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女性マーケターから見た日々の出来事

「働き方改革」の目的は、何だろう?

2019-03-29 19:56:01 | ビジネス

本年度もあと2日。
とはいっても、明日・明後日は土日となるため、今日が実質的な年度末日ということになるだろう。
そして週が明ければ、新年度。
様々な制度が変わる日でもある。
その中で働く人たちに一番関係するのが、「働き方改革」だろう。

既にニュースなどでは「働き方改革」で、有休の何日間を計画的に休ませるようにしなくてはならない、と話題になっている。
先進諸国の中でも有休消化率が低い日本だが、政府としては何とか有休消化率を上げる策の一つとして「働き方改革」の中に盛り込まれたような気がしている。

そんな「働き方改革」だが、有休を取得することが「働き方改革」という考えなのだろうか?
確かに政府から言われていることは「有休消化」なのだが、本来考えなくてはならないのは「働く人たちの生活環境に合わせた働き方を推進する」ということなのではないだろうか?
ニュースなどで伝えられる内容は、企業から働く人たちを見た「働き方改革」のような気がするのだ。

確かに有休消化は、大事なことだと思うのだが「働き方」という意味では、働く人たち一人ひとりが様々な状況にあり、その状況に即した休み方や仕事の仕方ができていない、という「働く人から見た働き方改革」を、企業がどうサポートし推進するのか?ということの方が、もっと重要なのではないだろうか?

例えば、子育て中の共働き世帯の場合、子どもが病気になったりしたとき仕事を休むのは、女性であるコトのほうがはるかに多い。
それを、男性も休みやすいような職場にすることが「働き方改革」なのでは?
それは子育てに限らない。
これから先もっと大きな問題となっていくであろう「介護」については、女性・男性関係なく関わっていく問題だと思うのだ。
そして「子育て」や「介護」などによって仕事を休みやす環境をつくっていくのは、企業にとってもメリットが多いのではないだろうか?

バブル経済が崩壊してから、日本の企業は「成果主義」と言う言葉の基、働く個人に無理を強いてきたように思う(と同時に「自己責任」ということも盛んに言われるようになったように感じている)。
その結果、突発的に仕事を休まざる得ない人が出てくると、仕事そのものが停滞し、周囲の人に迷惑がかかるようになってきたのではないだろうか?
「周囲に迷惑がかかるから、休みにくい」という職場環境が、以前からある「日本的滅私奉公的働き方」を、より厳しいものにさせたように感じるのだ。

「日本的滅私奉公的働き方」と言っても、バブル前は「チームでカバーしあう」という部分があった。
悪く言えば「連帯責任主義」的な発想にもなるのだが、「チームで仕事をする」ことで、誰かが突発的に休まざる得ない状況になっても、仕事のカバーができた、ということも事実だろう。
とすれば、「働き方改革」の中心となる考え方は、「有休消化日数」や「残業時間の制限」を設けることではなく、「様々な生活状況(あるいは生活環境)にある働く人たちを、周囲の目を気にすることなく、子育てや介護、病気治療で休める環境を、創っていくのか?」ということだと思う。
もちろん、リフレッシュやスキルアップの為の休みも必要なことは、言うまでもない。