Facebookには、様々な企業広告が表示される。
もちろんすべてのFacebook利用者に、同じ広告が表示されているとは思わないが、私のFacebookには時折製薬会社のノバルティスファーマの広告が表示される(おそらく、がんの治療関係の情報からだろう)。
その広告というのが、とても一般患者向けの内容とは思えないのだ。
ノバルティスファーマ:ジカウイルスの脳への感染経路
トップに表示される写真は、決して気持ちの良いものではないので、ご注意願いたいのだが、記事の内容を読んでみると一般市民向け(患者向け)の内容とはとても思えない。
むしろ、医薬研究者向けなのでは?という気がするほど、専門用語のオンパレードだ。
ただ、このような内容の広告を一般向けに出すことに、どのような意味があるのだろう?と、考える必要もあると思う。
「ジカ熱」といっても、実は日本での発症例は2例ほどしかない。
その感染ルートも海外旅行によるもので、国内での感染例は無いという状況にある。
NID国立感染研究所:ジカウイルス感染症とは
記事を読んでいただければわかるが、研究そのものも日本国内でのものではなく米国でのものだ。
日本人にとって、「なるほどな~」と思えるのはこの研究がiPS細胞を使ってされている、という点くらいだろう。
にもかかわらず、このような記事をFacebookというSNSの広告で使うのか?と考えると、ノバルティスファーマという企業のグローバル性や「今、感染症などで苦しむ人たちの医薬品研究をしています」という、研究成果のアピールということになるのでは?という、気がする。
もう一つは、「産学協同」と言う言葉にあると感じている。
これまで、基礎研究は大学などが行い、応用研究を企業が行うということが一般的だったように思う。
何故なら、基礎研究は膨大な時間がかかるのに、利益を生み出すことがほとんどないからだ。
利益を追求しなくてはならない企業としては、対費用効果を考えると決して効率の良い研究とは言い難い。
それを基礎研究から参加することで、医薬品に関する「特許」などを取りやすくなり、大学側も実際の研究が社会に役立つという「見える化」ができる。
この「見える化」ということは案外重要で、研究成果を実感でき、より高い研究動機となるとも考えられる。
企業側にとっても大学側にとっても、このようなWin-Winな関係を創っています、というアピールもノバルティスファーマのFacebookは兼ねているのでは?と、思うのだ。
自分たちにとって、とても遠い存在だと思っていた「感染症」が、世界で一気に広まるという体験は、エイズ(ご存じの通り、発症前はHIV陽性者ということになる)で経験をしている。
製薬企業のSNSでの広告は、企業アピールだけではなく、社会の安心も提供しているのかもしれない。