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株価は、収益だけで動くの?

2019-03-13 18:30:36 | ビジネス

日経新聞のWEBサイトに、セブンイレブンが24時間営業を止めた時、どのようなダメージが起きるのか?という記事があった。
日経新聞:セブン&アイ、24時間やめた場合のダメージは?

会員向けの記事の為、記事全文を読むことはできないのだが、セブンイレブンが24時間営業を止めた場合、「連結の営業利益の約1割が押し下げられる」という試算となるようだ。
本当だろうか?

そもそも「セブンイレブンの24時間営業」の問題が起きてから、セブン&アイホールディングスの株価が下がった理由は、「オーナー店主に対するセブンイレブン本部の対応」に対してネットなどでの批判的発言が数多くあり、それらの批判を受けての株価の動きだったのでは?
確かに、セブンイレブン本部とすれば、深夜でもおにぎり1個でも売れれば、それなりの利益となる。
おにぎり1個の利益の為に、オーナー店主側が支払う人件費(深夜バイトが集まらず、結局はオーナー自身がレジに立つことになる場合が多いようだが)や光熱費などで大幅な赤字となるのは、想像ができる。
オーナー店主側は、24時間営業すればするほど赤字が増える、ということでもあるのだ。
そのような「営業指導」をして、セブンイレブン本部だけがヌクヌクと儲けている・・・ということに、世間は嫌気がさした結果、株価が下がった、という「原因」を見ていないような気がするのだ。

そして世間の多くの人たちは、「全国のセブンイレブンの24時間営業取り止め」を言っているのではない。
東京などの大都市部のような、24時間眠らないようなところについては、需要があるのだから問題は無い。しかし、住宅地や地方のコンビニは24時間営業は必要だろうか?ということに、疑問を呈しているだけなのだ。
その部分を読み間違えると、今回の問題の本質を見誤ってしまうのではないだろうか?

ただ今回のセブンイレブン本部の対応に対して、いくつかの疑問がある。
それはコンビニ(だけではないが)には、ポスシステムと呼ばれる「売上管理システム」が、導入されているはずだ。
今の「ポスシステム」は、それこそ時間帯別の商品売り上げ内容はもちろん、地域別・時間帯の売り上げ管理くらいできていると思うのだ。
そのようなデータをみれば、地域によって時間帯・商品や収納代行サービスなどの売り上げなどが、すぐにわかるのでは?
むしろそのようなデータ管理ができずに、コンビニオーナー店主に対してフランチャイズ料の中に含まれていると思われる「営業指導」などの名目費を徴収するのは、いかがなものだろう?

しかも、「直営店で、試験的に24時間営業を止める」というのも、どこかおかしな話だ。
直営店とフランチャイズ店とでは、店舗の収益形態が違う(はずだ)。
このような試験的営業をするのであれば、直営店とフランチャイズ店の両方を商圏別に同じ店舗数選びだすなど、偏りのない条件の中で実施しないと意味が無い。

そう考えると、セブンイレブンがオーナー店主側といっしょに「新しいコンビニ店とコンビニサービスの在り方」を、24時間営業に縛られずにつくり出していく姿勢が見えれば、世間の多くの人はセブンイレブンに対して好感を持つだろうし、それが売り上げにもつながっていくのでは?

セブン&アイホールディングスの株価が下がり、連結での営業利益が1割程度下がる、という試算を出すとすれば、それは24時間営業ではなく、セブンイレブンの企業としての問題のほうが大きいのではないだろうか?