日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

これからは、専門性を磨く為に複数の分野の知識

2019-03-20 22:34:11 | アラカルト

Yahoo!のトピックスにも取り上げられていた「数学のノーベル賞・アーベル賞」を初めて女性の研究者が、受賞した。
CNN.co.jp:「数学のノーベル賞」にアーレンベック氏、女性の受賞は史上初

学生時代、数学が苦手だった。
微分積分などは、チンプンカンプンでそれらの数字が意味するところが分からず、数式の前で唖然茫然と立ち尽くしていた。
マーケティングは数字を使う仕事ではあるが、数式を解くのではなく統計などのデータの背後にある社会や生活者の思考などを読み解く仕事なので、高校などで習う数学はまず必要ない。
「数学が分かる」というだけで、尊敬をしてしまうのだ。

アーレンベック氏のキャリアを見てみると、「数学」という専門分野だけではなく、物理、幾何学、量子論などでも活躍をされ、キャリアを積まれているという。
「理工系」の分野と一括りにしてしまうことはできるが、それでも「数学」だけに偏らず、幅広い分野の知見があったからこそ、専門である「数学」という分野で成果を出すことができたのでは?という気がするのだ。

10年余り前だったと思うのだが、「数学上の未解決問題」の一つ「ポアンカレ予想」が、ロシアの数学者グレゴリー・ペレルマンによって解かれたと、話題になった。
「ポアンカレ予想」が、どのような内容なのか?そしてペレルマンが解いた内容なども全く理解ができないのだが、注目すべき点はペレルマンもまた、数学的アプローチではなく、物理や幾何学などからこの「ポアンカレ予想」を解いた、という点だろう。
ペレルマンが解くまで、何人もの著名な数学者が挑戦をし、解くことができなかった問題を、数学ではなく他の分野の視点からアプローチをして、解いているのだ。
これはアーレンベック氏と同じような発想による、「未解決問題の解決法」という気がするのだ。
もっとも、アーレンベック氏よりも前にペレルマンが、「数学者」なのに数学以外の知識を持ち、数学以外の発想で問題を解決しているので、順番は逆ということになるのかもしれない。

一昨年だっただろうか?「文系学部不要論」のようなことが話題になった。
確かに日本は、戦後「ものづくり」の力で高度成長を遂げることができた。
2000年代に入り、日本人ノーベル賞受賞者が急激に増えた。
ご存じの通りノーベル賞受賞者の方々は「医学・生理学」や「物理学」、「化学」と言った分野ばかりだ。
これらの分野でのノーベル賞受賞は、確かに素晴らしいものではあるが、受賞された方々は「専門分野」だけで活躍されていたのか?と言えば、決してそうではない。
2015年に「医学・生理学賞」を受賞した大村智さんは、女子美術大学の理事長の経験があるだけではなく、ご自身のコレクションを集めた美術館を設立している。
決して大村先生の専門である「薬学」の分野だけではなく、幅広い知識や教養を持っていらっしゃるのだ。

そう考えると、これからは「一点集中・特化型」ではなく、「幅広い分野の知識の上に専門を磨く」という、人材が求められるのではないだろうか?