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Amazonの生き残り策

2019-07-06 20:38:04 | ビジネス

経済紙のWEBサイトを見ていたら、興味深い内容があった。
マネー現代:小島健輔が警告「アマゾン撤退でわかった、ECバブルは崩壊する」

ややセンセーショナルなタイトルだが、内容としてはとても興味深い。
日本におけるAmazonの経営を圧迫しているのは、物流コストということのようだ。
確かに、一昨年問題となったヤマト運輸の労働環境はヤマト運輸だけの問題ではなく、日本の物流業界全体の問題でもあった。
低コストに支えられた物流業界そのものが、破綻するのでは?という、懸念が社会的に認知された大きな出来事でもあった。
その後どれほど改善されたのか?という点では、疑問が無いわけではないが、数多くの商品の物流コストを「無料」としていたアマゾンとすれば、利益を大きく減らす要因になったのでは?ということは、想像ができる。

そしてこの記事でも取り上げられている「ZOZOTOWN」についても、ここ2,3ヶ月経営面ではあまり良い話を聞かない、という印象がある。
ZOZOTOWNの出店している、アパレルメーカーさんが次々と撤退を表明し始めたのは、昨年の夏ごろだっただろうか?
撤退をするアパレルメーカーさんたちは、「自社の顧客とZOZOTOWNの顧客層が違っていた為=ZOZOTOWNに出店するメリットが感じられない」ということだったのだろう。
今やECサイトに出店すればモノが売れる、という時代ではないのだ。
そう考えれば、この「ECバブルは崩壊する」という見出しは、それなりに説得力がある。

ただ、アマゾン自身も手をこまねいているわけではない。
おそらくこれから先、アマゾンが力を入れていくのは、映像のストリーミング事業なのではないだろうか?
ご存じの方も多いと思うのだが、アマゾンは「AmazonPRIME」という、独自の映像配信事業を展開している。
先駆けとなったNetflixは、「ROMA/ローマ」という作品で今年アカデミー賞を受賞している。
「ROMA/ローマ」という作品が、大手映画会社ではなくNetflixという映像ストリーミング企業が、米国映画の中でも権威あるアカデミー賞を受賞した、ということ自体が映像ストリーミングが今度拡がっていく可能性の高さを示したのでは?という気がしている。
だからこそ、その後を追うかのようにAmazonも参入しているのだ

この「映像ストリーミング事業」に関しては、Appleなども参戦してきており、iPhoneやiPadのようなIT機器をつくる企業から、ITを使ったストリーミング産業への参入へと変わろうとしている。
そればかりか、元々映画製作をしていたディズニーも「Disney+」という、映像ストリーミング企業を立ち上げただけではなく、21世紀フォックスを傘下に収めることで、ディズニー作品だけではなく21世紀フォックスが制作した映画なども映像ストリーミングができるようにしている。
「Disney+」が、実際どれほどの作品をストリーミングとして配信するようになるのかは、不明だが映画館で見逃した映画をストリーミングで楽しむ、という時代は近いと考えても良いと思う。

日本では、本格的な「映像ストリーミング企業」という動きは目立っていないように思えるのだが、おそらくアマゾンも「AmazonPRIME」を充実させることによって、ECサイト以外の収益をあげ、将来的には映像ストリーミング事業がメインになっていくかもしれない。
何故なら、映像ストリーミング事業はECサイトと違い、在庫を持つ必要が無く、上述したように運送料を考える必要が無いからだ。

日本の場合、米国ほど映像ストリーミング事業が上手くいくのかは、分からない。
ただこれから先、アマゾン自身はECサイトから脱却しようとしているのでは?と、感じるのだ。