろうか?