日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

新しいコミュニケーションスタイルが、生まれはじめている

2019-03-08 20:49:13 | ビジネス

民放の見逃し配信サイトを見ていたら、「新しいコミュニケーションスタイル」が生まれつつあるのかな?という気がした。
配信サイトで見ていたのは「情熱大陸」と「カンブリア宮殿」の2つ。
ファンの方も多い番組だと思う。
それぞれ、ある分野で話題になっているあるいは注目されている人物をクローズアップした番組である、という共通点はあるのだが、取り上げられる人物像は随分違う。
「情熱大陸」は取り上げるジャンルは様々だが、「カンブリア宮殿」は経済関連だ。

今回「情熱大陸」で取り上げていたのは「銭湯イラストレーター・塩谷歩波」さん。
先日、新聞の新刊レビューで「銭湯図解」という塩谷さんの本が紹介されていて、「今どき銭湯なのか?」と思ったのだった。
しかし番組を見て感じたことは、「人は顔を見て・たわいもないことを話す、時間の豊かさを求めている」ということだった。
確かに「銭湯」というと「裸の付き合い」という言葉が枕詞のように使われるのだが、本当は「裸云々」ではなく、「無防備な状態でたわいもないことを話し、一緒に過ごす」ということで生まれる「(その)場のコミュニケーション」ということなのではないだろうか?と、感じたのだった。

もう一つの「カンブリア宮殿」で取り上げられていたのは、自然派住宅の「BESS」の二木浩三さんだ。
いわゆる「ログハウス」を一般向け住宅として販売をしている「BESS」だが、全国各地に「BESS」の住宅展示場ができている、という。
確かに、最近我が家の近くに13階建ての単身者向け賃貸マンションができたのだが、30平米も無いのに10万/月近くの家賃というのは、どうなのかな?日本の住宅事情というのは、生活者に優しくないのでは?という疑問を感じている。
何故なら「住む」ことが重要なのではなく「暮らす・生活をする」ことが大事なはずなのに、今の日本の住宅は「住む」ことに力点を置いているように感じるからだ。
「BESS」の二木さんは「住むより楽しむ住宅」というコンセプトを基に、家を販売しているという。

番組では、住宅展示場でありながら「人がワイワイと集まり、見知らぬ同士でありながら楽し気に話す姿」が、紹介されていた。
住宅地の一角全てが「BESS」の住宅という場所では、「BESS」の家に住んでいる家族が、週末に「持ち寄りの食事会」をしている、という場面もあった。
「持ち寄りの食事会」を見ながら感じたことは、昭和の頃のような「濃密な近所づきあい」ではなく、「つかず・離れずライフスタイルを共有する仲間」という印象を受けた。
それはまるで「ハーレー・ダビットソン」のオーナーたちが集まる会も、このような雰囲気なのだろうな~と、感じさせた。

「ハーレー・ダビットソンのオーナの会」というのは、マーケティングを勉強している人であれば、一度は「参考とすべき会」としてご存じだと思う。
「ハーレー・ダビットソンのオーナーの会」というのは、ハーレーのファンが自然発生的に集まり、一緒にツーリングをしたりキャンプをしたりする会であると同時に、ハーレーというバイクの魅力を伝える会でもある。
企業が、オーナーの会に口出しをしたり、資金援助をするわけではなく、「ハーレーというバイクのファン」というだけの結びつきでできている、一つのコミュニティーであり、企業はこのような「ファン・コミュニティーを創造することが重要」と、マーケティングでは言われてきている。
正に「BESS」に住んでいる人たちの姿は、このような「ファン・コミュニティー」のような気がしたのだった。

「銭湯図解」という本をつくられた塩谷さんが、特別な「銭湯コミュティー」を創っているのではない。
それは「BESS」の住宅を提供している二木さんについても同じだろう。
ただこの二つの「コミュニティー」の姿を見ていると、SNSのようなネットの繋がりに疲れた(あるいは、飽きた)人達が、自分と共通するモノで顔が見えるコミュニケーションを求めて始めているのでは?と、感じるのだ。