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ビジネスパーソンに、アートは必要か?

2019-03-07 20:16:37 | 徒然

ここ2,3年ほどの間で、「ビジネスパーソンこそ身に着けたい教養」として、「アート」が取り上げられるようになってきた。
「アート」といっても、実は様々で美術だけとは限らない。
実際「表現者」を「アーティスト」と、呼ぶことは多い。
その「アーティスト」と呼ばれる人たちの中には、舞踏家もいれば音楽家もいる、もちろん彫刻や絵画などの美術関係の人たちもいる。
言い換えれば、「文化を創っている人たち」とも言えそうだ。

ところで、日本の学校教育ではどれだけ「アート」に親しむ教育が、されてきているのだろう?
中学受験を含む「受験」で問われるのは、国語や算数・数学などであり、今の時期毎日のように折り込まれている学習塾のチラシには、芸術・文化対策などの内容は無い。
当然のことながら、芸術系大学以外の受験生にとって、「芸術・文化」などの科目は関係の無い科目、というとらえ方をしているだろう。

そのような環境の中で、大人になり「これからのビジネスパーソンに必要な教養はアートだ!」といわれても、戸惑うばかりだろう。
最近は「アート思考」なる講座まで登場し人気を集めているというが、そもそも「アート思考」というモノは人から学んで身につくモノなのだろうか?という、疑問を持っている。
COMEMO:ビジネスには「アート思考」が必要だ

COMEMOのコラムにあるように、「アート思考」の前には「デザイン思考」があり、その前に一世を風靡したのが「ロジカル思考」だ。
なんとなくだが、「ロジカル思考」→「デザイン思考」→「アート思考」というのは、連続的な思考のような気がしている。
「ロジカル」だけでは、人の心や気持ちを置いてきぼりにしてしまう。
そのような気持ちをカタチにする思考が、「デザイン」ということになるのかもしれない。
そして、様々な経験から感じ取る「直感的(あるいは勘)」のような思考が、「アート」ということのようにも思えるのだ。

ただ今話題となっている「ビジネスパーソンに必要なアート」となると、そのような「思考」だけではなく、教養ということも含まれているようだ。
一昨年だったと思うのだが、ビジネスパーソンと「美意識」について書かれた新書が発刊され、話題になった。
光文社新書:世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?

日本のビジネスパーソンの中で、どれだけ「美意識」を持っている方がいるのか?ということも気になるのだが、あくまでも個人的な意見として、「美意識」を鍛えるのは何もアート(芸術)だけではない、と思っている。
むしろ日本の場合、四季折々の豊な自然が、一番「美意識」を鍛えてくれるのでは?
何故なら、自然の美しさというのは、パステル画のような淡い色合いではなく、驚くほどグロテスクな色彩で人を魅了するときもある。
そのようなモノに気づくか・否かということが「美意識を鍛えているか・いないか」ということにも、つながっているような気がするのだ。
そして「美意識」は、人に押し付けるものでもないはずだ。
ただただ、自分の中に深く重ねていくような感性であり、蘊蓄を傾けることは「美意識」ではないと思う。

言い換えれば、美術館に行けば「美意識」が鍛えられるのではなく、様々な経験や体験から「自分の感性を磨いた先にある直感的なモノ」ということになるのではないだろうか?