日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

吉本興業とクールジャパン機構

2019-07-29 09:04:41 | ビジネス

「闇営業」の発覚に始まり、今では「若手所属タレントVS ベテラン所属芸人VS吉本興業VS政府関係」という、混迷の状況になりつつある吉本興業の事件。
吉本だけではなく、昔から興行と反社会勢力とは近しい関係にあった。
興行主がその町の顔役に挨拶に行き、無事公演が終わるように取り計らってもらう、ということが必要だったからだろう。
ただそれは、高度成長期の頃の話だと思っていた。
時代が変わり、興行主の多くが企業組織化・株式化するようになり、興行そのものも大規模化、興行主によるチケット販売からチケットぴあのような興行チケットを幅広く扱う企業などが登場することで、町の顔役のような一面を持っていた反社会勢力との付き合いが必要ではなくなったからだ。
一般企業と変わらなくなったのだ。
企業そのものは、組織化・株式化しても時代変化に合わせた本当の組織化・株式化できていなかったのが、吉本興業の実態であったということだと思うのだ。

そこに、いきなりクールジャパン機構(とNTT)が、吉本興業に相当額の投資をしていた、というニュースがYahoo!のトピックスなどに取り上げられていた。
現代ビジネス:渦中の吉本興業に「クールジャパン」で巨額の税金が注ぎ込まれていた。

 現在起きている吉本興業の問題で、クールジャパン機構との関係も明らかになった訳だが、この問題は吉本興業ではなくクールジャパン機構側にあるのではないだろうか?
NTTなども参入しての事業だったようだが、何故、宝塚を運営している東宝や松竹(松竹芸能を含む)ではなく、吉本興業を選んだのか?という「選択理由」が問題なのだと思う。
例えば松竹の場合、歌舞伎などの日本芸能を抱えているし、松竹の関連会社である松竹芸能は、吉本興業と並ぶ関西の芸人さんを抱えている。
漫才だけではなく、落語家さんが所属している(笑福亭鶴瓶さんは、松竹芸能所属)する関西の芸能プロダクションだ。
クールジャパンとして日本の芸能を紹介するのであれば、松竹という選択もあったのではないだろうか?

クールジャパン機構に限らず、官民の投資事業にはこのような「投資選択理由が分からない(説明されていない)」というケースが、とても多いような気がするのだ。
そして「後出しじゃんけん」のように、赤字とか膨大な負債額を示されても、原資を提供している国民としては納得がいかない。
逆に、このような記事が出ることによって、「政府と吉本興業の癒着?」というものを、どこか感じてしまうのだ。

吉本興業の問題の原因は、決して一つではない。
「口頭による契約」、「所属芸人の多さ」、「支払われるギャラ」、「昭和の頃からの反社会勢力との付き合い」など、いくつもの要素を含んでの問題だ。
だからと言って、クールジャパン機構が吉本興業に投資をしていた、ということとは別問題だ。
今回の問題発覚で一部の政治家が騒いだようだが、騒いだためにクールジャパン機構の投資先選考の問題が露わになった、ということだと思う。